第12話▷Platinum's brilliance
さぁ、第2節が開幕しまして、
ありちゃんの冒険もこれから本格的に
なって行くと思います!
原典と同じくコミュ障なのはご愛嬌w
今日は少し早めに目処が付いたので、まだ日は明るかったが私はキャスティアの街に戻り冒険者ギルドの扉を開いた。
「お帰りなさいませ。アリサさん。
本日の首尾はいかがでしたでしょうか。」
私に付いた担当受付嬢のクララが笑顔で出迎えてくれる。
「……と、特に問題なしだ。」
私は彼女と目を合わさずに、マジックバッグから戦利品を取り出す。
恥ずかしい話だが、生まれてからずっと近親者を除くと、身の回りを世話してくれる従者や、軍人・文官などとしか会話することがなかったので、私は市井の人間と接する機会がほぼなかった。
だからなのだろうか。
どうやら私は、コミュニケーション障害かもしれない…………。
なんと言えばいいか、、、実は普通の人々との話し方の正解がいまだにわからない…のだ……………。
「…………!!?? え、これ……!!??」
「……? えっと、その、、、
確かに私が受注したクエストの素材だったと
思うのだが…………。」
な、なんだろう。私はなにか間違えたのだろうか。
明らかに狼狽するクララを見ていると私まで不安になってくる……。
「あ、いや、さ、3件も同時に、
一気に今日だけで片付けたんですか?」
「へ? あ、あぁ。も、もののついでというか、
段取りが上手く運んだのでな。」
「でもどれもB級クエストですよ???
普通は1件のB級に、早くてもまる1日くらいは
かけるものですよ???
おまけにアリサさんはソロ活動ですよね??」
どうやらクララは、ギルドカウンターに私が並べた戦利品を見て驚いたようだ。
ツインヘッドタイガーの角。
グリフォンの嘴。
ワイバーンの爪。
確かにどのターゲットも脅威度B級らしいが、あの程度でクエストまでB級とは如何なものかとは思っている。
「その、まぁ、特に問題はなかったからな……。」
と言うのは先日、私自身もBランクのプラチナクラスに昇格したばかりだからだろうか、正直 脅威度B級の魔物では手応えが無さすぎる。
キャスティア周辺のモンスターは低レベルばかりだが、ここから徒歩で半日ほどの距離にある廃墟が何故か魔界?に繋がっているらしく、そこの穴場で簡単に収集することが出来たのだから何の問題もない。
そこはダンジョン扱いはされてはいないものの、ギルドと王国によって共同で管理しており、一応プラチナクラス以上の冒険者でないと立ち入りは許されていない。
非常に物騒な話ではあるが、そういったゲートは近隣諸国も含めて幾つか存在しているらしい。
国によっては勇者などが派遣されて封印してしまう事が多いらしいが、ルーンネリアでは敢えて封印せずに実力者のみを派遣して、自国資源に依存しない資源調達手段として重宝されていると聞いた。
恐らくラスティアにおいてもゲートが存在しているならば、そのような運営をしている事だろう。
皇帝陛下ならきっとそうする。
間違いない。
……そしてクララの弾ませた声に私は我に返る。
「……これは、すぐにA級のダイヤモンドクラスに
昇格も見えてきましたね…………。」
「…………! そ、そうか。」
彼女からの言葉に思わず嬉しさがこみ上げる。
冒険者になるまでは、特に上昇志向や向上心などまったく持っていなかった。
そもそも冒険者になった理由も、出奔してきた小娘が、手軽に自分の身元や身分を(偽りでも)証明出来るようにする為だっただけで、他に手があるならば何も冒険者でなくても良かったのだ。
しかし、いざ冒険者となって、見聞を得るついでとはいえ幾つかクエストをこなしていくうちに、私は思いのほか充実感を覚えるようになった。
幼い頃から心に空いた穴を埋めるために、色々と研鑽して己を磨いて高めて来た自分の修練が、結果となって報われたような気がしたからだ。
流石に根深い喪失感・虚無感を埋めるまでには至らないが、それでも今の私には救いになっていたのだ。
