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第十三話 竜をゲット!

更新は毎週火・金予定です。

とりあえず、久遠副隊長からの指示待ちで良いよな?

こんなに竜がいる状態で、俺にできることは何もない。


できればここから早く離れたい……。


しかし、残念なことにそうはならなかった。


「ねー、クオン。ましろもさっきの人たちみたいに、りゅうさんに乗れる?」


ましろが予想外なことを言い出した。


「さっきね、白くてかわいいりゅうさんに乗っていた人がいたの!」


確かに白色の竜はやけに目立っていた。

それに乗ってた竜騎士も若くてイケメンだったし。


「ふむ。今後のことを考えれば、竜はあった方が便利かもしれんの。

 それに、せっかくこれだけの竜がおることじゃし……」


やばい。嫌な予感がする。


「よし、この中から好きな竜を選ぶがよい」


え、選ぶ?

選んで貰うじゃなくて?


「ましろがえらんでいいの??」


「うむ、好きなのを選ぶがよい」


ましろが両手をぶんぶん振って喜ぶ。


「わーーい! どの子にしようかな!」


まじか……。

これは俺もなのか?


「お、俺も選んでよろしいのでしょうか?」


「もちろんじゃ。お主はましろと共におるつもりじゃろ?」


副隊長の言葉で気付かされる。

そうだ。そんな当たり前のこと、ここに来る前に決めていたじゃないか。


「もちろんです!」


その回答は副隊長の望むものだったのだと思う。

心なしか、副隊長の表情は優しかったように見えた。


とはいえ、竜たちの目がさっきからギラギラし始めた。

これはどう見ても選ばれ待ちしてる。


「ち、ちなみに、選び方ってありますか?

 例えば、その……相性とか」


「自分と同じ属性が良いと言われておるが、別にそこまで気にする必要もない。

 こういうのは第一印象が一番じゃよ。それこそ、格好良いとか可愛いとかの」


そういうものなのか。

とりあえず迷ったら、水属性の竜を選べば良い感じかな。


選び方も聞いたので、ましろと一緒に竜の群れを巡る。

副隊長は後ろで腕を組みながらついて来てくれている。


ましろは「きれーー」「かっこいいー!」と感動しっぱなし。


確かにすごい。

大きさも色の違う。

こんなに多くの竜をこんな間近で見れる機会なんてない。


三十分ほどかけて全頭を見終えた頃――

竜への怖さは、かなり薄れていた。

それに、とても幻想的な光景だった。


「どうじゃ、気に入った竜はいたか?」


「うん! あの赤くてキレーなりゅうさんがいい!」


端のほうで縮こまっていた、小さめの竜。

小さいと言っても、馬よりもひと回りどころかふた回り以上は大きい。


とにかく鱗が綺麗な竜。

赤というよりは真紅といえば良いのだろうか。

他の竜と違って、俺たちを恐る恐る見ていたのもあって、俺も印象に残っていた。


「あの竜でいいのか? 他にも強い竜はおるぞ?」


「あの子がいい!」


「ふむ……まあ、問題ないか」


副隊長が目を細めて頷く。


「で、蒼真はどうする?」


「えっと、俺は――」


その瞬間。

ましろが選んだ竜の横にいた、同じぐらいの大きさの赤竜が「グワーッ」と鳴いた。

明らかに「俺を選べ!」と言っている。


俺はあっちの青竜を選ぼうと思ってたんだけど……。

それに名前も決めてたのに……。


仕方ない。

どう見ても、この二体は兄弟か何かだろう。

その二体を引き離すのも気が引ける。


「それでは、その、横の竜で」


「うむ。それが良いじゃろ」


こうして、俺たちの竜は決定した。


************


基地に戻った俺たちは、休む間もなく会議室へ呼び出された。


扉を開くと、空気が張り詰めている気がした。


「遅い!」


普段は温厚な凪隊長が腕を組んで立っている。背後には見えないオーラを携えて。


机の上にはタブレットが置かれていた。そこには――


「速報:天竜山上空に巨大な光柱」


さらにSNSのタイムラインが、恐ろしい速度で流れ続けていた。


……はい。なんとなく予想していました。


「……座りたまえ」


低く、冷たい声だった。


俺とましろは思わず姿勢を正す。

しかし、副隊長だけはいつも通り泰然とした態度で椅子へ腰を下ろした。


凪隊長が口を開いた。


「湊原君。ましろちゃん。久遠……」


一拍の静寂。


「今回の配信の件だが――」


机をバンッッ!! と叩いた。


「ひっ!」


ましろがビクリと肩を震わせ、俺までつられて背筋が跳ねる。


「やりすぎだ!! なぜあんな規模の配信をするんだ!!

 保護区にいる竜が全部出てきてしまったじゃないか!!

 光の柱は市街地から肉眼確認できるレベルだし!!

 各局ニュース速報!! 問い合わせが殺到している!!」


流石にあれは副隊長のせいだと言いたい。

とりあえず、言い訳はしておく。


「いや、その……俺は詳細を知らされていなくて……」


「ほう?」


隊長が細めた目で俺を見る。


「つまり、原因は久遠にあると言いたいのか?」


どうやら選択を誤ったようだ。


「い、いえっ、そういうつもりじゃなくてですね! その……俺も現場で混乱していまして……」


隊長の視線が、ゆっくり副隊長へ移動する。


副隊長はというと――


「久遠副隊長、説明をお願いできるかな?」


「何をそんなに怒っておる。当初の目的は達成できたであろう」


隊長の笑顔が消える。


「僕は“派手にするな”と言ったよね?」


「あれぐらい派手にせねば、視聴者は納得せぬわ」


「しかし、事前に説明してくれても……」


「我に任せたのは、凪じゃろ?」


「……」


隊長が項垂れる。


沈黙が落ちた瞬間、隊長がため息をついた。


「……はぁ。もういい。ところで湊原君。

――なぜ電話に出なかったんだい?」


満面の笑み。だけど、これが笑顔でないことは流石にわかる……。


「そ、それは……その……!!

撮影中なのでマナーモードにしていまして……!!!」


「君、三十回だよ?」


いや、そんなには多くなかったはず。

だけど、ここで否定なんてできるはずがない。


「はい……」


「そうだよね。君がもっと早く気づいてくれれば、こんなことにはならなかったよね?」


そう言うと、俺の前に書類の山が置かれる。


「じゃあ、これ手伝ってくれるよね?」


もちろん、俺の答えは決まっている。

逆らえるわけないからな……。


くそ! なんて職場だ!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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