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第5話▷"必然"を超える"運命"

おかしいです。

プロットでは2話くらいで旅立ちを済ませて

その後なんかクソしょうもない

よくわからない話が続く予定だったんですけど、

書けば書くほど話が膨らんで行く気がします。

感覚としては、

ありちゃんがこの話を書かせている、

そんな状況に近い感じです(ホントに)

フロルに肩を借りて自室に戻った私は、着替えもせずにベッドに横になった。




……いったい、私はどうしたというのだろう。




朝起きて、日課の鍛錬をこなし家族皆で朝食を頂くまでなんともなかった。


いやむしろ、調子はすこぶる良かった。


「……姫さま、お加減は、、、いかがでしょう……。」


フロルが青い顔で私を覗き込む。


「あ、いや、とりあえずそこまで悪い訳では

ないと思うのだが…………。」


症状は軽い貧血に似ている、かもしれない。


すーっと、頭から血が引いて視界が(せば)まり、虚脱感に襲われた。

それこそ、足に力が入らず、立ってられないほどに。


ここまで酷い症状は初めてだが、経験上このまま少し安静にしていればきっと良くなる予感はある。


「少し落ち着きましたら、楽な格好に

お召かえ致しましょうね。

その前に桶に水とタオルをご用意して参りますので

ほんの(しば)しお待ち下さいませ。」


私を気遣うフロルに思わず私は上体だけ起こし言葉を返す。


「いや、フロルこそ私のせいでまだ

朝食を()(そこ)ねているだろう?

私はもう大丈夫だ。フロルはどうか朝食を

食べてきてくれ。」


「……ですが!「何かあれば鈴を鳴らす。

だからどうかお願いだ。

私にもお前を(いたわ)らせてくれ。」


「…………かしこまりました。

すぐに戻って参りますので姫さまはどうか

ご安静になさって下さいませ……。」


私の世話を続けようと食い下がったフロルを無理やり下がらせて、私は再び自室のベッドに横になり見慣れた天井を見上げた。




「ふ―――――――――」




思わず深いため息をつく。


少しずつ脳に再び血液が巡り始めた気がする。


右手の甲を(ひたい)に当てて、ゆっくりと思考を巡らす。




「………………………………。」




ゆっくりと頭の中を整理してみよう。


フロルを下がらせたのは、こうして独りじっくり考える時間が欲しかった、というのもある。


いや勿論、フロルに余計な心配や手間などを背負わせたくなかったというのが1番なのだが。




私が突然心身のバランスを崩し、体調が思わしくなくなった原因は、考えるまでもなく明確ではあった。




[ セシル 王子 ]




会ったこともない。


そもそも、名前すら知らなかった。


それどころか、「彼」という存在を知ったのは、


今日。


それも今しがたついさっきなのだ。




彼の名を耳にして、心臓を鷲掴みにされた。


"気がした"なんて生易しいもんじゃない。


間違いなく"彼の存在"に私の心が、


心を司る心臓が、鷲掴みにされたのだ。


突然の事に戸惑い、半ば自失に近い状態にはなったが


私の精神の奥底。いわば魂が、


まだ名前しかしらない"彼"を、"彼の存在"を、


"自分が求めていたもの"


"私に欠けていたもの"と、


認識したが(ゆえ)の、


アリサ=ウェストファリア=ラスティアーナの


正直な反応だったのだ―――――




そんなこと、普通は有り得ない。


断じて、有り得ない。


名前を知っただけの、何処の誰とも知らなかった、


話したこともない、会ったことすらない、


そんな男性に心を奪われるなんてことは


どう考えても確実に有り得る話ではない。


しかし、


もしそれが"運命"ならば、


偶然を超える必然、更にその上を超えていく、


"運命"であったならば。


私がこの世に生まれる前に決まっていた、


"運命の人"であったならば、、


名前を聞いただけで魂が反応してしまうほどの、


"私の運命の人"であったならば、、、


私の()()がかような反応をしてしまうのは、


やはり必然と言わざるを得ないのだろう……。




「……うっ。ううっ、ううううううぅぅぅぅ…………」




嗚咽(おえつ)が漏れた。


知らない間に、自然に漏れていた。




そんな、私にとっての"運命の人"が、


生まれて来た時からずっと、私に欠けていた、


生まれて来た時からずっと、追い求めていた、


私にとって何よりも大事で大切になる筈の存在が、




「……もう、死んでしまってるなんて…………………」




ずっと追い求めていた、


私にとって欠けていた、大切な何か。


それが、セシル王子だったと私は確信している。


根拠なんてない。勿論、理由すらない。


それでも、私は確信している。


セシル王子こそが、


私が生まれてから今まで、


ずっと焦がれ待ち望んでいた、


"運命の人"、だったのだ………………!!




しかし、その彼が、


もう既にこの世にいないなんて…………………!!!




「うぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!」




何処か遠くから、自分の泣き叫ぶ声が聴こえる。


名前しか知らない、どんな人となりかも知らない、


まったくの見ず知らずの男性に勝手に恋焦がれ、


そしてその彼の"死"に勝手に絶望している女なぞ


およそ正気の沙汰(さた)とは思えない。




もともと自分でも普通ではないと思っていたが、


いよいよ私は完全に


狂人と成り果ててしまったのだろう………………。




もう、何もかも、どうでもいい。


きっと、希望とか気力とか活力とか、


私はそういった(たぐい)のものから


およそ縁遠く生まれて来たのだろう。




「……………………ケホッ」




先ほど胃に納めた朝食が、私のシーツを汚した。


けれども、そんな些細なことは、今の私には心の底から本当にどうでも良い事でしかなかった。

まったく関係ない話なんですけど、

WEB小説とかなろう系とかって

「文章、文章」

みたいな感じで、文末の【」】では【。】を用いないのがセオリーだって知ってるんですけど、

国文学とか純文学とか読んでた身としては、

「文章、文章。」

みたいに【。」】で締めたい派なんで、

基本それで統一してます。

読んでて「おや?」と思った方とか、

「こいつ無知かよ」とか思った方もいらっしゃるでしょうけど

個人的自己満足なので大目に見たってください。


なお、今回の話も書きたいことの半分すら書けずに

次回に続きます…………。


さて、ありちゃんはいったいいつ

旅立てるのでしょうか……www


(2026/05/21)

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