空きビンとアルミカン PART 6 遠足の終わりに
PART 6 遠足の終わりに
宝探しと平行された素材集めも完了して、観測、通信機器は倉庫への接続まで無事に完了した。
また、倉庫のシステムもそれに合わせて、現在のモノへと変更されている。結局、既存のシステムには戻ることはなかった。
これでバカピックの侵攻がなければ、また同じくらいこの場所は維持されるだろう。
そして、ここの主も変わらず、今はまだこの場所から離れることはなかった。
だが、それも知られた以上はどうなるかは少女達の範ちゅうではない。
それは楽しくないこと。関わりないこと、いや、関われないこと。知りたくないこと、でも、知れないこと。それが少女達の立場なのだ。
今回の発見は少女達よりも基地、むしろ都市にとっては大いに実りあるモノだった。そして、さらなる実りのために行動に移された。
その結果を少女達が知るのは、いつになることやら。
さて、レモア達も他のメンバーから改めて、穴場を教えてもらい探索、カレンらもまた一緒に同行していた。
部隊の面々も思い思いの成果を得たのか、満足した顔であった。
ヴィヴィにしても、空きビン以外にも成果をあったことで、今回の遠足での苦労にいくらか報われていた。
その成果といえば、他人から見ればあまり価値がないものばかりだが、少女達にはとても興味深く、素敵なモノでいっぱいだった。
ぬいぐるみやロボットのおもちゃなどの玩具類。
丸みがある綺麗な石に、色の付いたガラス片やプラスチック片など。
鮮やかな柄の入った布、厚手の毛布など。またはキャラクターがプリントされた紙やかわいい小物を入れる箱など。
そして、保存食。よく探した結果、甘味料で作られたスィーツ、また香辛料が入ったスープなどが発見された。
まるで少女達を体現する品々である。
各自が遠足における任務と目的が達成できたことで、少女達は帰路についていた。
車の中は随時、揺れている。街同様、街を繋ぐ道路は崩壊して荒れ地となっているからだ。それでも道としての痕跡は残しているので、道しるべとしては役に立っているが、どうしても荒れ地である以上、車は常に揺れが付きまとう。
その揺れの中でも少女達は獲得した宝物を見せ合っている。
そんな中、カレンはユノールに肩に寄りかかる格好で、眠りについていた。そのことに気がついたルリカが注意しようとする。
「カレン、寝て……」
だが、当の本人であるユノールは口元に人差し指を立てる。
「構わない」
カレンを起こさないよう、小声でつぶやく。そう言われれば、ルリカもそれ以上何も言えない。
その光景はまるで姉妹のようだ。実際、ユノールとカレンを見比べると、どこか容姿も似ている。
ユノールにとってカレンは確かに妹分である。
それは基地内のほとんどの者にとって同じことである。最近はカレンらにも取りあえず、妹分ができてはいるが、それでもユノールの場合は本来の意味が特に強い。
次世代型とはいえ、カレンの元になっている遺伝的な情報はユノールである。
ファミネイは人工生命体。生物のような生殖で、その個体を作り出すわけではない。
むしろ、競走馬のように優れた情報を組み合わせて、その個性、個体を作り出す。人工生命体であるファミネイは機器の中で作られる。
そして、ファミネイ自身に生殖機能はない。
ユノールはいわば、姉のようで母親のような関係ではあるが、それは肉体的、遺伝的にもそうかといわれれば、そのどちらも違うといえる。
そして、カレンの方はそこまでの背景を知らない。
自身が生まれてくる前後に関わった人物の想いは本人が聞かない限り知ることのできないことだ。
だから、カレンには隣にいる人物が単なる優しい先輩でしかない。それでも、寄り添って眠りについてしまうほどに信頼や安心があるのだが。
まあ、気を張っていれば、居眠りもできないが。
逆にユノールは自身の生きた証しともいえる存在が残せたことは何よりもうれしかった。どうであれ、こんな何げないことで幸せであった。そんな幸せは顔には出ていないが、付き合いの長いヴィヴィにはそんな気持ちなどお見通しではあった。
少女達は少女達で楽しいことも、嬉しいことも、幸せなことも知っている。だから、少女達は楽しくあれるのだ。




