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第17話▷I believe in my light

適当になぁなぁで進めるのに抵抗あったので

じっくり文字数使って書いてます。

個人的に大事なとこだと思ってるので。


ほんでもうだうだしててほんとごめんなさい。

意味が解らない。


自分でも全く理解出来ない。


自分自身の感情が全く理解出来ない。




名前を聞いただけで勝手に"運命の人"と思い込んだセシル王子の墓前を弔っても、実際にはなんの感情も湧いてこなかったくせに。


私にとって彼は特別な存在ではなかったと判明したはずだ。


色々と思うところはあったが、それで私の心情は一区切りついたはずだ。


なのに、なぜ……


なぜ、スーリアナ嬢とセシル王子が婚約していたという事実を聞かされて、


私はこんなにも、

こんなにまでも、、、


それこそ自身の心臓が握りつぶされそうな程の衝撃を受けているのだろう。




「これで、わたくしの婚約者を…

わたくしの愛する婚約者を……!


最愛のセシルさまを、

もう一度この世に喚よび戻すことが

出来そうですわっ!!!!!!」





そう述べたスーリアナ嬢の言葉を聞いた私は、自分でもこの上ない想定外のレベルで千々(ちぢ)に乱れた。乱された。


乱された、では済まない。

鋭利な刃物か何かでズタズタに切り裂かれた。

そんな感覚だった。


どう自分を客観的に見てみても、

その言葉が研ぎ澄まされたナイフのように私の心をばっさりと切り裂いたのだ。


一瞬で視界が歪んだ。

制御不能とはこの事か。


とは言うものの、私はみっともなく取り乱すでもなく、ただぼう然と身動き出来ないままだった。


なぜなら、

ただひとつの"思い"にただひたすら

心を支配されていたからだ。


理由や根拠なんてない。わからない。


わからないのだが、、、

ただひとつ、明確に決定的に頭に浮かんだのは、




―――私の所有物(もの)がこの女に奪われた。




その思いだけだった。




「……こ、婚約、者………………?」




間抜けな鸚鵡返(おうむがえ)しの言葉を必死に渾身の力で(しぼ)り出す。


それを聞いたスーリアナ嬢は神妙な面持ちで私に答えてくれた。




「左様でございますわ。

とは言っても、残念ながら正式なものではなくて、

わたくしが勝手にそう自称していただけに

過ぎないお話だったのでございますけれども……。」




そして彼女は哀しそうな微笑みを浮かべて(うつむ)いてしまった。


しかし私はそんなスーリアナ嬢の心情など意に介さずに、とある言葉に食いついてしまう。


「……自称?」


既に王子は故人だというのに、自分の中でも歯止めが効かなかった。


彼女が王子を自分の婚約者だと(のたま)ったのは、実際は何の根拠もなく独り()がりだったと言うことだろうか。


感情と情緒を既に制御出来なくなっていた私は、先程と同じように鸚鵡返しの問いかけしか出来なかった。


「お父さまはわたくしを直系の王族に

嫁がせるつもりだったのだけれど、

仕方ないわよね。

出逢ってしまったんだもの…………。」


そう言いながらスーリアナ嬢は遠い目で窓の外の景色に視線を移した。


……確かに、セシル王子とスーリアナ嬢が口約束とは言え、婚約していたという事実は正直ショックだった。


それこそ、内心密かに逆上してしまうほどに。


王子と出逢ったことすらない私が言うにもこの上なく可笑しい話ではあるのだが。


しかし、最愛の人を(うしな)い肩を落とすこの公爵令嬢を見ているうちに、次第に私は落ち着きを取り戻してきた。


そもそも、肝心の王子はもう既にこの世の人ではないのだ。


私が2人の関係性を(なげ)こうが(わめ)こうが、もはやどうする事も出来ないのだ。


しかも、しかもである。


私のようになかば白昼夢じみた妄想で勝手に焦がれたわけではなく、スーリアナ嬢は実際に自身の横で共に過ごしてきた婚約者を亡くしたのだ。


身近な、横で共に笑い合った最愛の人を亡くしているのだ。


気を抜くとその事実にまたお門違いの嫉妬心が火を吹きそうになるが、それとは全く別の感情が私の心中に芽生え始めていた。


なんと言えばいいのだろうか。




この令嬢に力を借してくあげても良いのではないだろうか。




いや、我ながら痛感するが現金なものだ。


"婚約者"という肩書きが正式なものではなかったという事実を聞かされただけで、こうも心に余裕が出てきてしまうとは。


実際のところ、それほど私は安堵してしまったという事なのだろう。


確かに死者を喚び戻すという禁忌に対する忌避感・嫌悪感はいまだに強い。相当に強い。

私自身の信条・信義と相反するものだ。


しかし、私は聖騎士(パラディン)だ。

神に全てを捧げ、神の御心を貫く聖騎士(パラディン)だ。

私なら出来る事、私でなければ出来ない事がある。


ならば、道はひとつしかない。




これも"運命"。




私は、いまこの瞬間私の中であわく光り始めたこの光を信じることにしたのだ。




