第33話:第六の秘宝を求めて 〜天空の浮遊島と高所恐怖症の騎士〜
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水底の神殿で無事に(風呂の)ゴム栓をキュッと閉め、第五の秘宝『わだつみの宝珠』を手に入れたアルト一行!
水の都の危機をまたしてもシュールな形で救ったポンコツペンギン隊ですが、残る秘宝はあと二つ!
ルイスが解読した第六の秘宝のありかは……なんと雲の上に浮かぶ『天空の浮遊島』!?
水陸両用(?)を証明したモコモコ着ぐるみ集団が、ついに「空」へと挑みます!
大運河の水位低下を見事に解決し、ヴェネロアの街から盛大な見送りと大量の感謝の品(主に高級魚の缶詰)をもらった俺たち。
街の港に停泊した船の上で、俺は青く輝く『わだつみの宝珠』を眺めながら溜め息をついていた。
「はぁ……5個目か。なんだかんだで、もう5つも集まっちゃったよ」
「何言ってるのアルト! 順調そのものじゃない!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、手に入れた宝珠をジャグリングのようにぽんぽんと弄んでいる。
「落としたら割れますからやめてください殿下!……さてルイス、次はどこなんだ? 『わだつみの宝珠』になんか書いてあるか?」
俺が尋ねると、黒ペンギン姿のルイスがキザに眼鏡のブリッジを押し上げ、宝珠の底面に刻まれた古代文字を読み上げた。
「ふむ……『雲海を突き抜けし天上の楽園、風集う浮遊島に眠る【天空の風琴】』……だってさ」
「天空の浮遊島……!?」
俺は思わず二度見ならぬ二度聞きをした。
「ちょっと待て、雲の上!? 島が空に浮いてるのか!?」
「そうだよアルト君。大陸の中央、絶えず暴風が吹き荒れる『龍巻の谷』の上空数千メートルに浮遊する、伝説の島『スカイランド』のことだね」
ルイスが事もなげに解説する。
「空か……良いではないか! 陸、海と征した我ら『カラフルペンギン隊』の次なる舞台にふさわしい!」
グリーンペンギンのシルフが、満足そうに腕を組んで頷く。
「……あ、あの」
その時、イエローペンギン姿のエルフ、ファリアが小刻みに震えながら挙手をした。
黄色いくちばしフードの影から覗く顔紙が、心なしか蒼白になっている。
「ファリアさん? どうしたんですか?」
「な……なんでもない! ただ……その、どれくらいの高さなのだ? その浮遊島というのは……」
「そうですね、雲より遥か上ですから、落ちたらまず間違いなく生きて地上には——」
「ひぃっ!?」
ファリアが小さく悲鳴を上げ、その場にへたり込んだ。
黄色いペンギンの羽で必死に自分の頭を抱え込んでいる。
「……ファリア殿? もしや貴公、高所恐怖症か?」
シルフが尋ねると、ファリアは顔を真っ赤にして勢いよく立ち上がった。
「ち、違う! エルフの守護射手が高い場所を怖がるはずがなかろう! 木の上で暮らす種族なのだぞ!? ただ……その……数千メートルは少しばかり……スケールが大きすぎるというか……っ!」
プライドを保とうと必死に弁明するファリア。
樹上の生活(せいぜい十数メートル)と、雲の上の浮遊島(数千メートル)ではわけが違うらしい。案外チョロくて可愛いところがある。
「大丈夫よファリア! 私たちにはこのペンギン服があるわ!」
エレノア殿下がフンスと胸を張る。
「……殿下、ペンギンは飛べませんよ?」
「何言ってるのアルト! ペンギンは空を飛べないからこそ……滑空するのよ!!」
「言ってる意味がさっぱり分かりません!!」
「まあまあ、空への移動なら僕の風魔導船『フライング・ペンギン号(突貫改造済)』があるからね。安全・快適な空の旅を約束しよう」
ルイスが怪しい笑みを浮かべる。安全という言葉がこれほど信用できない男も珍しい。
「……空。美味しい鳥肉、たくさんいそう」
白ペンギンのミミが、空を見上げてペロリと舌を出した。
「よし! 目指すは雲の上の浮遊島! 第六の秘宝を探しに出発よー!」
「「「おー!」」」
「ひ、ヒィィィ……(ガタガタガタ)」
高所でガクガクと震えるファリアを乗せて、一行の船は次なる試練の地『龍巻の谷』へと向かうのだった。
第33話をお読みいただきありがとうございました!
第六の秘宝『天空の風琴』を求め、次なる舞台はまさかの雲の上「天空の浮遊島」!
エルフの守護射手ファリアの「まさかの高所恐怖症」という可愛い弱点も発覚しつつ、ペンギン隊はついに大空へと羽ばたきます(?)!
次回「第34話:龍巻の谷と、飛ばされたペンギンたち」をお楽しみに!
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