第百七十一話 奉仕活動地獄!? ~兄ィズ、皿洗い一万枚に挑戦! ミーナ、なぜか泡まみれですべる!!~
◆◆◆【午前五時・寮厨房】
まだ太陽も昇りきらない時間。
だが、厨房だけは地獄の熱気で満ちていた。
ノア
「…………皿、多ッッッ!!?」
レオン
「これ……山っていうか……壁じゃない???」
ミーナ
「ひぃ……食器に囲まれて息が……!」
シンクの前には、積み上がった皿・皿・皿!!
その高さ、ほぼ成人男性の肩まで。
いや、それどころか、もはや一面の食器の大地。
そこへ、メイド隊がゆっくりと歩み寄る。
カティア(にっこり)
「――では、奉仕活動・第一工程。
“皿洗い一万枚”を開始します」
ノア
「開始って言われても精神が追いつかない!!」
アシュリー
「進捗は逐一確認しますので、
不正はできませんよ?」
レオン
「不正する気力すら湧かないんですけど……!」
アネット
「メイベルさんなら、この皿一枚ずつ光るまで磨きますね」
リリア
「……ノルマは“光度レベル3”で」
ノア
「光度って何!?!? 新しい単位出さないで!!」
ミーナ
「レ、レベル3って……磨きすぎて手がなくなります……」
◆◆◆【皿洗い戦争・勃発】
ノア
「レオン! フォーメーションAだ!!」
レオン
「了解! 兄貴はすすぎ、俺は洗い担当!!」
ミーナ
「わ、わたしは拭き取り役ですね!?
が、がんばります……!」
ジャバババババ!!
兄ィズとミーナが一斉に動き出す。
ノア
「レオン! その皿、まだ泡残ってる!!」
レオン
「兄貴のすすぎが雑なんだよ!」
ミーナ
「ひゃっ!? 泡が飛んで……!!」
ぽすっ――
ミーナ、泡を踏んで転倒。
ミーナ
「すべりましたぁぁあああ!!」
ノア
「ミーナァァァ!? 大丈夫かーーッ!!」
ミーナ、床を滑走しながら
皿の山に突撃……!
ガシャァァァァァン!!!
レオン
「ミナァァァ!?!?」
アネット
(手帳を取り出す)「……“損壊皿・計14枚”。記録」
ノア
「あの!? まずはミーナの安否を!!?」
リリア
「大丈夫。皿のほうが弱かっただけです」
ミーナ
「うぅ……床が……つるつる……世界が回ってます……」
アシュリー
「ミーナさんは、滑り止め付き靴に変更ですね」
ミーナ
「よかった……怒られは……しない……?」
カティア
「後で反省会です」
ミーナ
「ちゃんと怒られるぅぅぅぅ!!」
◆◆◆【午前九時】
皿の山は……ほんの少し低くなっただけ。
ノア
「なぁ……終わる未来……見えなくない……?」
レオン
「“修羅場”ってこういう時に使うんだろうな……」
ミーナ
「指が……ふやけて……しわしわです……」
そんな中、カティアが静かに後ろから現れた。
カティア
「……ちょっと目を離したら、ペース落ちてますね?」
ノア
「いや、落ちてない! 落ちてないから!! 全力だから!!」
レオン
「どれだけ洗っても……増えてません!?」
アネット
「増えてるのではなく、
“食堂の朝食組分がまだ来てる”だけです」
ノア
「追加くるの!?!? 終わらなくない!?!」
リリア
「ちなみに昼食後にも来ます」
レオン
「無理ーーーーー!!!」
ミーナ
「……わたし……泡になるまで洗うんですね……」
アシュリー
「大丈夫ですよ。倒れたら起こしますから」
ノア
「慰めになってねぇ!!」
◆◆◆【午後三時】
三人の顔はすでに魂が抜けかけていた。
ノア
「泡の匂い……もう無理だ……」
レオン
「皿が……皿が……増殖してるんだ……」
ミーナ
「もう……(カラン)音が……怖い……」
そんな三人の背後で――。
カティア
「皆さん。よく頑張りました」
ノア
「え?」
レオン
「もう……終わり……?」
ミーナ
「おしまい……ですか……?」
カティア
「はい。“第一工程”は終了です」
三人
「「「第一……!?!?」」」
アシュリー
「次は、食堂床のワックスがけ工程です」
アネット
「つるつるに仕上げてくださいね?」
リリア
「床が鏡のように映るまでです」
ノア
「終わるかーーーーー!!!!」
ミーナ
「すべる床は……もう嫌なのにぃぃ!!」
◆◆◆【そのころレイフォード伯爵家】
アリア(手紙を読んで)
「……お兄様方、皿洗いで魂が抜けかけているそうですわ」
メイベル
「本当に……よく問題を起こしますね」
アリア
「……もう、知らないですわ……本当に……」
メイベル
「(お嬢様の“諦めスキルLv.20”に上昇しました)」
こうして“奉仕活動地獄編”は続くのである――。