「…………しかし、困りましたね。」
「え?」
無表情を装い、喜びを噛み殺している私に、クララの今度はやや困惑した小声が聞こえてきた。
「あ、私ってばつい声に出ちゃいましたか……。
……いや、その、なんと言いますか…………。
この街の冒険者ギルドはそこまで大きくはないので
権限も余りないのですよ……。
B級昇格までなら当ギルドの権限でも
認定可能なんですけど、さすがにA級以上となると、
そうですねぇ…………。
エルミンとか王都とか、大きな都市の
冒険者ギルドでないと、
昇格認定出来ないんですよね。」
「……な、なるほど………………。」
確かに、上級・一流冒険者ともなるとそれなりの権利や権力なども発生する。
そんな高い地位をあちらこちらでホイホイと認定していると収拾がつかなくなるだろう。
そういった混乱を未然に防ぐ意味でも、ギルドの権限をある程度集約しているということなのだろう。
「……そうか。では今後のことをもう少し
考えるとしよう。」
別段目的も特になく、急ぐ旅ではないがいつまでもこの街にいるつもりもなかった。
ということは、そろそろ次の場所へ向かう頃合いなのであろう。
次に向かうとすれば、やはり王都なのだろうと思う。
この国、ルーンネリアの中心地であり、文化や特色なども王都に集中しているだろうし、なにより祖国とはまた別の異文化においても中心地であろう王都。
自分だけの"運命"を探すために祖国を飛び出した私ではあったが、そういった未知の見聞や知己を得るのも目的ではあった。
そしてなにより、王都はセシル王子が生まれ育った場所である。
もう彼と出逢うことは叶わないが、それでも彼を育んだ土地をこの目で見てみたいという想いがある。
―――うん。決めた。
次は王都へ向かおう。
そこでセシル王子の面影に触れつつ、A級冒険者を目指そう。
ダイヤモンドクラスに昇格して、そこから見えるまた違った世界を堪能してみよう。
「あ、ありがとう。またよろしく頼む。」
「はい。ご利用ありがとうございました。」
クララに礼を告げてカウンターを離れる。
その時―――――
ドンッ
「いって」
「あ、す、すまない。だ、大丈夫か??」
別れの挨拶を交わしたクララを見ながらの余所見をしていた私はすれ違いざまに、短いダークグレーの髪の大男と肩がぶつかってしまった。
思わず条件反射で接触した相手に謝罪する。
こういった事でまた無駄に絡まれたりするのもいい加減飽きたので、抵抗はあるが表面上 下手に出てやり過ごすのが無難だと言う事を最近やっと学んだのだ。
「あ、いや、思わず声が出ちまっただけで
実際痛くねーから問題ねぇよ。
てゆーかよ、オレこそマジ悪かった。
そっちこそ大丈夫だったか?
怪我とかなかったか??」
しかしその大男は、こちらに因縁を付けるどころか、接触した私の身を案じてくれた。
「………………へっ?」
こんなに離れた異国の地で顔見知りに出逢うはずはない。
実際にその彫りの深い迫力のある顔面は初めて見るし、知り合いであろうはずがない。
「ちょっとセイヤぁ! 前見て歩かないと
危ないじゃんw」
「セイヤくん急ぎすぎ!
そんなあわてなくてもギルドは逃げないからねw」
大男の連れだろうか。
彼の後から続いてギルドに入ってきた、
2人の女の子がその大男に声をかけていた。
「…………っ」
人の良さが滲み出ている強面の大男だけでなく、彼の仲間であろうその2人にも、同じ匂いを感じた。
初対面で間違いないのに、この3人からどこか懐かしさのような感覚が強烈に私自身の内面にすべり込んで来たのだ。
(……この感じは、いったい…………?)
なにか気の利いた事を言おうと思ったのだが、生憎コミュニケーション障害の私には、彼らと目を合わせずに俯く事しか出来なかった。
当初は予定なかったんですけどね
セイヤくんアイちゃんユミィちゃんも
出してみました~
時系列的には1章の1節と2節の真ん中らへんですね。
タイトルは和文では「プラチナの輝き」でした。
(2026/06/20)




