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第十五話 謝罪動画

更新は毎週火・金予定です。

翌朝、会議室には凪隊長、久遠副隊長、焔乃宮、そして俺たちの五名が揃っていた。

今から、昨日の謝罪動画の最終チェックを皆で行うことになった。


「それでは、再生します」


スクリーンに映像が映し出された。


************


『皆様、ましろチャンネルをご視聴いただき、誠にありがとうございます。

 僕は、このましろチャンネルの責任者、凪。そして、この部隊の隊長です』


凪隊長が矢面に立つ。


『まず始めに、天竜山で起きた光の柱の件について、謝罪と説明をさせて頂きます』


『この度は皆様にご迷惑をおかけし――』

『誠に申し訳ございませんでした』『ごめんなさいでした!』


隊長だけでなく、全員が同時に頭を下げる。タイミングはバッチリ。

――ましろだけはセリフが間違っているけど。


しかし、焔乃宮も面白いことをする。

実際、ここはましろがちゃんと言えるまで何度も撮り直した。

それなのに、敢えてこっちを使うあたり……わかっている!


チラッと焔乃宮の方を見ると、なぜか言い訳をしてくる。


「こちらの方が、謝るタイミングが綺麗に揃っていましたので……」


隊長や副隊長もニヤけながらその言い訳を聞いている。


「――コホン、次にいきましょう」


『光の柱は、久遠の純粋な魔力によるものです。

 そのため、天竜山周辺の魔素濃度が、少しの間、高くなります』


この辺りの情報は、軍から情報を得たと焔乃宮が言っていた。

というより、彼は俺たちが謝罪すると予想していて、資料も台本も用意してくれていた。


『これにより、魔物の発生が従来より多くなると想定されます……が、対応はこちらで全て行います』


魔素濃度が高くなると魔物が発生してしまう。

本来ならば一個人が放出した魔力程度では、影響は起こらない。

裏を返せば、それだけの魔力を副隊長は放出できてしまうということ……。


『この山の竜たちに魔物を間引いてもらいます』


副隊長曰く、竜たちが勝手に間引くとのこと。

自分たちの縄張りを荒らされるのは嫌なのだろう。


『じゃあ。ましろたちは、何もわるいことしてないってこと?』


ここで、ましろが首をこてんと傾げ、質問を投げかける。


完全なるアドリブ。

もしこれが演技だとしたら、大女優待ったなしだろう。


だけど、この純粋な質問は、隊長や副隊長――魔人たちの本心を教えてくれることになる。


『いや、それは違う。

 僕たちは怖がらせてしまった。

 ……僕たちの目的は覚えているかい?』


『……あっ! ましろたちのことを、みんなにもっと知ってもらいたい!』


『そうだ。

 僕たちは、皆に怖いだけの魔人だと思われたいわけじゃない。

 湊原君。君は最初の動画でなんと言った?』


『魔人が“危険”や“怖い”だけの存在ではないと証明していきたいと……』


『そうだ。ここで謝らないと、ただの危険な魔人と思われてしまう。僕たちは、ちゃんと話の通じる魔人だ。

 ――そうだろ? 久遠』


『うむ。そうじゃ。ましろを思ってのこととはいえ、少し張り切り過ぎじゃったな。我も、反省はしておる』


副隊長が焔乃宮の方を睨む。

焔乃宮は気づかないふりをしているけど……。


だけど、ここはこれで正解だ。

この後、『我が謝るなんて滅多にない。誇るが良い、人間共』って言ってたからな……。

見る人によっては反省していないように見られてしまう。


そして、繋ぎも完璧だ。


『ましろもソーマに怒られたら、いつもごめんなさいしてる!』


ここで子供ながらも魔人の視点がちゃんと入っている。


まあ、言いたいことがあるとすれば、俺は別に怒っているわけではない。注意しているだけ。

だけど、こればっかりは仕方ない。人になったばかりだからな。

ただ、ゲームのやり過ぎだけは何回注意してもダメだけど……。


そして、動画は終盤へ。


『最後に、今回の件を受けて、僕たちは考えました。

 同じことを二度と起こさないために、どうすればいいのかを』


どうせ、また問題を起こすと思っている人もいるだろう。

俺もその一人だ。

……でも、その時に笑って許してくれるような、そんな関係にはしていきたい。


『その結論の一つとして、ましろチャンネルに、

 一人、力を貸してくれる仲間を迎えることにしました。

 軍との調整や確認を、僕たちだけの判断で行わないためです』


『第一航空戦術部隊・竜騎戦術課所属の焔乃宮冬夜です。

 今回の件を受け、ましろチャンネルの運営を補佐するよう命じられました。

 至らぬ点も多いかと思いますが、皆様に安心して見ていただけるよう、努めます』


新しい仲間も得た。

ましろを怖がらず、可愛いと思えるそんな人物だ。


『エンノミヤ、よろしくね!』


『……よろしくお願いします』


その後、締めの挨拶やらをして、動画が終了した。


「……どうでしょうか?」


焔乃宮が自信なさげに問いかけてくる。


結果はもちろん――


「いやー、良い出来だったよ! これで、行こうじゃないか!」


「うん! ましろも良いと思う!」


「俺も問題ないです。とても良いと思います」


俺たち三人は満足いく動画だった。


しかし、空気を読まない人物が一人……。


「……我の威厳は大丈夫かの?

 頭が低すぎと思われるのではないか?」


「……謝罪動画なんだし、あれぐらいが普通さ」


即座に隊長がフォローする。


「クオンはあやってるのに、なんかキレイでよかったよ?」


「そうか、それならば良いか……」


ナイスフォロー!


焔乃宮と目を合わせ頷き合う。


「では、この内容で投稿致します」


さて、視聴者たちは、どう反応してくるのか……。

否定的な意見はもちろんあるだろう。

でも、少しでも俺たちのことを信じてもらえたら……。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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