第12話:新章開幕!極北を目指して 〜防寒着のセンスが壊れている〜
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「嘆きの洞窟」での騒動を解決し、まさかの「残り6つの秘宝」の存在が発覚したアルト一行。
王女様のノリと勢いそのままに、次なる目的地——極寒の地『極北の霊峰』を目指すことになったのですが、出発早々、またしても問題が発生して……!?
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「さあ! 目指すは極北の霊峰よ! 新たな秘宝と冒険が私たちを待っているわ!」
サザンポートの港町を出発し、北へと進む街道の上。
エレノア殿下は青空に向かって元気いっぱいに宣言した。
「……あの、殿下。極北の霊峰といえば、年中吹雪が吹き荒れる極寒の危険地帯ですよ? 今の私たちの軽装じゃ、現地に着く前に全員凍死します」
俺は冷静に現実を突きつけた。
王都からここまでは温かい南方の街道だったから良かったものの、ここから北上するとなれば本格的な「冬山装備」が必須となる。
「ふふん、甘いわよアルト! この私に抜かりがあるとでも思って? サザンポートの市場で、最高級の『防寒装備』をバッチリ買い揃えておいたわ!」
エレノア殿下が胸を張り、後ろの馬車(※サザンポートでレンタルした)の荷台をバンと叩いた。
「おお、さすが殿下! 準備が良いですね! で、どんな防寒着なんです?」
俺が期待を込めて荷台の箱を開けた、その瞬間——。
「……なんですか、このピンク色のモコモコした塊は」
「ふふん、凄でしょう! 北方の希少魔獣『モコモコペンギン』の毛皮をふんだんに使った、超・高級防寒コートよ!」
箱の中から出てきたのは、全身ピンク色で、フードには巨大なペンギンのくちばしと目がついた、どう見ても『着ぐるみ』にしか見えない謎の防寒具だった。
「……これを俺に着ろと?」
「もちろん全員分買ってきたわ! 色違いでね!」
エレノア殿下がドヤ顔で掲げたのは——
・殿下用:キュートなピンクのペンギン着ぐるみ
・ルイス用:知的な(?)漆黒のペンギン着ぐるみ
・ミミ用:真っ白なペンギン着ぐるみ
・マルコ用:……巨大すぎるブラウンのペンギン着ぐるみ
「……殿下。マルコのやつ、ペンギンっていうか完全に『服を着た巨大熊』に逆戻りしてませんか?」
「何を言うかアルト! 俺は気に入ったぞ! この着心地、まるで母グマの懐に抱かれているようだ!」
マルコが速攻でブラウンのペンギン着ぐるみを着込み、ノリノリでポーズを決めた。熊がペンギンの皮を被っている。恐怖映像である。
「……ん。温かい。あと、フワフワ」
ミミも真っ白なペンギン着ぐるみに身を包み、フードのくちばしをパタパタさせてご満悦だ。可愛いのが余計に腹が立つ。
「ふむ……保温効果と魔力伝達率は申し分ないね。デザインは少々個性的だが、機能美としては合格だ」
ルイスが漆黒のペンギン着ぐるみを着て、眼鏡をキラーンと光らせる。怪しすぎる。
「お前ら、正気か!? こんなピンクや黒のペンギン集団で雪山に入ったら、魔物より先に他の冒険者に通報されるぞ!?」
「何言ってるのアルト! ほら、アルトの分よ! イエローペンギン!」
「いりません!!」
俺の叫びが街道に虚しく響き渡る。
せっかく「嘆きの洞窟」を乗り越えて一成長したと思ったのに、このパーティーの頭のネジは一本たりとも増えていなかった。
「まあまあ、着てみなさいって! ほら!」
「ちょっと殿下、無理やり着せようとしないで……うわっ、温か!? 何これすごく温かい……!」
着せられた瞬間、全身を包む驚異的な保温性に、俺の理性が一瞬で敗北した。悔しいがめちゃくちゃ温かいし軽い。
「でしょう? さあ、ペンギン戦隊の結成よ! 目指すは極北の霊峰!」
「誰がペンギン戦隊だ!!」
全身イエローのペンギン姿になった俺は、ツッコミを入れつつ深く溜め息をついた。
通り過ぎる行商人たちが「うわぁ……」「関わらんとこ……」という目で見ている。死にたい。
「……はぁ。まあいいです。装備はどうあれ、北へ進みましょう。まずは霊峰の麓にある宿場町『スノーヴェイル』を目指します」
胃薬をペンギンのポケット(※ドラえもんみたいな位置についている)に忍ばせ、俺は馬車の御者台に上がった。
おかしな防寒着に身を包んだポンコツ一行。
過酷な極寒の地『極北の霊峰』を目指し、俺たちの新たな秘宝探しの旅が、シュールに幕を開けるのだった——。
第12話をお読みいただきありがとうございました!
新章「極北の霊峰編」がスタート!
まさかの『ペンギン着ぐるみ防寒具』で雪山へ挑むことになったアルトたち。次国では極寒の宿場町へと到着しますが、そこでも新たなトラブルが……!?
次回「第13話:極寒の宿場町スノーヴェイル 〜氷点下の街で温かいスープを〜」をお楽しみに!




