第31話:水の都の噂と、水底に眠る【わだつみの宝珠】
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運河での前代未聞のレスキュー劇(?)により、一躍ヴェネロアの有名人(怪人)となってしまったペンギン一行。
第五の秘宝『わだつみの宝珠』の情報を集めるべく街を探索する彼らですが、またしても「古代の秘宝にありがちな身も蓋もない現実」と遭遇することになり……!?
「やあやあ、噂の『ペンギンレスキュー隊』の皆さん! 先ほどはゴンドラを救ってくれてありがとう!」
ヴェネロアの中央広場にあるカフェ。
七色の巨大ペンギンがテラス席を占領する異様な光景の中、街のギルド長がにこやかに紅茶を運んできてくれた。すっかり街の名物扱いである。
「いいのよギルド長さん! 困ったときはお互い様だわ!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、ストローで果汁ジュースをちゅーちゅーと吸いながら上機嫌に笑う。
「それでギルド長さん。実は俺たち、この街の水底に眠ると言われている『わだつみの宝珠』を探しているんですが……何か知りませんか?」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを少し直しながら本題を切り出した。
「おや、『わだつみの宝珠』かい? ああ、もちろん知っているとも。大運河の最深部、古代の水上神殿に鎮座する街のシンボルだからね」
「本当ですか!? じゃあ、厳重な警備や古代の魔導結界が張られていたりするんですか?」
俺の問いに、ギルド長はどこか困ったような、気まずい苦笑いを浮かべた。
「いやあ……結界というか……実はね、最近『わだつみの宝珠』の調子が悪くてね。街全体の水位を調整する聖なる宝珠なんだが、ここ一週間ほど引き潮(減水)が止まらなくて、運河の水位がどんどん下がっているんだよ」
「水位が下がっている……?」
グリーンペンギンのシルフが眉をひそめる。
「ふむ、古代の魔導回路の劣化か、あるいは海の邪神による封印の揺らぎ……といったところかな?」
黒ペンギンのルイスがキザに眼鏡を光らせた。
「いや……なんというか……」
ギルド長は気まずそうに頭をかいた。
「水底の神殿を覗いたダイバーの報告によるとね……宝珠が嵌まっている台座の【排水口のゴム栓】が、老朽化で少しズレて『すき間』が開いているらしいんだ」
「「「「「排水口のゴム栓ぇぇぇぇぇ!!???」」」」」
カフェ全体に俺たちの悲鳴(とペンギンの翼が羽ばたく音)が激しく響き渡った。
「ちょっと待ってください!! 世界を統べるレベルの古代の秘宝ですよね!? なんで風呂場みたいな構造してるんですか!?」
「いやあ、古代人のお風呂用バスタブの技術がそのまま神殿に使われていたみたいでね……。誰かが潜って【栓をキュッと押し込む】だけで直るらしいんだが、神殿の周囲は急な潮流があって、誰も底まで潜れなくて困っていたのさ」
「……またか」
俺はその場に突伏し、テーブルに突いたおでこを押さえながら、ポケットから手慣れた動作で胃薬を取り出した。
「ノイズオルゴール……エアコン強設定……加熱タイマー……チューニング不足……そして今回は『風呂の栓の緩み』かよぉぉぉぉ!!」
「あら! じゃあ私がキュッと押し込んできてあげるわ!」
エレノア殿下がパッと立ち上がった。
「私たちには、この水に浮く&潜れる最強の『ペンギンアーマー』があるもの! みんな、水底の神殿へ出発よー!」
「「「おー!」」」
こうして俺たちは、世界を救う大冒険(※実態は古代のお風呂の栓を閉めに行く作業)のため、ヴェネロアの大運河の最深部へと向かうのだった。
第31話をお読みいただきありがとうございました!
第五の秘宝『わだつみの宝珠』の異常気象(減水)の原因は、またしても身も蓋もない「風呂の排水口の栓の緩み」でした(笑)。
ペンギン着ぐるみの圧倒的な潜水&浮力性能を生かし、一行は無事に栓を閉めて秘宝を回収できるのか!?
次回「第32話:水底の神殿! 〜キュッと閉めて秘宝ゲット!?〜」をお楽しみに!
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