第百七十話 兄ィズ、今度は“模擬裁判”にかけられる!?〜メイド隊、教育指導・第二段階へ突入〜
反省文地獄を終え、机に突っ伏していたノアとレオン、
そして巻き添えになったミーナ。
しかし――休息など訪れるわけもなく。
講義室に、メイド隊が“横一列で”ずらりと並んだ。
カティア(にこり ※目は笑ってない)
「――では、次の教育指導、“模擬裁判”を始めます」
ノア
「待って!? なんで俺ら、裁判にかけられるの!?」
レオン
「兄貴、今日のカティアさんはガチだ……!!」
ミーナ
「ひぃぃ……裁かれるの……いやです……」
アシュリー
「大丈夫。ただの教育ですから」
アネット
「(※ただし容赦はしない)」
ノア
「その補足やめて!?!?」
◆◆◆【裁判室セット完了】
リリア(黒板にドーンと書く)
『第一回:勝手に帰国計画罪 模擬裁判』
ノア
「罪名!? もう罪名ついてるの!?」
アシュリー
「では配役です」
・裁判長:カティア
・検察官:アシュリー
・補佐官:リリア&アネット
・被告:ノア、レオン、ミーナ
・証人:ミーナ(※巻き込まれ型証人)
レオン
「被告席と証言席を兼任してる!? ミーナ大忙しじゃない!?」
ミーナ
「ひぃ……なんか、もう泣きそう……」
◆◆◆【起訴内容】
アシュリー(巻物を広げる)
「被告ノア、レオン、ミーナの三名は――
“アリア様に会いたい”という強い感情により、
レイナ伯爵夫人が定めた“国外修学期間”を守らず、
監視であるメイド隊を撒いて帰国を企て……」
レオン
「そこまで悪意はなかったよね!? なかったはずだよね!!?」
アネット
「“こっそり帰ろう大作戦”というノートが見つかった時点で十分です」
ノア
「……あれ見つかってたの……?」
リリア
「はい、しかも第一章・夜明け前の脱走から書かれていました」
ミーナ
(小声)「……完全に、計画犯……」
ノア
「ミーナまで敵に回った!?」
◆◆◆【証人・ミーナ】
カティア
「では、証人ミーナ。証言をどうぞ」
ミーナ(びくびくしながら証言台へ)
「え、えっと……その……」
アシュリー
「ミーナさん、兄ィズの行動を簡潔にどうぞ」
ミーナ
「あの……ノア様が……
“アリア様の残り香を追えば帰れる!”って言ってました……」
ノア
「言ったけど!! 言ったけど恥ずかしすぎる!!!」
レオン
「兄貴、それ外に出しちゃダメなやつだよ!!」
ミーナ
「れ、レオン様は……
“アリア補充ジュース(自作)”をノア様に渡して……」
アネット
「……補充ジュース?」
リリア
「何を補充するつもりだったの……?」
レオン
「ち、違う! 栄養ドリンク的なものだよ!? 愛情じゃないよ!?」
アシュリー
「以上で、証人尋問を終わります。
ええ、十分すぎる内容でした」
ノア・レオン
「「ミーナぁぁぁぁぁ!!!」」
ミーナ
「ひぃっ、ごめんなさいぃぃ!」
◆◆◆【被告側の抗弁】
ノア
「俺たちはただ……アリアに会いたかっただけなんだ……!!
悪いことしたつもりは……ほぼ……ない!」
カティア
「その“ほぼ”がダメなんです」
レオン
「帰ろうとしただけでこんな裁判になるなんて……!」
アシュリー
「“だけ”じゃありませんよ?
メイド隊を振り切り、荷物をまとめ、脱走ルートを作成し――」
レオン
「うぐっ……そこまで言われると何も言えない……」
◆◆◆【判決】
カティア(木槌をトン)
「判決を申し渡します」
三名
(ごくり……)
カティア
「被告三名を“再教育プログラム第二段階”――
奉仕活動コースへ処す」
ノア
「また増えたぁぁぁ!!」
レオン
「奉仕って……どんな!? どんな内容なの!?」
リリア
「例えば――皿洗い一万枚とか」
ミーナ
「ひぃぃぃ……手が……手が死んじゃう……」
アネット
「安心してください。交代制です」
ノア
「安心できるか!!」
◆◆◆【そのころレイフォード伯爵家】
アリア、届いた報告書をそっと閉じて。
アリア
「……お兄様方、また……そんなことを……」
メイベル
「“模擬裁判は無事完了。
三名、ただいま意識朦朧”とのことです」
アリア
「…………そうですか。
……もう、好きにして下さいませ……」
メイベル
「お嬢様の“諦めスキル”が急成長しておられますね」
アリア
「平和とは……難しいものですわね……」
**こうして“模擬裁判編”は一応の決着を迎えた。
だが兄ィズの受難は、まだ始まったばかりである――。**




