↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/88

第31話▷Forbidden lovers

今回の遠回しの展開は完全に個人的趣味です。


こういうのがあってこそ、

セカ〇〇シリーズだと思っているので(くそわろ)

予(あらかじ)め入力していた7の刻に時刻計魔道具が鳴り出し目が覚めた。

それをま(・)だ(・)自(・)由(・)な(・)左手を伸ばして停止指示突起に触れる。


「……起きろ、スーリア。

迷宮(ダンジョン)内部とはいえ朝が来たぞ。時間だ。」


「……ん、うーーん、、、、」


私が横に寝ている彼女に声を掛けると、雪のように真っ白な寝巻きの裾から出した手で、スーリアはまぶたをこすりだした。


よし。拘束が解けた。

これで起き上がることが出来る。


普段なら彼女のことは気にせず独りさっさと起床するのだが、昨夜は床(とこ)を共にしたこともあってスーリアに絡みつかれた状態で夜を過ごしたのだ。

ちなみに横に来られた時点で彼女の言う通り寝袋からは身体を出してその上で就寝した。


「んー、ありささまぁ、も少しだけ……、、、

んきゃあぁっ!まぶしぃっ!!!」


ふたたびスーリアが夢の世界に旅立とうと身体を横たえたのを見て、私は思い切りテントの出入口の幕を開け放った。

ギラギラと輝くエネルギーフィールドから放たれる光が遮光テントの内部に差し込んでくる。


「ふふふっ。迷宮(ここ)では朝晩の感覚が麻痺するが

時間的にはもう朝だ。夢の世界が

名残惜しい気持ちも解らないでもないが、そろそろ

起きるとしようではないか「ふぁあぁ~」


起き上がったスーリアは右手を口に当てながら、左手を大きく上に伸ばして、これまた大きめのあくびで私の言葉をいつものように遮(さえぎ)った。


「ふふっ」


そんな彼女を愛らしく思いながら、私は生活魔法でもある【清浄(クリーン)】を自らに発動して寝汗やらの汚れを落とし、身支度を整え始めた。




* * *




私とスーリアが支度(したく)を整え、テントやその他生活魔道具をスーリアの収納空間(ストレージ)へ格納したタイミングで、エリオネア兄さまがもうひとつのテントから顔を出した。

そして私と目が合うなり「ぎょっ」とした顔を見せた。


「うおっ!? まじか もうそんな時間か?

わりぃいま支度(したく)するわ!!」


私たちの姿を見て慌てだした兄さまはすぐさまテントに引っ込んだかと思うと、姉さまを叩き起す声が聴こえてきた。


(おいっ!起きろジュリエスっ!! 早く起きろ!!)

(もぅなぁに~? 朝からしたいの?

昨夜もあんなに(ちちちちちげぇよ馬鹿っ!!

寝ぼけてんじゃねぇよふざけんな!!

いいから起きろ! 時間なんだよ!もうアリサたち

準備出来てんだよ!!!)


何かけたたましく会話しているようだが、内容までは聞き取れなかった。


しかし横のスーリアはなぜか顔を赤らめてうつむいていた。


先程までの我が身と置き換えているのだろうとなんとなく推測したが、やはり公爵令嬢ほどの淑女(しゅくじょ)ともなると、朝寝坊も恥ずかしく思うのだろうか。


気にすることないのに、とも思いつつこんな些細(ささい)なことを口に出すのも憚(はばか)られたので、私はスーリアと並んで腰掛けて、兄さま姉さまの支度が終わるのを待つことにした。




* * *




待つこと数十分。

やっと兄さま姉さまが身なり支度を完了してテントから出てきた。


「わっ、わりぃわりぃ、、、待たせたよな?

マジで悪かった!」

「あ、アリサ、それとスーリアナ嬢、遅れてしまって

本当にごめんなさいね……。」


すっかり騎士鎧と司祭服に身を包み臨戦態勢の兄さまと姉さまだ。


しかし、こんな迷宮(ところ)に虫でもいたのだろうか。

姉さまの首筋がところどころ赤くなっていた。


「それは大丈夫です。特に急ぎませんし。

それよりも兄上 姉上、昨夜は良く眠れましたか?」

「あぁ。バッチリ、、、だ、ぜ……!

