第14話:氷の女騎士シルフ登場 〜その威圧感、実は重度の寒がり?〜
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怪しすぎるペンギン着ぐるみ姿のせいで、霊峰の守護騎士「シルフ」から賊と間違われてしまったアルト一行。
大剣を構え、威圧感を放つ美しき女騎士との緊迫したエンカウント! ……のはずが、ルイスのいつもの暴発魔法(?)によって、事態は思わぬ方向へと転がっていき……!?
「問答無用! 霊峰の守護騎士シルフ・フロストビートとして、怪しい不審者どもを拘束する!」
大剣を鋭く構える美しき女騎士・シルフ。
その全身から放たれる圧倒的な威圧感に、酒場『氷髭の亭』の客たちが「ひぇっ、シルフ様だ!」「また始まったぞ!」「巻き込まれる前に逃げろ!」と蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っていく。
「ルイス、防御魔法をかけるんだ! 話を聞いてもらえる状況じゃない!」
「ふっ、任せたまえアルト君! 僕の絶対防御魔法『アイシクル・シールド』で彼女の攻撃を受け止めよう!」
黒ペンギン姿のルイスが、威風堂々と杖を大きく掲げた。
——ぼふん。
……案の定、杖の先から出たのは不気味な『紫色の煙』だった。
(また暴発かよ!!)
俺が心の中で絶叫した瞬間、その紫色の煙がモワッとシルフの顔面を包み込んだ。
「くっ……毒ガスか!? ……ん? ……ッッ!?」
大剣を構えていたシルフの動きがピタリと止まる。
そして次の瞬間——。
「……ックショイっっ!!」
冷徹なイメージからは想像もつかない、あまりにも可愛らしいくしゃみが、静まり返った酒場に響き渡った。
「……え?」
呆気にとられる俺たちの目の前で、シルフは大剣をカチャンと床に落とし、そのまま膝から崩れ落ちてガタガタと激しく震え始めた。
「さ、寒い……っ! 寒すぎる……っ! な、何だこの煙は……っ!? 体中の体温が……持っていかれる……っ!」
「あ、それ僕の暴発魔法で生じた『急速冷却ガス』だね。空間の熱量を一瞬で奪い去る効果があるんだ」
「何余計なことしてんだルイス!! ただでさえ氷点下の街なんだぞ!!」
シルフは抱きかかえるように自分の体を小さく丸め、真っ青な顔でガチガチと歯を鳴らしている。
そして、その蒼い瞳をウルウルと揺らしながら、エレノア殿下が着ている『ピンクのモコモコペンギン着ぐるみ』を、喉から手が出るほど羨ましそうな目で見つめていた。
「く、くそっ……! 私としたことが……寒さで……指が動かん……っ! 霊峰の……守護騎士が……寒さに負けるなど……っ!」
「……え、あの。もしかしてシルフさんって、極度の寒がりなんですか?」
「ち、違う……っ! これは……強敵を前にした……武者震いだ……っ!」
ガタガタガタガタと全身を激しく震わせながら、見苦しいほど強がるシルフ。だが、鼻水をすする音が虚しく響いている。
「あらあら、可哀想に。そんなに寒そうにしてちゃダメよ! ほら、これをお着ちなさい!」
見かねたエレノア殿下が、予備で持ってきていた荷物の中から『グリーンペンギン着ぐるみ』を取り出し、シルフの頭から勢いよくかぶせた。
「な、何を……! このような不審極まりない服など——」
……着せられて、わずか十秒後。
「……な、なんだこの温かさは……!? 全身が……陽だまりの温もりに包まれているようだ……っ!」
グリーンペンギン着ぐるみに身を包んだシルフが、うっとりとした表情で自分の体を抱きしめていた。
クールで威厳あふれる氷の守護騎士(みどり色のペンギンバージョン)の誕生である。
「……ふぅ。命拾いしたな、不審者ども」
シルフが真顔で着ぐるみのフード(くちばしと目玉付き)を深々とかぶり直す。
「いや、命拾いしたのはあなたですからね!?」
俺のツッコミが酒場に虚しく響く。
「……礼を言う。この神聖なる防寒着『ペンギンアーマー』の圧倒的恩恵に免じて、一旦貴公らの話を聞こうではないか」
「勝手に『ペンギンアーマー』とかいう格好いい名前に変換しないで!? ただの着ぐるみですからね!?」
こうして、極度の寒がりという致命的な弱点を持つ守護騎士シルフを味方(?)につけ、俺たちの霊峰攻略パーティーは、登山口に到達した時点で早くもカオスな領域へと足を踏み入れるのだった。
第14話をお読みいただきありがとうございました!
クールで厳格な守護騎士シルフでしたが、まさかの「超・重度の寒がり」というギャップが発覚! ルイスの暴発冷却ガスのせいで凍えかけたところをエレノア殿下に救われ(?)、無事にグリーンペンギンアーマー(着ぐるみ)の愛好者となりました。
次回「第15話:極北の霊峰・登山開始! 〜ペンギン隊が行く〜」をお楽しみに!
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