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その28 薄暮
スーパーの入口の
自動ドアが開いて
照明の下に
あなたが現れた
野球帽に
伸びきった赤いトレーナー
が あなたは若くない
右手に杖を持ち
左手は肘のところで固く曲がり
金具を付けた左足を引きずっている
脳血管障害の後遺症の形
左右をおどおどと見て
実に緩慢にあなたは歩く
夜の帳がしだいに下りてくる刻
夕食の買い物をしたのか
〈あなたの形に私がなるとき〉
…重荷はすっかり下ろしたよ
駆り立てるものは
過ぎ去ってしまったから
薄暮のやさしい吐息の中を
小さな栖にむかって
ひとり
あなたは歩く