な? ジュリエス??」

「えっ? え、ええ!もっもちろんよ!!

体力も魔力もすっかり回復しているわ!!」

「……っふふふっw それは重畳(ちょうじょう)でございますわ。」


最後はスーリアの言葉で締められる。


確かに兄さま姉さまの言う通り、一晩眠った私自身も体力魔力共に回復し気力も充実している。

やはりキャンプを張ったのは正解だったようだ。

万全のコンディションで中ボスへ挑めるのだから。




久しぶりに会ったジュリエス姉さまの凛々しいお姿はやはり相変わらずだった。


姉さまが身を包んでいる法衣も【清浄(クリーン)】の術を発動したのか汚れひとつない美しさで、まるで皇宮内で過ごしている時と遜色ない綺麗さだ。


ジュリエス姉さま自身、高位聖職 職業(クラス)である【司祭(クレリック)】に就いてるだけあって、その佇(たたず)まいも堂に入ったもので、レベルこそ私の方が若干(?)上かもしれないが、習得している神聖術も 職業(クラス)の恩恵で上乗せされるその効果も、私とは比べられないほど高い水準にあるはずだ。


そこまで高レベルではない姉さまがこの"叡霊聖廟(えいれいせいびょう)"の第4層まで攻略してきたことからも、姉さまの能力の高さが伺(うかが)える。


母国ラスティアではノネミア神よりザック神への信仰が広がっているせいもあり、姉さま自身もザック正教会に在籍していて、確かナンバー3だか4だかの相当高位の役職に就いているって聞いたことがある気がする。


そんな姉さまがノネミア正教会の聖地であるこの大聖堂へと赴いて来たのも、ノネミア神とザック神は夫婦神なことから両教会の関係も密接ということもあって実現したのだろう。


そして私は幼い頃からいつも異母妹である私を気にかけてくれていたジュリエス姉さまが大好きだ。この聖廟攻略が姉さまの助けになるなら改めて全力で取り組もうと思っている。




その姉さまと並んで立っているエリオネア兄さまは念入りに愛剣である"クラルハイト"を鞘から抜き放ち、その刀身の具合を念入りに確かめているが、兄さま自身も【帝国守護騎士(インペリアルガーディアン)】という 騎士系でかなり高位の職業(クラス)に就いており、その名が示すように帝国第2近衛兵連隊長を務めている。


とは言ってもやはり皇族なだけあって、多少お飾りな面は否(いな)めないものの、その実力・人柄ともに抜きん出ており、他の近衛兵たちから純粋に慕(した)われている。


単純な戦闘能力こそ、かつて勇者(ブレイバー)であったアルクスフォン兄さまには及ばないが、エリオネア兄さまには類(たぐ)い稀(まれ)なる指揮能力が備わっていた。


スタンピードなどの魔物群討伐や、山賊・盗賊殲滅作戦など、一軍を率いての統率力は群を抜いており、自軍の2倍以上の戦力を壊滅させることも珍しくなかった。


軍事的戦略に明るいということは、ひいては大抵の事象を多角的に俯瞰して立体的に把握する能力に秀でているということの裏返しであり、きっとそれは政治面や内政面でも活かされるであろうと思っている。


ということは、もしかしなくてもアルクスフォン兄さまよりも「皇帝」という立場に相応(ふさわ)しい能力をエリオネア兄さまは備えているのかもしれない。


そんな素晴らしい能力と実力を兼ね備えているエリオネア兄さまも、幼い頃からジュリエス姉さまと一緒に優しく暖かく私の面倒を見てくれていたこともあって、私自身も常に敬愛の念を持っている。




今の私の心境を素直にあらわすならば、私の大好きなエリオネア兄さまとジュリエス姉さまが挑んでいるこの探索(クエスト)の手助けが出来る機会というのが何よりも2人への恩返しになる気がして、否応なく私の気概は今高まっているところなのだ。




* * *




「―――よし、扉を開けるぞ。」


エリオネア兄さまが、この聖廟第4層中ボス部屋への扉に手をかけた。


「ちょっと待ちなさいよエリオネア!

