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光の女神と闇の女神

闇の神域で光の女神ディーテと闇の女神アトラが対峙する話です。

光の女神ディーテがモエを転生させ、闇の女神アトラが魔王タクトを転生させました。

薄闇の中、女神ディーテの体からは柔らかな光が溢れている。

彼女はどこまでも続く薄闇の中を歩いていた。

その足取りはダンスのステップを踏むように軽やかだ。

闇に潜む異形の者たちはまだディーテの姿が遠いうちから気配を察知し、さらなる深い闇に逃げ隠れた。

「ここはいつ来ても陰気ねぇ……。

外の世界は美しいわよぉ、ねえ、あなたも外に出てみたら?アトラ。」

女神ディーテがブロンドの髪をなびかせそう言うと闇の中から人影が現れた。

女神ディーテとは対照的に少女のような姿で、長い黒髪から覗く黒水晶のような瞳は憂いを帯びていた。

彼女の周りは濃い漆黒で覆われているのに彼女の存在ははっきりと浮かび上がっている。

「……ここに来るなといつも言ってるのになぜ来るんだ……。

強固な結界を何重にも張っているのに……。」

「あらぁ結界なんてあったかしら?脆すぎて気づかなかったわぁ。」

くすくす笑うディーテの向かい側でアトラは悔しそうに顔を歪ませる。

「ここは私が支配する闇の神域……。光の神であるお前のいる場所ではない。

……帰れ。」

「まあまあ、そんなこと言わずにお喋りしましょうよぉ。

私たちはたった二人だけの神なんだから。ねぇ?

久しぶりにこたつでも入りながら。」

ディーテがそう言うと、どこからともなくこたつが現れた。

こたつには赤いチェック柄の上掛けが掛けられ、テーブルの上のかごには煎餅などのお菓子が入っている。

「ちょっ!隠していたのに、どうやって出現させた!!」

アトラは顔を紅潮させて怒っている。

ディーテはそれを全く気に留めず、こたつの中に入り、お菓子の包みをくるくる解いて口に入れる。

「まあまあ、一緒にこたつに入って私たちが召喚した者たちの戦いを観ましょうよぉ。

あなたも神なのに、一人寂しく観てたんでしょう?」

「くっ……。」

薄闇の中にパッと大きなモニターが現れる。

その中の景色はとてもリアルで、触ろうと思えばその中のものに触れるほどだった。

「……あなたはいつも私に対抗して魔王を召喚するわよねぇ。

今回だってわざと私が召喚したモエの兄タクトを魔王として召喚した……。

私はただ私の理想の『光の国』を作りたいだけなのに。」

「だまれ!!おまえは魔物たちを殺すつもりだろう!!

わが闇の眷属たちよ。深淵より這い出て彼の敵を穿て!

ダーク・エクリプス!!」

アトラが呪文を叫ぶと闇の中から地獄の門番ケルベロスや、スケルトン、レイスが大勢飛び出してきてディーテに襲い掛かる。

しかしディーテは臆することなく息をふっと吹きかけると闇の眷属たちは塵となって消えていった。

「もう、アトラちゃんたらお仕置きが必要ねぇ。」

ディーテが言うと光の輪が現れ、アトラの四肢を拘束する。

アトラは光の環に絡めとられ、身動きが出来ない。

「くっ、あの子たちだってセフィーリアに生まれたんだから生きる権利があるはずだ!

あの子たちは世界の隅っこで静かに暮らしているだけなのに、お前はあの子たちを全滅させ、人間の為だけの国を作ろうとしている!!そんなの到底看過できん!!」

ディーテはわざとらしくため息を吐いた。

「あのねぇ、私だって殺したいわけじゃない。

でも魔物たちと人間が仲良く共存できるはずがないわぁ。

魔物は私たちが生み出した『失敗作』に過ぎないでしょう?

魔物は強いけど、彼らは個で動くのを好む種族だから、私達神を信じず、神託を受け入れようとはしない。

それに比べ、人間は一人一人の能力は低いけど、団結すると強い力を見せ、私たちの影響も受けやすい。

『光の国』を作るにはぴったりの兵隊だわぁ。」

アトラは体を震わせ反論する。

「人間たちの方こそ失敗作ではないか??

人間たちは争いを好み、繁殖力も強い。

このまま人間が繁栄していけばセフィーリア自体が破壊され、食い尽くされ滅んでしまうかもしれない!!」

「そうなる前に新しい『人類』を造るだけだわ。」

ディーテはアトラが身動きできないのをいいことに、ぴったりと肩を抱き寄せ、耳元でささやいた。

「んっ…耳元で喋るな!」

「あらぁ、相変わらず耳弱いんだからぁ。かわいい。」

ディーテはアトラの耳の縁にその美しい舌を這わせ、ねっとりと舐めた。

「あっ…馬鹿やめろって……。」

アトラはほおを紅潮させながら逃げるように身をよじる。

だがアトラを拘束する光の輪は緩むことなく、逃げようともがけばもがくほどその拘束を強めた。

「あうっ!!」

「逃げようとしないでぇ?私だって痛くしたいわけじゃないの。

だってあなたの事大好きなんですもの。」

ディーテはそう言うとアトラの顔を優しく引き寄せ、アトラの小ぶりで野ばらのつぼみのような唇に自身の唇をそっと押し当てた。

しばらく小鳥が啄むようにキスをする。

そうしてアトラの力が抜けたところでアトラの歯列を舌でこじ開け、アトラの口内に侵入する。

アトラは目の端に涙を溜め、体を震わせていた。

「!!」

その時、真っ黒な影がディーテを襲った。

それは魔界の番犬ケルベロス。

ケルべロスは恐ろしい咆哮を上げながらアトラの前に立ちはだかる。

ディーテはケロべロスに攻撃され霧散した体をまた元通りに復元してクスっと笑う。

「ケルベロス、お座り!!」

ディーテが高らかに叫ぶとケルベロスはキャンと一鳴きしてお座りの態勢から動かなくなった。

アトラの肩が小刻みに揺れる。

「ど、どうしておまえは分かってくれないんだ……。

私は、セフィーリアが私達の『故郷』のようになるのは見ていられないのだ!!」

アトラは肩を震わせ、ウェーンと子供のように泣き出してしまった。

「アトラ……。それは私も同じよ……。

じゃあこうしましょう?

私はこれから何も人間たちに力を貸さない。

そしてあなたも何も手を出さない。これで平等でしょう?」

アトラは肩を震わせ、鼻をすすっている。

「うぅ、そんなの信用できるはずがない……。」

ディーテは優しくアトラの肩を抱いた。

「だからあなたが隣で監視すればいいじゃない?

二人で一緒にセフィリアがどうなるか見届けましょう。」

ディーテはアトラの目を見て話しかける。

太陽に雲がかかって急に陰るように彼女はその輝きを潜めていた。

「……。観るだけだからな。」

アトラがそう言うとディーテは嬉しそうに目を輝かせた。

「じゃあこっちにきて一緒に観ましょうよぉ。」

ディーテはアトラの拘束を解き、アトラの手を掴んでディーテが出現させたこたつに座らせた。

アトラの隣にディーテも入る。

ディーテはにこにこアトラを見つめているが、掴んだ手を放そうとせず、こたつの中でさらに強くアトラの小さな手を包み込んだ。

「さあ、これからどうなるかしらねえ。セフィリアも私たちも。」

セフィーリアでは女神と呼ばれていますがこの神様たちに性別はありません。

見た目的には百合展開でしょうか(笑)

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