第28話:エルフの長老と、やっぱり壊れてた『木漏れ日の竪琴』
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イエローペンギンと化したエルフの守護射手ファリアの案内で、ついに「エルフの里」へと足を踏み入れたアルト一行。
厳かな雰囲気が漂う最深部で待ち受けていたのは、数千年の時を生きる気高き「エルフの長老」!
第四の秘宝『木漏れ日の竪琴』を巡り、緊迫の交渉が始まる……はずが、やっぱり今回も「あのパターン」で……!?
巨木の幹をくり抜いて作られた、神聖なる『長老の館』。
厳かな静寂が満ちる大広間の奥、木彫りの玉座に鎮座していたのは、長く白い髭をたくわえた威厳あふれる老人——エルフの長老『エルリオン』であった。
「……ファリアよ。異感を察知して向かったと思えば、このようなカラフルで珍妙な怪物の大群を引き連れてくるとは……一体どういうことじゃ」
長老の冷徹な眼光が俺たちを射抜く。
……が、その視線はすぐにファリアの姿でピタリと止まった。
「というかファリアよ。なぜお前までその黄色い鳥の皮を被っておるのじゃ?」
「ち、違います長老様! これは人間の防寒具……ではなく! 『霊樹の加護を受けし至高の聖衣』にございます!」
「威厳ゼロの言い訳やめなさいファリアさん!!」
俺のツッコミが神聖な館に響き渡る。
「……まあよい。して、人間どもよ。我が里に何の用じゃ? 命が惜しくば疾走して去るがよい」
「長老様! 私たちは秘宝『木漏れ日の竪琴』を譲り受けに来たの!」
エレノア殿下がピンクペンギンのまま堂々と一歩前へ出た。
「なに……!? 『木漏れ日の竪琴』だと……!?」
長老の顔色がガラリと変わり、激しい動揺を見せた。
「バカな……! あれは我が里が数千年にわたり守り続けてきた至高の神器! 精霊の歌声を奏で、森の生態系を司る神聖なる……神聖なる……っ」
なぜか長老の言葉が詰まり、急に気まずそうに目を泳がせ始めた。
「……長老様?」
シルフが首をかしげる。
「う、うむ! 実はな……その秘宝なら……あそこの棚の上に置いてあるのじゃが……」
長老が気まずそうに指差した部屋の隅の棚。
そこには、透き通るような緑色の木目でできた美しい竪琴——『木漏れ日の竪琴』が置かれていた。
置かれていたのだが。
ビョ〜〜〜ン……ポロン……ポツッ。
「……なんか、不穏な音が漏れてません?」
俺は嫌な予感しかしない思いで、そっと竪琴に近づいた。
よく見ると、竪琴に張られた七本の弦のうち、六本が「でろ〜ん」と無残に弛みきっており、残る一本は……『輪ゴム』で代用されていた。
「「「輪ゴムーーー!!??」」」
「ちょっと長老さん!? 世界を統べるレベルの古代の秘宝に何してくれてるんですか!?」
「ち、違うのじゃ! わしが壊したのではない! 数百年前に弦が経年劣化で切れたのじゃが……張り替え方が誰にも分からず、とりあえず手元にあった輪ゴムで応急処置を……っ!」
言い訳しながら真っ赤になる長老。
そう、この『木漏れ日の竪琴』が奏でる「拒む者を拒み、選ばれし者に歌を授ける神聖な呪い」の正体は……単なる【経年劣化による弦の狂いと、チューニング不足による激しい不協和音(音害)】だったのだ!!
「……またか」
俺はその場に両膝をついた。
「ノイズオルゴール、エアコン強設定放置、加熱タイマー切り忘れ……そして今回は『弦のチューニング不足』かよぉぉぉぉ!!」
「あら、弦がゆるんでいただけなのね! ルイス、直せる?」
「ふっ……任せたまえ殿下! 弦の張力調整など、僕の緻密な魔力操作にかかれば造作もない!」
黒ペンギンのルイスが知的に眼鏡を光らせ、スッと竪琴に手を伸ばした。
「おいルイスやめ——」
俺が止めるより速く、ルイスが輪ゴムとゆるんだ弦を『キュッ』と力任せに引っ張った。
ブチッッ!!
「あ」
……輪ゴムが切れて、ルイスの手に激しくヒットした。
「痛っっっっ!?」
「ルイスぅぅぁぁぁぁ!!」
ポンコツたちの混沌は、ついにエルフの最高聖域すらも巻き込んで加速していくのだった!
第28話をお読みいただきありがとうございました!
エルフの里の秘宝『木漏れ日の竪琴』でしたが、案の定の「経年劣化によるチューニング不足(&輪ゴム補修)」というオチでした(笑)。
ルイスが輪ゴムを切って自爆したところで、無事に(?)弦を張り直して第四の秘宝をゲットできるのか!?
次回「第29話:秘宝『木漏れ日の竪琴』ゲット! 〜次なる舞台は水上都市〜」をお楽しみに!




