第二十話 技の名前
更新は毎週火・金予定です。
自室でましろと寛いでいると、すぐに焔乃宮が訪れた。
「お邪魔します。これ、お口に合うかわかりませんが」
そう言って、手土産を渡してくる。
しかも、高級洋菓子だし。
おいおい、俺らお隣さんだぞ……。
「あ、ありがとう。 なんか気を使わせてしまったみたいで悪いな」
とりあえず、焔乃宮を部屋に案内する。
「あーー! それってお菓子??」
そして、お菓子を目ざとく見つけるましろ。
「ああ、焔乃宮が持ってきてくれた。食べながら話そうか」
「うん! エンノミヤありがとう!」
「いえ……気にしないでください。大したものではありませんので」
そう言い、ソファの端っこに座った。
さて……焔乃宮を呼んでみたは良いけど、どうするか……。
今更、名前が思いつかなかったから、時間稼ぎがしたかったなんて言えないしな。
まあ、良い機会か。
とはいえ、無理に踏み込む気もない。
話したくなければ、それでいい。
しかし……何から話そうか。
「ねーねー、エンノミヤはなんで氷がキライなの? あんなにカッコいいのに」
「ま、ましろ!? その質問はちょっと急すぎるかな。 話したくないことかもしれないだろ?」
焔乃宮も気まずそうにしているし。
「そうなの? じゃあどうしたらいいの?」
「もっと仲良くなったら……かな。
ほら、まだゲームで一緒に遊んだことないだろ?」
「ほんとだ! それじゃあ、今からゲームしよっ!」
ましろがゲームの準備を始める。
めちゃくちゃ笑顔で。
あれ?
会議はどうするんだ?
「……ゲームで勝負する約束をしていましたので、別に構いませんよ」
焔乃宮からも許可が出てしまった。
まあ、いいか。
遊びながらの方が、話しやすいかもしれない。
ましろが持ってきたのは“ニャンコパーティ”。
双六形式で進みながら、途中でミニゲームを挟むやつだ。
ミニゲームは簡単なものが多いし、運の要素も強め。
焔乃宮にもワンチャンあるかもしれない。
……まあ、俺は負ける気ないけどな。
ゲームが始まった。
「ここで……ジャンプ! ジャンプ!」
「なるほど。タイミングよくボタンを押せばいいんですね」
「そうそう!」
ましろは焔乃宮の横に座って、甲斐甲斐しくゲームを教えてあげている。
やはり初心者だけあって、操作はぎこちない。
「むふふ。ましろの勝ちっ!」
「……なるほど。理解しました」
当然ましろの方が上手かった。
――しかし、数度目のミニゲーム。
「あー、ついに負けちゃった。エンノミヤ、上手だね!」
「先ほどと、同じ操作方法でしたので」
……これはやばいかもしれない。
ちょっと上達が早過ぎる。
いくら初心者でも遊べるゲームだとしても、もうましろより上手い気がするんだけど。
ましろ、大丈夫か……。
俺の予感は的中してしまった。
その次のゲームから、焔乃宮がましろにどんどん勝ち出した。
ゲームが進むたびに、ましろの頬がどんどん大きく膨らんでいく。
そして、ましろが爆発。
「エンノミヤのウソつき! ゲーム初めてって言ってたのに!」
「いえ……今日が初めてで……」
「そんなに上手なの、おかしい!」
焔乃宮の指が止まった。
画面では勝利の文字が出ているのに、視線はましろの膨れた頬に向いている。
これは真剣になりすぎて、ましろの状況に気づいていなかったな。
まあ、それだけハマってくれてたってことなんだけど。
仕方ない。助け舟を出してやるか。
「でもさ、ましろ。星はちゃんと取ってるじゃないか」
結局は星が多い人の勝ちだしな。
「でも、全然ミニゲーム勝ってない!」
ダメかもしれない。
結局ゲームはましろが一位で終了。
しかし――
「もう一回!」
「……駄目だ。もう寝る時間だぞ」
「むーーーー! もう一回! もう一回したら寝るから!」
「駄目だ。それに、ゲームはいつでも出来るだろ?」
「明日はエンノミヤいないかもしれないもん!」
「え、えっと、焔乃宮、明日もいいか?」
「……別に構いませんけど」
ましろのことは無碍に出来ないって感じか。
このお願いの仕方はちょっとズルかったかもしれない。
「明日はましろが勝つから!」
ビシッと指を刺して宣言している。
「……ええ、楽しみにしています」
一方、ましろの方は焔乃宮に本当に遠慮がない。
まあ、いい奴にはすぐに懐くからな。
あ……いい名前を思いついた。
そう言えば、焔乃宮の技の名前を決める会議だったな。
「焔乃宮、技の名前、思いついたぞ」
「なんでしょうか?」
「“白夜の大剣”。
氷の剣なら、悪くない名前だろ。
それに、ましろの“白”と、冬夜の“夜”も、ちょうど入るしな」
「とってもいいと思う!」
ましろは喜んでくれている。
焔乃宮の方は……迷っているな。
俺的にはいい名前だと思うんだけど。
これは、ちょっと狡いかもしれないけど、追い討ちをかけさせてもらう。
「焔乃宮は氷を使うのは嫌かもしれないけどさ。
ましろは焔乃宮の力は好きだよな?」
「うん! カッコよかったもん!」
「だからさ、ましろの前では、今日みたいに使ってくれよ」
「……私が断れないって、分かってて言ってますよね」
「……まあな。
俺はましろが笑ってるなら、それでいいからな」
「……わかりました」
「じゃあ、“白夜の大剣“で決定?」
「はい。“それ“でいいです」
「やったーー!」
これにて今日の会議は無事終了!
まあ、メインはゲームだったけど。
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