目を閉じてゆっくり深呼吸した後、私は口を開いた。




「……話はわかった。スーリアナ嬢。

依頼(クエスト)の具体的な詳細を(うかが)おう。」


俯いていたスーリアナ嬢は私の言葉を聞くやいなや、弾かれるように顔を上げ、驚いた表情を隠そうともせずに見せてきた。


「―――――えっ?」


呆気に取られる彼女。


「ははっ。私を脅しておいて

何を驚いている。それにもうとっくに私は

承諾していたではないか。」


「お、脅し……、、、

い、いえ、あれは、、、本気では…………。」


そこまで口にして、スーリアナ嬢はキリッと真面目な面持ちで私を見つめてきた。


「改めましてありがとうございますアリサさま。

このスーリアナ、ノネミア神に誓って、

アリサさまに関する一切を口外致しませんので

どうかご安心を。

並びに、わたくしも引くに引けない

状況だったとは言え、アリサさまに対する

多大なる御無礼、誠に申し訳ございませんでした。」


そこまで言い切って彼女は深々と頭を下げてテーブルに頭を付けた。


「……今の私は皇女ではないつもりでここにいる。

だからどうか顔を上げて欲しい。」


「皇女殿下? どちらにいらっしゃいますの?」


顔を上げると同時におどけるスーリアナ嬢。


「アッハハハハハハハ!!」


流石に声を出して笑ってしまった。

この令嬢はどうやら信頼に足る人物のようだ。

少なくとも私にはそう見えた。


室内の緊迫感が一気に緩んだ気がする。


それでは私からも幾つか詰めておきたい点を確認するとしよう。


私は紅茶をひと口飲み込んだあとに切り出すことにした。


「スーリアナ嬢「"スーリア"でよろしいですわ。」

「……では、スーリア嬢「"嬢"は要りませんわ。」


早速、腰を折られた。


「…………こほん。す、スーリア…………、、、」

「はい。なんでございますかアリサさま。」


私にも"さま"は不要だ。


そう言いたかったが、何故か喉に詰まってその言葉が出てこなかった。


スーリアはにこにこしながら私の次の言葉を待っている。


そんな彼女を見ていて改めて感心してしまう。


"公爵令嬢"という肩書きから想像するに、彼女自身も相当な権力を持っている筈だ。

(こと)にここルーンネリアにおいては、私のような他国の皇族を凌ぐほどに。


それでいてなお、私に対する最低限の礼節は心得ている。(素性を元に脅迫されかかった点はさて置くとして)


だから。

だからこそ、私にとっても譲れない点はあるのだ。


「す、スーリアは、セシル王子の魂を喚び戻して、

どうするつもりなのだ?」


私の問いに、スーリアは びくっ と身を震わせると、目に涙を貯めながら答え始めた。


「わ、わたくし、その、突然の事でございましたので

セシルさまにお別れをお伝えしておりませんので、

ど、どうしてもこの口でセシルさまに

"さよなら"をお伝えしたいのですわ…………。」


「……お、お別れ??」


「左様でございますわ。

セシルさまは夜に突然、胸から血を吐き出して

天に召されたと伺っております。

その時の苦しみは相当のものであったと

わたくしは耳にしております。」


「…………………………。」


私は無言でスーリアの次の言葉を待った。




今際(いまわ)(きわ)はあっという間だったと、

私は伺っております…………。

きっとセシルさまは、言いたかったこと、

伝えたかったこと、おありだったとわたくしは

思うのです。

ですのでせめて、わたくしがセシルさまの

(のこ)したかった想いや言葉を、しっかと受け止めて

差し上げたいのですわ…………。

心残りや未練を無くして差し上げるなんて、

そんな大それたことを出来るとは

わたくしは思っておりませぬが、

せめて、最期の言葉くらいは満足に

(のこ)させてあげたいと………………」




最後のほうは言葉になっていなかった。

スーリアは再びテーブルに突っ伏すと、静かに嗚咽(おえつ)を漏らし始めた。


「……ひ、ひとつだけ、確認したい。」


私も意を決して口を開いた。


既にスーリアが純粋な想いで望みを叶えようとしているのは理解している。


そこには微塵も(よこしま)な思惑などは感じられなかった。


だからこそ。

だからこそこの一点だけは確認しておかなければならないのだ。


「す、スーリアが、セシル王子の魂を

現世に喚び戻す理由は理解した。

しかし、、、そのあとはどうするつもりなのだ?」


自分でも思った以上に、自らの詰問の声が凛として客間に響き渡った。

すみません。

家族旅行とかに行ったり仕事が忙しかったりで

更新遅れました。


ほんで、当初の予定よりも文字数使ってしまったので

ここら辺でいったん切りました。


スーリアたんはわりとお気に入りなので

2章のゲストヒロイン的な扱いになるかもです。

縦巻きドリルの令嬢キャラ、好きなんすよね~


タイトル和訳「私は私の光を信じる」


(2026/08/01)

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