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不運な転生令嬢は、恩返ししたいのに家族が溺愛しすぎて周囲がざわつく!?  作者: やまちゃぁん


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第百八十一話 迎えに行く母と娘 ――最速ルート? いいえ、平和ルートで行きます

 王宮からの帰路。

 馬車に揺られながら、アリアは窓の外を眺めていた。


(お兄様たち……

 今ごろ、何を壊しているのかしら……)


 ため息ひとつ。


「……どうしました、アリア?」


 向かいに座る母、レイナ・レイフォード伯爵夫人が、静かに問いかける。


「いえ……

 ただ、その……」


 一瞬、言うか迷ってから――

 アリアは、とんでもない提案を口にした。


「(そういえば)お母様。

 何でしたら……エルダリオンで向かいませんか?」


 ――空気が止まった。


 馬車の中が、異様な沈黙に包まれる。


「…………」


 レイナ夫人、ゆっくりと瞬きを一つ。


(確かに……)

(エルダリオンなら、早い)

(国境越えも一瞬……)


 だが――


(……あの三人に?)

(エルダリオン?)


 脳裏に浮かぶ光景。


 ノアとレオンの目が輝き、

 アレクシスが拳を握り、

 学園が――物理的に消し飛ぶ未来。


(……火に油どころじゃないわ)


「――駄目よ」


 即答だった。


「ですよねぇ」


 アリア、あっさり引く。


 だが――


「我、ここに見参!!」


 どこからともなく、

 やたらと威厳のある声。


 次の瞬間。


 魔力の気配。

 風圧。

 そして――


「……やっぱり出てきましたわね」


 馬車の横に、

 堂々と現れたエルダリオン。


「久しいな、我が契約者よ!」

「新年を迎えるに相応しい――」


「エルダリオン」


 レイナ夫人、低く。


「アリア、ハウスしなさい」


「はい」


 即答。


「エルダリオン、ハウス!!」


「えっ」


 エルダリオン、固まる。


「ちょ、ちょっと待て!?

 我、久しぶりの登場なのだぞ!?

 せめて威厳の一つや二つ――」


「ハ・ウ・ス」


 魔法陣、展開。


「うわぁぁぁ!?

 ま、まさかこのまま!?

 新年だというのに!?

 『よいお年を……』で終わりなのかぁぁぁ!?」


 吸い込まれるように、消失。


 し~ん……。


「……何か言っていたようですけれど」


 レイナ夫人、紅茶を一口。


「まあ、いいわ(笑)」


「ですよね」


 アリアも、深く頷く。


(騒ぎが大きくなる未来しか

 見えませんでしたし……)


 完全に納得。


「――というわけで」


 レイナ夫人、きっぱり。


「普通に馬車で行きますよ」


「はい、お母様」


 こうして。


 ・最速ルート:却下

 ・安全第一:採用

 ・エルダリオン:退場


 レイフォード家の回収作戦は、

 きわめて平和に――

 出発したのであった。


(……お兄様たち)

(どうか、これ以上

 増やさないでくださいね……)


 アリアの願いは、

 果たして届くのか。


 ――答えは、

 アルヴェリア王立士官学園が

 すでに知っている。

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