第18話:氷の宮殿 〜最深部! 秘宝『氷結の心臓』を手に入れろ!〜
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ルイスの暴発(熱風)によってスノー・ゴーレムを文字通りドロドロに溶かした一行。
障害を撃破し、ついに山頂に佇む「氷の宮殿」の最深部へと足を踏み入れます!
青く神秘的に輝く第二の秘宝『氷結の心臓』。しかし、その周囲には恐ろしい冷気と、思わぬ「秘密」が隠されていて……!?
スノー・ゴーレムが溶けてできたぬるま湯の水たまりを横目に、俺たちはついに『氷の宮殿』の本殿最深部へと到着していた。
透き通る青い氷でできた広大な大広間。
その中央にある氷の台座の上に、一握りほどの大きさの青く輝く球体——第二の秘宝『氷結の心臓』がぽっかりと浮遊していた。
「……あれが、古代の秘宝『氷結の心臓』……!」
グリーンペンギン姿のシルフが、ゴクリと唾を呑み込む。
「なんて綺麗な青色なのかしら……! 見ているだけでうっとりしちゃうわね!」
エレノア殿下が目を輝かせて拍手する。
「みんな、油断するなよ。秘宝の周りから凄まじい冷気が溢れ出している。生身で近づけば一瞬で凍りつくぞ」
俺は慎重に短剣を握り直し、台座の周囲を警戒した。
確かに『氷結の心臓』からは、周囲の空気をバキバキと凍らせるほどの恐ろしい冷気の波動が放射されている。この霊峰全体の異常な低温も、サザンポートまで届いていた冷気の源も、間違いなくこれだ。
「ふむ……古代の結界魔法が働いているようだね。秘宝そのものが暴走状態にある。解読と解除には僕の高度な魔導知識が——」
「……アルト、あれ」
ルイスが知的に語りかけた瞬間、ミミがすっと俺の袖を引っ張った。
ミミが指差したのは、秘宝が浮かぶ氷の台座の「側面」だった。
「ん……? 台座の横になんか文字が書いてあるのか?」
俺は目を凝らして、氷の台座の横面を注視した。
そこには、古代文字でも何でもなく、誰にでも分かる非常にシンプルかつ明瞭なプレートが埋め込まれていた。
【出力ダイヤル:強(MAX)】
「……は?」
俺は思わず裏返った声を漏らした。
よく見ると、プレートの横には金色の「つまみ(ダイヤル)」がついており、それが『弱・中・強(MAX)』と並んだ目盛りの『強(MAX)』の位置に力任せにカチッと合わされていた。
「……ねえ、シルフさん」
「む、なんだアルト?」
「あの台座についてるダイヤル……何ですかアレ?」
「あ、あれは古代の魔導エアコン……いや、霊峰の気温を調整するための『霊気調整ダイヤル』だが……」
静まり返る氷の大広間。
「……つまり何か?」
俺はこめかみをピクピクと震わせた。
「霊峰が異常な大吹雪になってサザンポートまで冷気が届いていたのは……古代の邪神の呪いでも結界の暴走でもなく……『ただ誰かがダイヤルをMAX(強)に回しっぱなしにして放置していたから』……ってことか!?」
「そ、そういうことになるな……」
シルフがグリーンペンギンのフードの陰で気まずそうに目を泳がせる。
「誰だぁぁぁぁぁ!! エアコンのスイッチ強にして放置したバカはぁぁぁぁ!!」
俺の悲鳴が大広間に激しくこだました。
嘆きの洞窟の時は「壊れたオルゴールのノイズ」で、今回は「エアコンの強設定放置」だと!?
世界を揺るがす古代の秘宝のトラブル、毎回理由が身も蓋もなさすぎるだろ!!
「あら、なんだ。壊れてるわけじゃないのね!」
エレノア殿下が呑気に笑いながら、危険な冷気の壁を意に介さずトコトコと台座へ近づいていく。
「殿下! 危ないです近づいちゃ——」
「えいっ♪」
エレノア殿下はモコモコペンギンの手で、ダイヤルをガシッと掴むと、思い切り『標準(弱)』の位置へとカチ回した。
カチッ。
……その瞬間。
ピタリと、大広間を吹き荒れていた凶悪な冷気の波動が収まった。
台座の上で激しく明滅していた『氷結の心臓』も、穏やかで優しい青い光へと変わり、静かにエレノア殿下の手元へと降りてきたのだった。
「キャッチ! ふふっ、第二の秘宝『氷結の心臓』、無事にゲットよ!」
エレノア殿下が眩しい笑顔で秘宝を掲げてポーズを決めた。
「……胃が痛い」
俺はその場に両膝をつき、激しい脱力感と共に胃薬を二粒口に放り込んだ。
こうして、極北の霊峰を揺るがした大騒動は、またしても拍子抜けするような形で幕を閉じたのであった。
第18話をお読みいただきありがとうございました!
無事に第二の秘宝『氷結の心臓』を手に入れたアルトたち!
しかし異常気象の原因は、またしても「ダイヤルの強設定放置」というお約束のオチでした(笑)。
次回「第19話:守護騎士シルフの決意 〜ペンギンを脱がない理由〜」をお楽しみに!
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