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不運な転生令嬢は、恩返ししたいのに家族が溺愛しすぎて周囲がざわつく!?  作者: やまちゃぁん


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第百八十二話 到着前から非常事態!?――アルヴェリア学園、最終警戒態勢!!

 アルヴェリア王立士官学園――。


 本来ならば、規律と静寂に満ちた学び舎。

 今日もまた、整然とした空気が流れている――

 

 はずだった。



「……来るんですか?」


 整備班仮設指導室。

 アシュリーが、紙を持ったまま固まっている。


「……来ます」


 リリア、即答。


「……二人で?」


「……お嬢様も一緒です」


 沈黙。

 


 全員、ゆっくりと顔を上げた。


「……終わったわね」


 アネット、ぽつり。


「……いえ」


 カティア、静かに首を振る。


「――まだ終わっていません」


「え?」


「これからが本番です」


 その一言で、

 全員の顔色が変わった。

 

(そうだ)

(終わりじゃない)

(むしろ――)


(増える)


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 

「状況を整理します」

 

 カティアが、黒板の前に立つ。


 チョークを持ち――

 カツ、カツ、カツ。


 書かれていく文字。


 ――ノア

 ――レオン

 ――アレクシス


 そして。


 ――レイナ

 ――アリア


「……増えてるぅぅぅ!!」


 アシュリー、頭を抱える。


「五人よ!? 五人!?」


「しかも質が悪いのが三人……」


 アネット、遠い目。


「いえ、五人とも危険です」


 リリア、冷静に訂正。


「……ミーナ?」

 

「……あ、あの……」

 ミーナ、小さく手を挙げる。

「アリア様は……その……」

 

「うん?」


「……一番すごいです」



 全員、納得。

「ですよね」

 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 


 一方、その頃。


「ぐああああああ!!」

 

「まだ終わらねぇぇぇぇ!!」


 ノアとレオンは、今日も元気に――

 反省文地獄の真っ只中であった。


「あと何枚だ!?」

 

「……二十七……」


「減ってねぇ!!?」


「誤字で戻された!!」


 そこへ。

「騒ぐな」


 低い声。


 振り返ると――

 アレクシス・レイフォード伯爵。


 腕を組み、仁王立ち。

 

「集中力が足りん。

 戦場なら死んでいるぞ」


「ここ戦場じゃないよね!?」


「精神の戦場だ」

 即答。


「いや重い!!」


「父上、なんでそんな

 適応してるんですか!?」


「簡単だ」

アレクシス、静かに言い放つ。

「――アリアに会うためなら、この程度は鍛錬にもならん」


「重い!!(二回目)」


 その時。


 バンッ!!


 扉が開く。


 カティア、入室。


「報告です」


 全員、ピタッと止まる。


「――レイフォード伯爵夫人、ならびにアリア様。

 現在、こちらへ向けて移動中」


「……」

「……」

「……は?」


 ノアとレオン、固まる。


「え、待って」


「なんで」


「え、なんで」


「迎えに来るに決まっているだろう」

 アレクシス、冷静。

「むしろ遅いくらいだ」


「いや違うそうじゃない!!」

 

「母上!?

 母上が来るの!?」

 

「アリアも!?」


「終わったぁぁぁぁぁ!!」

 二人、崩壊。

 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 

 一方、メイド隊。


「……最終確認を行います」

 カティア、指示を飛ばす。


「整備区画、完全封鎖」

「危険物、全撤去」

「兄様方の行動範囲、制限強化」


「あと」


 全員、顔を上げる。

「――伯爵様の暴走対策」


「それ一番大事!!」


 満場一致。

 

「さらに」

 カティア、静かに続ける。

「レイナ様対策」


「……それ必要?」

 アシュリー。


「必要です」

 リリア、即答。


「理由は?」


「――すべてを終わらせる力を持っているからです」

 全員、震える。


「……じゃあ」

 

 ミーナ、おずおず。

 

「アリア様は……?」


 沈黙。

 


 そして――

「……祈りましょう」

 アネット、静かに言った。

 

「祈るしかないわね」


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 

 こうして。


 アルヴェリア王立士官学園は――


 かつてない規模の警戒態勢に突入した。


 迎える側が、震え。

 迎えられる側が、崩れ。

 そして――


 近づく、母と娘。


 嵐は、まだ遠い。

 だが確実に――


 来ている。


 

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