第34話:龍巻の谷と、飛ばされたペンギンたち
お読みいただきありがとうございます!
第六の秘宝『天空の風琴』を求め、雲の上に浮かぶ「天空の浮遊島」を目指すアルト一行!
ルイスがドヤ顔で用意した風魔導船で大空へ飛び立ったものの、浮遊島の手前には猛烈な上昇気流と竜巻が吹き荒れる「龍巻の谷」が立ちはだかり……!?
高所恐怖症で瀕死のファリアと、相変わらず空気を読まない一行の空中大パニックが幕を開けます!
楽しんでいただけましたら、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価】で応援していただけると大変嬉しいです!
ゴォォォォォォオオオッ……!!
雲を突き抜けた遥か高空。
視界一面に広がるのは、白い雲の海と、天を突き破るように荒れ狂う巨大な「龍巻の谷」であった。
「ひ、ヒィィィィィ……! 高い! 高すぎる……っ! 落ちる! 絶対に落ちるのだぁぁぁ!」
甲板の隅で、イエローペンギン姿のファリアが命綱代わりのロープを全身にぐるぐる巻きにし、船の甲板にしがみついて涙目になっていた。
樹上の精霊たるエルフの威厳は、高度三千メートルの前に微塵も残っていない。
「ファリアさん大丈夫ですか!? ほら、遠くの雲を見て気を紛らわせてください!」
「無理だアルト! 下を見なくても風の音が死を予告しているぅぅぅ!」
俺——アルトが必死に介抱している横で、ルイスがスカした顔で船の操縦桿を握っていた。
「ふ……案ずるなファリア君。僕の魔導船『フライング・ペンギン号』の防風結界は完璧さ。この龍巻の谷の上昇気流に乗れば、一気に上の浮遊島まで——」
バリバリバリッ!!
「「「結界が割れたぁぁぁぁぁ!!??」」」
「あ、暴風の魔力が予想の三倍以上だったね」
「『だったね』じゃねぇよバカ!!」
龍巻の谷の狂暴な風が容赦なく船体を叩きつける!
ギシギシと悲鳴を上げる船体。そして——猛烈な上昇気流が船を真下から突き上げた!
ドドォォォォンッ!!
「きゃあぁぁぁぁ!? 体が浮くわー!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、真っ先に風にあおられて空へと放り出された!
「殿下ぁぁぁぁ!?」
「任せたまえ! 僕の重力制御魔法で——」
「ルイス余計なことするな爆発する!!」
叫ぶ俺の視界で、風に煽られたルイス、マルコ、シルフ、ミミ、そして絶叫するファリアが、次々と大空へと吹き飛ばされていく!
「いやぁぁぁぁぁ! やっぱりこうなったではないかぁぁぁぁ!」(ファリアの断末魔)
「くそっ! こうなったら全員まとめて腹滑り(滑空)だぁぁぁぁ!」
俺はヤケクソで船から飛び出すと、空中でお互いのペンギンの羽を掴み合わせ、全員で一枚の巨大な「七色ペンギンの円陣」を組んだ!
「みんな! ペンギン服のフードをしっかり被れ! 空気抵抗を最小限にするんだ!」
モコモコペンギン着ぐるみの圧倒的な表面張力と空気力学(?)が、まさかの奇跡を起こす。
猛烈な風圧を受け止めた俺たちは、まるで巨大なパラシュート……いや、巨大なムササビのように上昇気流に乗り、そのまま一直線に雲の上の巨大な浮遊島へと吹き上げられた!
ズサザーーーーーッ!!
雲を突き抜けた先、緑豊かな浮遊島のフカフカな芝生の上に、七色のペンギンたちが一列になってスライディング着地を果たした。
「……た、助かった……?」
俺は地面にしがみつき、激しい吐き気の中で胃薬を口に放り込んだ。
「あはは! すごーい! 本当に空を飛んじゃったわ!」
エレノア殿下がフンスと胸を張り、ペンギンの羽をパタパタさせる。
「……生きて……いる……のか……?」
ファリアが芝生に突伏したまま、プルプルと震えて涙目で上を見揚げた。
「ふむ……着ぐるみの空気抵抗計算が見事にハマったね。僕の計算通りさ」
真っ白に焦げた眼鏡を拭きながらルイスがスカす。計算通りなわけあるか!
こうして、一行は空中分解の危機を(シュールな滑空で)乗り越え、ついに第六の秘宝が眠る『天空の浮遊島』へと降り立ったのだった。
第34話をお読みいただきありがとうございました!
猛烈な上昇気流と竜巻が吹き荒れる「龍巻の谷」!
魔導船が吹っ飛ぶ絶体絶命のピンチでしたが、ペンギン着ぐるみの謎の滑空性能(と全員の円陣)によって、無事に「天空の浮遊島」へと着地成功!
次回「第35話:天空の神殿と、やっぱり詰まってた【天空の風琴】」をお楽しみに!
少しでも面白かったら、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価】で応援していただけると大変励みになります!




