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退屈した王女と行く秘宝探しの旅……って、私以外まともな奴がいないんですが!?  作者: 凪塩 未来


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第30話:水上都市ヴェネロア到着! 〜ペンギン隊、海へ浮かぶ〜

お読みいただきありがとうございます!


エルフの射手「ファリア」も(黄色いペンギン姿のまま)仲間に加わり、賑やかさが限界突破したアルト一行!

四つの秘宝を手に入れた彼らが辿り着いたのは、運河が縦横無尽に走る美しき水上都市『ヴェネロア』!

しかし、水上の街で「モコモコペンギン着ぐるみ」を着た集団が大人しく観光できるはずもなく……!?

抜けるような青空と、太陽の光を受けてキラキラと輝く紺碧の海。

石造りの美しい建物と、街中に張り巡らされた運河を無数のゴンドラ(小舟)が行き交う、世界有数の観光都市——水上都市『ヴェネロア』。


「うわぁぁぁ! すごーい! 街全体が海の上に浮いているみたい!」


運河を渡る大きな石橋の上で、ピンクペンギン姿のエレノア殿下が身を乗り出して歓声を上げた。


「殿下、落ちますから危ないですよ!……はぁ、でも本当に綺麗な街ですね。久々に命の危険を感じないまともな場所に立ち寄れた気がします」


俺——アルトは、イエローペンギンのフードの隙間から街並みを眺め、心から安らぎを感じていた。

そう、ここには凍死の恐怖も、自家製サウナも、転がる巨大岩も、激怒したエルフの矢も存在しない。平和そのものである。


「ふむ……運河の水質も良好、街の魔導波長も安定している。たまにはこういう優雅なバカンスのような秘宝探しも悪くないね」

黒ペンギンのルイスが、スカした顔で橋の欄干に肘をついた。


「……む。水が多くて少し寒気がするが……この『グリーンペンギンアーマー』があれば何の問題もない」

相変わらず重度の寒がりであるシルフが、頼もしそうに自分の胸元を撫でる。


「私のも……(イエローペンギンアーマー)水弾く。機能的……っ」

すっかり着ぐるみのアディクト(中毒者)と化したエルフのファリアも、くちばしフードの影で満足そうに頷いていた。


「おい見ろ、魚がたくさん泳いでるぞ! 美味そうだ!」

茶色ペンギンのマルコが、よだれを垂らしながら運河を覗き込む。


「……魚、獲る」

白ペンギンのミミが、素早く爪をシャキーンと立てて飛び込む体制に入った。


「ミミ待て! 街の運河で密漁しようとするんじゃない!」


俺が慌ててミミの白い羽を掴んで引き止めた、その時だった。


「きゃあぁぁぁぁ!?」


石橋の下の運河から、女性の悲鳴が上がった!

見下ろすと、観光用のゴンドラに乗っていた船頭の漕ぎ棒がポッキリと折れ、激しい潮流に流された船が、運河の交差点の石壁に向かって猛スピードで激突しそうになっていた!


「大変! 船がぶつかっちゃうわ!」

「くっ、私の大剣で船を受け止める——」

「水の中で大剣振ったら沉みますよシルフさん!」


「アルト! 行くわよ!!」

「えっ、行くってどこに——ぎゃあぁぁぁ!?」


言いかける前に、エレノア殿下が俺の手(イエローの羽)をガシッと掴むと、そのまま橋の上から運河に向かって躊躇なく飛び降りた!


ドバッシャァァァァン!!


俺とエレノア殿下、そしてつられるように飛び込んだルイス、マルコ、シルフ、ミミ、ファリアのカラフルペンギン七人衆が、運河の水面へとダイブした!


「ぶはっ!? げほっ、殿下ぁぁぁ!!」


水面に顔を上げた俺は、自分の身体に起きた「異常」に気づいた。


プカ……プカ……。


「……え?」


沈まない。

それどころか、俺たちの着ているモコモコペンギン服は、驚異的な撥水性と高密度の浮力を発揮し、まるで『高級ライフジャケット』のように完全に水面に浮いていたのだ!


「きゃははは! 見てアルト! すごく浮くわ! まさに本物のペンギンね!」

エレノア殿下が水面をパシャパシャと叩きながら楽しそうに泳ぐ。


「な……なんだこの圧倒的な浮力は……っ!? 泳ぎの苦手な私でも、水面を自由自在に滑ることができる……っ!」

シルフが感動の声を上げる。


「みんな、遊んでないで船を止めるわよ! ペンギン水上レスキュー隊、出動ー!」

「「「おー!」」」


俺たちは水面を凄まじいスピードでバタ足推進(※ミミとマルコが超人的な脚力で押した)し、激突寸前だったゴンドラの手前に滑り込んだ!


ズシャァァァッ!!


マルコとシルフが船の先端をガシッと受け止め、衝撃をモコモコ服で完璧に吸収!

ゴンドラは石壁のわずか数センチ手前でピタリと停止した。


「た、助かった……!? ありがとう、命の恩人……って……」


乗客と船頭が涙目で感謝を述べようとして……目の前に浮かぶ「色とりどりの巨体ペンギン集団」を見て、言葉を失った。


「「「「「ペンギンのバケモノだぁぁぁぁぁ!!???」」」」」


「失礼ね! 通りすがりの愛と正義のペンギン隊よ!」

エレノア殿下が水上でドヤ顔で決めポーズをとった。


こうして、せっかくの平和な水上都市ヴェネロアに到着した俺たちは、初日から「運河に浮かぶ謎のカラフル怪人集団」として、街中の話題を激しくさらってしまうのだった。

第30話をお読みいただきありがとうございました!


無事に美しき水上都市ヴェネロアへと到着したアルト一行!

ペンギン着ぐるみの謎の新機能「圧倒的浮力&完全防水」によって、事故りかけたゴンドラを救出(?)し、水上でも安定の異彩を放ちました(笑)。


次回「第31話:水の都の噂と、水底に眠る【わだつみの宝珠】」をお楽しみに!


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