確かにわたくしたちは年長者ではあるけれど、

実力的にはアリサのほうが上なのよ?

なのになんでアンタがパーティリーダーみたいな

顔してるのよ!」

「え? いや理由とか特にねぇけど、

なんとなく? 流れ?」


姉さまにたしなめられた兄さまを見て、相変わらず仲が良いというか、2人でひとつなんだな と改めて実感する。


「とりあえずエリオネアは後ろに下がって

どん と構えてなさい。

……っと、ごめんなさいアリサ、

姉としても心苦しいのだけれども、

貴女の聖騎士(パラディン)としての防御力を見込んで、

先陣を頼めるかしら。」


ジュリエス姉さまから申し訳なさそうに打診される。


「僭越(せんえつ)ながら申し上げさせて頂くならば、

わたくしも壁役(タンク)を担(にな)うアリサさまが

パーティの盾として先駆けなさったほうが

安定する気が致しますわ……。」


姉さまの案にスーリアも続いた。


「わかった。私が先頭に立って部屋に入ろう。

隊列的には私の次に兄さまと姉さまに並んでもらい

最後列はスーリアで、どうだろうか。」


言いながら私は チラッ と兄さまの顔を見た。

すると兄さまの指揮者としての頭脳が回転を始めたのだろうか。瞳の輝きが増した。


迂闊(うかつ)にも一番に突撃しようとしていたあれは何だったのだろうかと思った。


「OK それで行こう。

俺がアリサのやや後方から全体を俯瞰(ふかん)して

状況を把握し戦略を組み立ててみるわ。

ジュリエスは神聖術で全員の防御とダメージ回復を

担当。可能な限り指示は都度 俺が出す。

スーリアナ嬢は最後方から射線を確保して

狙撃・射撃をメインに頼む。

そしてアリサ。お前は申し訳ないが最前列で

みんなの盾になってくれ。俺はまだしも

耐久や防御に不安が残るジュリエスや

スーリアナ嬢にまでは絶対に攻撃を通すな。

前衛(タンク)がアリサ、回復(ヒーラー)がジュリエス、

遊撃(サポート)が俺、攻撃(アタッカー)がスーリアナ嬢。

まだどんな能力の敵かはわからねぇが、

まずはこれを基本戦略(メインプラン)で行く。

疑問質問反論はあるか?」


「ございません。完璧と思われます。」

「わたくしも異論ございませんわ。」

「決まりね! それで行きましょ!」


私を含め満場一致で陣形が決定する。


「よし。そしたらジュリエスは全員に

防御系バフを頼む。それが整ったら突撃だ。」

「わかったわ。【防護壁(プロテクト)】×4!

【防魔壁(マジックバリア)】×4! 【自動回復(リジェネーション)】×4!」


兄さまの指示で私たち全員に姉さまから防御系バフが詠唱された。


「……これは!」


なんと。

昨夜、エネルギーフィールドを渡るために自分に発動した神聖術とまったく同じものだというのに、姉さまが発動した防御系神聖術のほうが格段に効果が上であった。


やはり上位聖職たる【司祭(クレリック)】が発動する神聖術は、職業(クラス)恩恵によって効果が上乗せされるのであろう。


だからこそ、そこまで高レベルではなかった兄さま姉さまでもあの暴力的なエネルギーフィールドを渡河する事が出来たのだということを確信した。


「……よし、行くか。

じゃ、アリサ頼む。」

「心得ました。」


私は兄さまの指示を受けて、中ボス部屋の扉を慎重に開け放った。

エリオネア兄さまの愛剣クラルハイトはドイツ語表記の別名ですが、「オートクレール」という名称のほうが有名で親しみやすいでしょうね。


また前話でアルクスフォン兄さまの堕とされた職業(クラス)を【暗黒決闘士(ダークデュエリスト)】と明記しましたが、しっくり来なかったので【無法者(バンディット)】に改稿してあります。


ちなみに中身や性格は異なりますが、

双子兄姉の外見は「〇しの子」のあの2人をイメージして

書いております(マジ恐れ多いごめんなさい)


和名タイトル「禁じられた恋人たち」


(2026/10/12)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。