第35話:天空の神殿と、やっぱり詰まってた【天空の風琴】
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竜巻の吹き荒れる「龍巻の谷」を、前代未聞の「ペンギン滑空&円陣スライディング」で突破したアルト一行!
高所恐怖症で虫の息のファリアを介抱しつつ、雲の上に佇む美しい古代神殿へと足を踏み入れます。
そこに鎮座する第六の秘宝『天空の風琴』! 天上の清らかな風を奏でるはずのオルガンですが、案の定またしても「アイツら」のせいで大変なことになっていて……!?
雲海を眼下に見下ろす、天上の聖域『天空の浮遊島』。
透き通るような青空のもと、古代の白い大理石で建てられた神殿が静かに佇んでいた。
庭園には見たこともない色鮮やかな花々が咲き誇り、どこからか心地よい風の音が聞こえてくる。
「うわぁ……! 本当に空の上にお庭があるみたい! とっても綺麗ね!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、パタパタと羽を羽ばたかせながら神殿の敷地を駆け回る。
「……うぅ、綺麗とかどうでもいいから……地面から……足を離させないでくれ……っ」
イエローペンギン姿のファリアは、芝生に完全にへばりついたまま、四つん擦んばいでズリズリと這い進んでいた。エルフの誇りは雲の彼方に消え去ったらしい。
「よしよし、ファリアさん。もう落ちませんから落ち着いてくださいね」
俺——アルトは慣れた手つきでファリアの肩を叩きつつ、神殿の最深部へと足を進めた。
神殿の中央大広間。
そこに鎮座していたのは、高さ十メートルはあろうかという神々しいパイプオルガン——第六の秘宝『天空の風琴』であった。
天から吹く風を無数のパイプに通し、世界に恵みの調和をもたらすと言われる古代の演奏器具だ。
「ふむ……素晴らしい。古代の風魔導技術の結晶だね。これこそが第六の秘宝……」
黒ペンギンのルイスがキザに眼鏡を押し上げ、パイプオルガンの鍵盤へと近づく。
「……ん? だが、何か風の通りが悪くないかい?」
ルイスが鍵盤を一つ叩いてみた。
〜♪ プォ〜〜……プスッ……ポシュッ。
神聖なパイプオルガンから聞こえてきたのは、まるで『不機嫌な鳩の溜め息』のような情けない不協和音だった。
「……え?」
俺は嫌な予感がして、パイプオルガンの裏側に回り、太い風切りパイプの排気口(送風口)を見上げた。
そこには——。
モサッ……モササッ……。
「……鳥の巣?」
そう、パイプの排気口という排気口に、天空に生息する巨大な鳥たちが、居心地が良いからと【大量の藁と枝で巨大な巣】を建設しまくっていたのだ。
さらによく見ると、パイプの奥には落ち葉やら木の実やらがギュウギュウに詰まっている。
「「「「「鳥の巣でパイプが詰まってるぅぁぁぁぁぁ!!???」」」」」
俺たちの叫びが神殿に響き渡った。
「ちょっと待ってください!! 世界を統べるレベルの古代の秘宝ですよね!? なんで『長年放置された換気扇』みたいなトラブル起きてるんですか!?」
「まあ! 鳥さんたちのお家になっちゃっていたのね! 風が出ないのはゴミが詰まっていたからだわ!」
エレノア殿下が呑気に納得している。
「……またか」
俺はその場にガクッと膝をつき、慣れた手つきでポケットから胃薬を取り出して噛み砕いた。苦い。毎回毎回、トラブルの原因が生活感にあふれすぎている!
「ふ……任せたまえアルト君! 僕の爆風魔法『エア・バースト』でパイプの中のゴミを一気に吹き飛ばして——」
「やめろルイス! パイプごと神殿が吹き飛ぶだろ!!」
「……ミミ、やる。煙突掃除」
白ペンギンのミミが、どこから取り出したのか『巨大な竹ほうき(※棒の長いブラシ)』を構え、軽快なフットワークでパイプの上へと登っていった。
「ミミ、鳥のヒナを傷つけないように優しく突っつくんだぞ! マルコ、下のゴミ受け止めろ!」
「おうっ! 任せとけアルト!」
こうして俺たちは、世界を救う大冒険の佳境(六つ目の秘宝回収)だというのに、高所恐怖症で泣いているファリアを横目に、全員でシュールな【パイプオルガンの煤払い&鳥の巣撤去作業】を始めるのだった。
第35話をお読みいただきありがとうございました!
天空の神殿に眠る第六の秘宝『天空の風琴』!
世界を揺るがす秘宝の不調の原因は、やっぱり期待を裏切らない「鳥の巣と落ち葉によるつまり(換気扇状態)」でした(笑)。
次回「第36話:『天空の風琴』クリーニング完了! 〜最後の秘宝は水底の都!?〜」をお楽しみに!
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