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魔導士と人狼

勇者の墓で発見した聖剣を魔王の手先に奪われてしまいます。

意気消沈し、静まり返る一行。

膝をつくユリウスの傍らで、リウは一人、勇者の墓の裏にある古びた石碑をじっと見つめていた。

「……リウ先生? どうしたんですか、そんなに一点を見つめて」

ケインが心配そうに寄り添う。

リウは何も答えず、指先で石碑に刻まれた古代エルフ文字をなぞる。

「……『光を失いし時、影の叡智を紐解け』……。ケイン、この石碑の裏……根をどかして」

「えっ? 、はい!」

ケインが自慢の怪力で、石碑に絡みついていた根を力任せに引き剥がす。

すると、そこには小さな窪みがあり、革袋に包まれた一冊の古い本が収められていた。

「それは……魔道書?」

リウがその本を手に取ると、装丁に埋め込まれた魔石がリウの魔力に反応し、禍々しくも美しい紫の光を放った。

「この魔導書は聖剣と対を成すものだ。この本には失われた古代の禁呪が記されている……。

聖剣がないのは痛手だが、この本まで魔物たちに奪われなくて本当に良かった。」

リウはその本を開き、慣れた手つきで古代エルフ文字で書かれた呪文を指でなぞった。

その瞳には、初めて見る「憎悪」と「執着」の色が混じっている。

「……これだ。これを使えば、魔王は確実に死ぬ。」

ユリウスが剣を抜きリウに詰め寄る。

「……リウ。貴様、なぜそれを知っている。おまえは一体何者だ!?」

ユリウスの剣先が、リウの喉元にピタリと突きつけられた。

「 ただの魔導士が、1000年前の勇者パーティしか知り得ない禁呪を読み解けるはずがない。……魔王のスパイか、それとも……!」

「……っ、ユリウス様! 落ち着いてください!」

ジェイドが割って入ろうとするが、ユリウスの怒りは収まらない。リウは冷たい瞳のまま、王子の剣先を見つめる。


リウを背に庇い、王子の剣を払い除けたケインの瞳が、獣のような金色の輝きを増した。

「ユリウス様。先生が何者か問い詰める前に、僕の話を聞いてください。」

ケインが静かに、しかし抗いようのない威圧感を放ちながら一歩前へ出る。

彼は自身の右腕を顔の前に掲げ、グッと拳を握りしめた。

「——ほどけ」

低く短い呟きと共に、ケインの右腕の筋肉が不気味に隆起し、服の袖を内側から引き裂いた。

白い肌を瞬く間に硬い褐色の体毛が覆い、爪は黒く鋭く伸び、人のそれとはかけ離れた『狼の剛腕』へと変貌していく。

「なっ……ウェアウルフ(人狼)だと……!?」

ユリウスが息を呑み、ジェイドが反射的に剣の柄に手をかける。

しかしケインは、その恐ろしい鉤爪をユリウス達に向けることはなく、自らの左手で包み込む。

「僕は御覧の通り、ウェアウルフです。

物心ついた時にはすでに両親はなく、ひとりで町をさ迷っていました。

その僕に手を差し伸べて暗闇から救い出してくれた人……。それがリウ先生なんです。

先生は表情が乏しいけど、愛情を持って僕に接し、育ててくれた。

『力』を制御出来るようになったのも先生のお陰です。

僕の知っている先生は決して悪に与する人ではありません。

先生を斬るなら僕を斬ってください!!」」

その迫力に、ユリウスは思わず気圧され、突きつけていた剣を完全に下げた。


(ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 人狼! ケイン君、人狼だったの!?

しかも「自分の意思で変身できる」って……!

あの逞しい狼の腕で、華奢なリウ先生を抱きしめる図……これ、異種族BLの最高峰じゃないの!!)

私は思わず妄想してしまいにやける。


「……ユリウス。……すまない。隠すつもりはなかった。

1000年前、私は勇者の仲間として魔王に挑んだ。だが、術が不完全だった……。私の弱さが、仲間を死なせた。」

リウはケインの狼の腕に自分の手を重ね、ユリウスを真っ直ぐに見つめる。

「聖剣は奪われた。だが、この禁呪と、……私を信じてくれる仲間がいれば、まだ魔王を倒す道はある。私を……信じてくれないか?」

ユリウスはゆっくりと剣を鞘に収め、深く、長くため息をつく。その表情からは先ほどまでの刺々しさは消え、どこか吹っ切れたような清々しさが漂っている。

「……はぁ。斬る気が失せた。

……リウ。過去のことはどうでもいい。俺は今まで共に旅をした『魔導士のリウ』を信じる。……剣は奪われたが、貴様の持つ魔道書と、その『番犬』がいれば、まだやり直せるはずだ。」

ユリウスは右手をリウとケインに差し出す。

「あのー私とモエの事忘れてませんか?」

ジェイドがボソッと言ったので私は思わず吹き出してしまう。

つられてリウとケインも笑った。

「聖剣は魔王の城で奪い返す。魔王も、過去の因縁も、まとめてこの俺が叩き潰してやる。

行くぞ、ジェイド、リウ、ケイン、モエ。」

ユリウスは皆に向かって力強く言い放った。


(もう!王子ったらツンデレなんだから!でもこれでパーティの団結力も大幅アップね!

この隠密者モエ、どこまででもついて行って、二組のカップルがどんな愛の花火を散らすのか最前線で観察させていただきますわよ!!)

忙しくて更新が遅くなりました。

早く春休み終われ~!!

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