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その5 マスク 睡眠列車
マスク
この国の風土は
素顔に過酷だ
曝していると
火膨れを起こす
マスクを着けよう
構えを捨てて
エヘラエヘラ
やり過ごせる
楽になる
息がつける
素顔でいたいのはもちろんだが
生き抜くチエだ
ここはこのマスク
そこはそのマスク
さして抵抗なく
取り替えられるようになった
が
素顔は
素顔は
どのマスクだ
睡眠列車
この国の労働力構成の縮図のよう
勤め帰りの人々が
ずらりと向き合って
眠っている
連なる歪んだ寝顔
在ることに耐えるように
眉根を寄せ
堅く目を閉じている
不意の脱力が葛藤を絶ち
仰向けに口を開けたまま
埴輪の顔となった者もいる
出入り口近くで
若者たちの小グループが
うわずった声をあげ
蜂の巣の興奮に
のめりこもうとしている
ほんの数人が目を開けている
どこを見ているのかわからない
虚ろな目を




