第16話:試練の氷橋 〜滑る! 転ぶ! 崩れ落ちる!〜
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難所である「試練の氷橋」へと到着したアルト一行。
心に邪念がある者を叩き落すという伝説の橋を前に、自信満々の仲間たちが次々と挑みますが……邪念以前に、氷山ならではの「身も蓋もない物理的な問題」が牙を剥き……!?
「ここが『試練の氷橋』だ」
グリーンペンギン姿のシルフが、神妙な面持ちで足を止めた。
目の前に広がるのは、雲を眼下に見下ろすほどの深遠な谷と、向こう岸へと渡された透き通る氷の橋。下からは「ヒュォォォ……」と凄まじい吹き降ろしの突風が吹き上がっている。
「よし、まずは僕が手本を見せよう。僕の心の清らかさは学園でも有名だったからね」
黒ペンギン姿のルイスがスカした顔で前へ出た。
杖を滑らかに一回転させると、自信満々に橋へ一歩踏み出す。
——ツルッ!!
「ぬわぁぁぁぁぁ!?」
……踏み出した瞬間、派手に足を滑らせて宙を舞うルイス。
邪念の有無以前に、単に氷の上が滑りやすすぎただけである!
「ルイスー!?」
「任せろ! 俺が助ける!」
茶色ペンギン姿のマルコが、仲間を救うべく勢いよく跳び出した!
——ツルッ!!
「グオォォォォ!?」
マルコも着地と同時に派手に足を滑らせ、前方に巨体をすっ飛ばした!
宙で合体したルイスとマルコは、そのまま勢いよく谷底へと落ちていく——
「……落ちさせない!」
白ペンギン姿のミミが素早い動きで腰のロープを解くと、シュッと谷底へ向けて投げ放った!
ロープは見事に二人の足首に絡みつく!
ガクンッ!!
「ぐえっ!?」「ぶへっ!?」
宙吊りになる二人。
「ミミ、ナイス! よし、引っ張るぞ! せーのっ!」
俺とミミ、そしてシルフで必死にロープを引き上げ、なんとか二人を救出した。
引き上げられたルイスとマルコは、あまりの恐怖にガタガタと震えながら氷の上に転がった。
「……ふむ。二人には試練を突破する資格(心の清らかさ)が足りなかったようだな」
シルフが真面目な顔で頷いた。
「いや、ただ氷で滑っただけですからね!? ていうかこの橋、表面がつるっつるなんですよ!」
「ふふん、私に任せなさい!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、腕をまくって前へ出た。
「殿下、危ないです! 歩いたら滑り——」
「大丈夫よ! ペンギンの真の歩き方(?)を見せてあげるわ! ……えいっ!」
エレノア殿下は何躊躇もなく橋の上にペタンと腹ばいになると、そのまま滑り台の要領で勢いをつけた。
シュザーーーッ!!
「「「腹滑りー!?」」」
「きゃははは! たのしーい!!」
モコモコペンギン服の優れた滑走性能と低摩擦性をフルに活かし、エレノア殿下は腹滑りで猛スピードで氷の橋を滑走!
吹き荒れる突風も、姿勢を低くしているおかげで完全に無効化し、あっという間に対岸へと到達して爽やかに着地を決めた。
「ほら、みんな! 早く来なさいよー!」
対岸で手を振るエレノア殿下。無傷である。
「……なるほど。あえて身を低くし、ペンギンアーマーの滑走性能を利用して風をやり過ごす……完璧な試練の攻略法だ」
シルフが深く感心して手をポンと打った。
「真似しちゃダメな攻略法だからねそれ!?」
結局、俺たちは全員で氷の橋を『ペンギン腹滑り』で一列になって滑り渡るという、古代の試練を根底から侮辱するような方法で橋を突破したのだった。
第16話をお読みいただきありがとうございました!
伝説の試練の氷橋でしたが、精神的な試練以前に「滑りやすすぎる」という物理的な問題により、ルイスとマルコが滑落の危機に!
しかし王女様の思いつきによる「ペンギン腹滑り」によって、無事に(?)全員で橋を渡り切ることに成功しました。
次回「第17話:スノー・ゴーレムの襲撃 〜ルイスの魔法(暴発)が火を噴く!〜」をお楽しみに!




