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第十九話 焔乃宮vs久遠

更新は毎週火・金予定です。

俺たちは二人から距離を取る。


その間も、焔乃宮はずっと久遠副隊長を睨みつけている。


それにしても――体が震えそうなぐらい寒い。

結構、距離を取っているのに、これだ。

焔乃宮が氷の力を使うって言うのは、本当のようだ。


隣を見ると、ましろは目をキラキラさせていた。

なぜか、とても楽し気。


すると、


「エンノミヤ、がんばれーー!」


声援までし始めた。

俺たち、さっきボコボコにされたのに。


でも……この声援は良かったのかもしれない。


焔乃宮の雰囲気が明らかに変わった。

荒ぶっていた力が制御されたみたいな。


その魔力は――綺麗だった。

焔乃宮の周りを、雪がひらひらと舞っている。

たとえ、それが望んだ力じゃかなったとしても。


この力なら……久遠副隊長に届いたりするのだろうか?


凪隊長の方をチラッと伺う。

隊長は俺の視線に気付いてくれた。

そして、ゆっくりと首を横に振る。


……ダメらしい。


まあ、そうだよな。

天竜山で見たあの魔力……。

あれは人間が届く範囲ではないのだろう。


それでも、一発ぐらいかましてほしいけどな。


「……行きます」


焔乃宮の準備が整った。

久遠副隊長はもちろん余裕の表情。


行け、焔乃宮!


焔乃宮の力が解放される。


すると――


「すごい! すごい! ソーマの水が氷になっちゃった!」


焔乃宮の両手に氷が集まり、一つの巨大な塊に。


ほんと器用だ。

あいつは、なんでもできるのか?


俺とましろの魔力が混ざった水。

それを自分の制御化に置くなんて。

俺たちの必殺技は、そんなに簡単なものじゃないんだけどな。


そして、その巨大な氷塊は形を変えた。

五メートルはありそうな巨大な大剣に。


「レーヴァテイン!」


そう叫び、大剣を一気に振り下ろした。


久遠副隊長は……ニヤッと笑いながら、全く避けない。


直撃。

そして轟音。


辺りに霧が立ち込めた。


……しかし、さっきのはどう見ても氷の剣だよな?

それなのに、炎の魔剣の名を叫ぶとは……。


「か、かっこいいーーーー!」


……だけど、ましろの琴線には触れたみたいだ。

まあ、気持ちはわかる。確かに俺もかっこいいと思ったし。


っと、霧が晴れてきた。


さあ、どうなったのか……。

少しぐらいは効いてて欲しいけど。


「ふむ。なかなかやるではないか」


……ダメか。


久遠副隊長の姿は、さっきと何も変わっていなかった。

傷一つない。服も、髪さえ乱れていない。


副隊長は化け物だな……人間が敵う相手じゃない。

これはもう、畏怖を感じるとか、そんなレベルの話ですらない。

こんな人が俺たちの味方で良かったぜ……。


だけど、焔乃宮はただただ、拳を強く握りしめていた。

まるで自分に腹を立ててるみたいに……。


……誰も、軽口を叩ける空気じゃない。


しかし、そんな空気を読まない子が一人。


「エンノミヤーーーー!」


ましろが叫びながら、焔乃宮たちの方に駆けた。

その声と表情は興奮そのものだ。


焔乃宮の腕を掴み、ぶんぶん振る。


「ねぇねぇ、さっきの剣どうやったの!?

 とってもカッコよかった!」


焔乃宮は目を瞬かせ、言葉を失っている。


「さっきのやつ、ましろたちのヒッサツワザにしよっ!」


……ナイスだ、ましろ。

そうだ、それでいい。

強いとか正しいとかじゃなくていい。あいつが自分の力を少しでも“好き”になれれば――。


「あれでは駄目じゃの。

 名は体を表す――あれでは非効率じゃ」


おい! なんてこと言い出す!


「ちょ、ちょっと待ってください副隊長!」


しかし、止まらない。


「じゃあ、別の名前にしたらいいの?」


「うむ。そうじゃ。

 しかし――氷の大剣とは、また難題を持ってくるの。

 安い名では剣に叱られそうじゃ」


ましろと副隊長が名前を考えだした。焔乃宮をほったらかして。

そして、ましろが何か閃いたように目を見開く。

正直、あまりいい予感はしないけど。


「アイスクリームはどう!?」


……やはりセンスがない。

焔乃宮も困った顔をしてるし。


「焔乃宮は名前を変えてもいいのか?」


「はい。構いません。

 最強の剣……それを想像したら、あの名前が咄嗟に出ただけですので」


……それは、よほど炎に憧れがあるってことだよ。


「ソーマは名前を考えるの得意だよ!

 クレイとグレイの名前もソーマが考えたの!」


「それは……ましろがあの竜たちを“いちご“と“サーモン“にしようとしたからだぞ!」


焔乃宮は少し悩み、俺に視線を向けた。


「それでは、お願いします」


おいおい、本気で言っているのか?


「こんな重要なこと、自分で決めろよ」


「……あまり、考えたくないだけです」


焔乃宮は視線を逸らした。


……考えたくないと来たか。

よほど氷の力を認めたくないんだろうな。


「はぁ……今回だけだぞ」


「ありがとうございます」


焔乃宮が深い礼をし出す。


「ソーマ、それでなんて名前にするの?」


ましろは目を輝かせている。

隊長たちまで興味津々だ。


いや無理無理無理!


「ちょ、ちょっと待て!

 名前ってのはノリで決めるもんじゃないだろ!」


全員の視線が俺に刺さる。逃げ場がない。


「必殺技だぞ? 使うやつのこと知らなきゃ決められるかよ」


そこで俺は焔乃宮を見る。


「……だからさ。後で少し話そうぜ。

 隣なんだし、部屋来てくれよ」


ましろがすぐに反応する。


「カイギだね! ヒッサツワザのカイギ!」


……違うけど、まあそれでいいか。


焔乃宮は少し戸惑ったあと、小さく頷いた。


「……わかりました」


よし、なんとか時間は稼げそうだ。


この後、選手紹介やら動画に必要なシーンを追加で撮影した。

今度の動画は俺たちと焔乃宮が戦ったところまでにするらしい。

あくまでも、ましろの強さが分かればいいとの判断。


そして、今日の仕事は終了!


まあ、これからが本番なんだけどな……。


……やばい。

氷の剣の名前とか、何も思いつかない!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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