第26話:ローレライの樹海 〜迷いの森とエルフの矢〜
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新章「エルフの樹海編」がスタート!
三つの秘宝を集めたアルト一行が目指すのは、人間嫌いのエルフ族が潜む「ローレライの樹海」。
迷いの森の結界や、森の暗殺者たるエルフの射手たちを前に、カラフルなペンギン一行は無事にエルフの里へと辿り着けるのか……!?
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サボテン・オアシスをあとにした俺たちは、大陸東方に広がる深遠なる緑の魔境——『ローレライの樹海』の入り口へと到達していた。
見上げるほどの巨木が隙間なく立ち並び、日光すら遮るほど密生した緑の葉。
森の奥からは、どこか幻想的で神秘的な、しかし同時に人を寄せ付けない冷厳な気配が漂っている。
「ここがエルフの樹海……。空気がなんというか、ピリピリしていますね」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを深々とかぶり直しながら警戒を強めた。
「ふむ……古代の迷彩結界が森全体に張り巡らされているね。普通の旅人なら、数分歩くだけで感覚を狂わされ、元の入り口へと戻される仕組みさ」
黒ペンギン姿のルイスが、キザに眼鏡のブリッジを押し上げながら解説する。
「ルイス、解除できそうか?」
「ふ……任せたまえ! 僕の解析魔法『コード・ブレイカー』にかかれば、このような古い結界など——」
ルイスが杖を掲げて呪文を唱えようとした、その瞬間。
シュッ……ツィンッ!
「……ぶはっ!?」
ルイスの黒ペンギンフードの「頭頂部(ポンポン部分)」に、一本の鋭い矢が深々と突き刺さった。
「「「射殺されかけたぁぁぁぁぁ!?」」」
「動くな、不審者ども。次の一矢は、その醜悪な怪物の眉間を打ち抜く」
透き通るような美しい、しかし氷のように冷たい声が頭上の巨木の上から響いた。
見上げると、そこにはしなやかな緑の衣装を身に纏い、見事な銀髪と尖った耳を持つ美しきエルフの少女——樹海の守護射手『ファリア』が、弓を番えて俺たちを見下ろしていた。
「ひ、人間に害をなすつもりはありません! 俺たちはただ——」
「黙れ。そのような見るに耐えんカラフルな怪物の着ぐるみを着て、聖なる樹海に足を踏み入れる不躾な人間どもに聞く耳など持たん」
ファリアの瞳に宿るのは、絶対的な拒絶と警戒。
弓の弦がギリギリと固く引き絞られる。あ、これ本気で殺しにきてるやつだ!
「あら! あなたとっても綺麗な耳をしているわね!」
……が、我らがエレノア殿下は、絶体絶命の緊張感を完璧にぶち壊して笑顔で前へ出た。
「無礼者! 森の静寂を乱す侵略者め、死を以て——」
「……あ」
ファリアが矢を放とうとしたまさにその時、白ペンギン姿のミミが、素早い身軽さでファリアの足元の幹を『ガリガリガリッ!』と爪で激しく削った。
「きゃっ!? な、何をする……わっ、足場が——!」
幹が急激に削れてバランスを崩したファリアが、巨木の上から真っ逆さまに落ちてくる!
「危ない!」
茶色ペンギン姿のマルコが、巨体を滑り込ませて受け止めに入った!
ドサッ!
「ぐはっ!? い、痛でぇ……!」
「マルコ!?」
ファリアは無傷だった。
……なぜなら、マルコの『極厚モコモコペンギン服(腹部分)』が、完璧なクッションとなって彼女の落下衝撃を百パーセント吸収したからである。
「な……なに……? この……包み込まれるような柔らかさと温もりは……!?」
ファリアがマルコのモコモコのお腹に顔をうずめたまま、呆然と呟いた。
厳格でプライドの高いエルフの少女が、茶色ペンギンの腹の上でフリーズしている。
「……ふむ。エルフの射手よ、怪我はないか?」
グリーンペンギン姿のシルフが、静かに歩み寄って手を差し伸べた。
「く……っ、騙されんぞ! 私を捕らえる気——」
と言いかけたファリアの視線が、シルフの着ている『グリーンペンギン服』の圧倒的なもふもふ感に釘付けになった。
「な、なんだその服は……! 樹海の精霊の加護でも受けているかのような、この完璧な保温性と肌触り……っ! 嘘だ、人間ごときにこのような至高の衣が作れるはずが……!」
高級な絹と自然を愛するエルフの美意識が、謎の技術で作られたモコモコペンギン服の恐怖の集客力(肌触り)の前にガラガラと崩れ去っていく!
「……気に入ったなら、これあげようか?」
エレノア殿下が、荷物の中から予備の『イエローペンギン着ぐるみ(ミニサイズ)』を笑顔で取り出した。
「ふ、不届き者め! このような奇妙な服など……着る……わけが……っ!」
ガタガタとプライドと誘惑の間で葛藤し、顔を真っ赤にするファリア。
(……このエルフ、案外チョロいかもしれない)
俺はそっとポケットから胃薬を取り出し、次の展開に備えて噛み砕くのだった。
第26話をお読みいただきありがとうございました!
エルフの樹海へと突入した一行!
冷酷無比なエルフの射手ファリアに狙撃される絶体絶命のピンチ(?)でしたが、マルコのペンギン服クッションと、着ぐるみの謎の超絶肌触りによって早くも攻略の兆しが……(笑)。
次回「第27話:エルフの里潜入! 〜黄色いペンギンになった守護射手〜」をお楽しみに!
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