第40話(最終話):退屈した王女と、やっぱり胃が痛い臣下
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世界中を駆け巡り(※実際は最後だけ目と鼻の先)、ついに七つの秘宝を全て回収したアルト一行!
最後の秘宝『創世の王冠』の正体も案の定「アロマ&頭皮マッサージ機能付き」という身も蓋もないものでしたが……ポンコツペンギン隊のドタバタ秘宝探しの旅、ついに感動(?)のフィナーレです!
王宮の大広間。
豪華絢爛なテーブルの上には、これまでの過酷(?)な旅で集められた『七つの古代秘宝』がずらりと並べられていた。
ノイズのひどいオルゴール(秘宝:精霊のオルゴール)
強設定放置のエアコン(秘宝:氷結の心臓)
加熱タイマー切り忘れヒーター(秘宝:太陽の涙)
弦が弛んで輪ゴム補修の竪琴(秘宝:木漏れ日の竪琴)
風呂の排水口のゴム栓(秘宝:わだつみの宝珠)
鳥の巣が詰まったパイプオルガン(秘宝:天空の風琴)
アロマ芳香&頭皮マッサージ器(秘宝:創世の王冠)
「ふふん! 見てちょうだいアルト! 見事に七つの秘宝が揃ったわ!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、頭皮マッサージ機能でプルプルと頭を震わせながら、満足そうに胸を張った。
「……ええ、そうですね。全部ただの『古代人のメンテナンス不足の家電製品』でしたけどね」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを脱ぎ捨て、心底から解放された晴れやかな(しかし疲弊しきった)顔で溜め息をついた。
「なにを言っているのだアルト! この『グリーンペンギンアーマー』の防寒性能と肌触り……これこそが世界を救う真の秘宝であったぞ!」
シルフが真顔で熱弁する。脱ぐ気は一切ないらしい。
「私のも……至高の機能美……っ!」
イエローペンギンのファリアも、すっかり着ぐるみの中毒者としてシルフの横で胸を張っていた。
「ふむ……今回の旅のデータを元に、さらに多機能な『ペンギンアーマーV2』の開発に着手するとしよう」
黒ペンギンのルイスがキザに眼鏡を光らせる。頼むから余計な開発はやめてくれ。
「……お腹すいた。お祝いのお肉、食べる」
「おう! 今日は王宮のご馳走を食い荒らすぞー!」
白ペンギンのミミと茶色ペンギンのマルコは、早くも宴会の準備に夢中だ。
……ハチャメチャで、ポンコツで、俺以外まともな奴が一人もいないパーティ。
死ぬほど胃が痛くて、何度逃げ出そうと思ったか分からない。
だが——。
「アルト」
エレノア殿下が、ふとピンクペンギンのフードを脱ぎ、いつもの美しい金髪を揺らして、悪戯っぽく微笑みかけた。
「付き合ってくれて、ありがとうね。私、生まれてから一番楽しかったわ!」
「……はぁ。殿下の気まぐれに付き合わされる身にもなってくださいよ。胃薬のストックが限界なんですから」
俺は照れくささを隠すように横を向き、ポケットから最後の胃薬を取り出して口に運んだ。
……まあ、たまにはこういう騒がしい日常も悪くはないかもしれない。
これにて、退屈した王女と行く秘宝探しの旅は、無事に大団円——。
「あ! そうだわアルト!」
「……はい? なんですか殿下?」
「王冠の裏側にあった隠しルーン文字をさっき解読したんだけどね!」
エレノア殿下が満面の笑みで一枚の羊皮紙を掲げた。
「『七つの秘宝を揃えし者よ。宇宙の果てに眠る【真・八つ目の秘宝】への扉が開かれん』……だって! 次は宇宙よ、アルト!!」
「「「「「宇宙ーーーーー!!???」」」」」
「よし! 宇宙用ペンギン着ぐるみに着替えて、出発よー!」
「「「おー!」」」
「待てぇぇぇぇぇ! 宇宙服でもペンギン着るのかよぉぉぉ!? だれか胃薬買ってきてぇぇぇぇぇ!!」
俺の絶叫が、今日も王宮の青空へとどこまでも響き渡るのだった。
(『退屈した王女と行く秘宝探しの旅。……って、私以外まともな奴がいないんですが!?』・完)
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『退屈した王女と行く秘宝探しの旅。……って、私以外まともな奴がいないんですが!?』、これにて無事に完結となります!
ツッコミ不在のポンコツペンギン着ぐるみパーティと、胃痛に耐え続けた苦労人主人公アルトの物語を楽しんでいただけましたでしょうか?
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