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第47話●神様に祈る以外、やれることあんなら誰か教えてくれよ

なんと。

今回でついに50エピソード目です。


おかしいですね。

まだ1章終わってないんですけどね。


うう……っ。


何秒か、何分かわからねぇがどうやら意識を失っちまっていたらしい。


(ひたい)にとんでもない激痛が走ってっけど、これ確実に割れてるな。


み、みんなは無事、だろうか………………。


アイ……は、、、壁際で倒れている…………。

とんでもない量の血を流しながら…………!!


クッソ!

また護れなかった…………!!


今すぐ駆け寄ってやりたいところだったが、生憎(あいにく)とオレのほうも小指の先ほども動かす体力気力が残されていなかった。


……畜生。

アイを護るとか言っといてこのザマかよ。


せめて、せめて他の誰かは動けたりとかはしねえのか?


れ、レイトとナーシュ……は、、、

2人覆い被さるように床に転がっている…………。


背中が呼吸で上下しているところを見ると、まだ息はあるようだが、顔色が相当悪く見えるし危険な状態なんだろうな、、、


クッソ!!!


オレもアイもレイトもナーシュも生きてるのが不思議なくらいのボロボロじゃねーか………………。


―――あ、あとは…………、、、


ユミィ、ユミィは?


ユミィは無事なのか……!!??


激痛に顔をしかめながら、なんとか頭を半回転させて王座のほうに視線を向ける。


「………………。」


王座にはサンドリアスが不遜に座っていた。


その足元にはクリストフさんが無惨な姿で横たわっている…………。


クッソ!!


クリストフさん………………。

せっかく権天使(プリンシパリティ)戦の傷が癒えたと思ったのに…………!!

オレに、オレに力があれば………………!


「……ほぅ。

貴様は吸血鬼(クリストフ)と接する機会が

多かったようだな…………?

幾分か闇の魔力を身に(まと)えておるの。

ワシの瘴気になんとか耐えておるようだしの。」


「……ううう、、、」


サンドリアスがユミィに語りかけている。

そのユミィは、アイツの前にへたりこんで震えていた。


ユミィがまだ無事なのは、アイツの何がどうあっても自分の絶対的優位は確実に揺るがないという自信の現れなんだろうな。


奴に少しでも脅威と認識されてしまえば、一瞬でユミィの生命は刈り取られてしまうだろう…………。


(……クッソ! 無力すぎんだろうがよ!!!)


余りの不甲斐なさに涙すら出てきそうになった。


それにしても、サンドリアス(コイツ)は一体なんなんだ?


さっき聞いた話だと1000年前にクリストフさんを捕らえた時に魔力を吸い出すだけじゃなく、自分の本体を内部に埋め込んで、仮の肉体のリッチを使ってよく知らねぇけど邪悪な存在の力を使って育ててたってことかよ……。


そこまでのアイツの執念と欲望に、今さらながら恐怖を覚えた。


「……まァ、ひとりぼっちもつまらんしの。

観客の1人くらいはいてもらわんとな、

あまりに味気ない…………。」


言いながらサンドリアスは王座から立ち上がった。




「ワシの本体がこうして目覚めたことにより、

長年ワシに力を与えてくれた偉大なる(あるじ)

破滅の追跡者(ベインチェイサー) ディー・ア・マッド】を

この世に招くことが出来るのだからなぁ!!

さぁ! もうすぐだ! もうすぐ我が(あるじ)

この世に顕現(けんげん)する!!!

そしてワシは不死者(アンデッド)の頂点に君臨(くんりん)し、

新たな千年王国の王となるのだァァ!!!」




い、い、今なんつった………………!??

そんな名前、伝説か神話でしか聞いた事ねぇよ!!


奴の言葉に思わず耳を疑った。


かつて世界を滅亡寸前まで追い込んだとされる【七大災厄(セブン・ディザスター)】……。

オレの記憶に間違いがなければ、【破滅の追跡者(ベインチェイサー) ディー・ア・マッド】は、その一柱だったはずだ………………!!


そんな、そんな途方もない存在がこれからここに現れるっつーのかよ!!!!


そんなの、、、、

もう、絶望しかねぇだろうが………………。


あぁ……、神様………………、、、




オレは目を閉じて、神に祈るしか出来なかった。




そのとき―――――




パリン...




遥か頭上から妙に透き通った、何かが割れる音がした。




「―――――!!??

お、王宮の異空間化が解けた、じゃと……??」


奴にとっては予想外の事が起こったらしい。


確かに奴が言うようにこのダンジョン、サルアーフ王宮跡は外界から切り離された異空間化したダンジョンだった。


それが解けた、と聞こえたが、、、




「―――――!!!!!」




根拠はなかった。

(ひらめ)きというか直感と言うか、

オレは無意識にわずかに残っていた気力体力をかき集めて叫んだ。




「ユミィィィィ!! 逃げろ!!

そこから今すぐ離れろッッッッッッ!!!」




なんでそんな事を叫んだのか。

なんの理由や確信があってユミィを逃がそうとしたのか。


わからない。わからない。

わからないが、オレの中の()()()が、そうさせた。


そうとしか言えなかった。




「!!」




オレの声が届いたのか、ユミィは反射的に弾け飛ぶように女王の間の隅へと駆け出して、柱の影に身を隠した。


そしてサンドリアスは、そんなユミィなど目に入っていない様子で ぶるぶる と震えていた。




「なぜ…………。

なぜじゃ………………。

わ、我が(あるじ)、ディー・ア・マッドの……、

ディー・ア・マッドからの力が…………、、、

力だけではない! 我が(あるじ)の鼓動、波動すら!!

消えてしもうた……………………………………。

我が(あるじ)の身になにがあったァァァァアア!!!?」




突然のことでマジ何が起きてるかさっぱり理解出来ねぇんだが、奴自身の身体から黒紫の煙がいたるところから立ち上り始め、サンドリアスの身体の表面がみるみるうちにどんどんと干からびていく……。


「フガァァァァ!! ファガァァァァッッッ!!」


のたうちまわるサンドリアス。

それどころではないのだろう。

手に持っていた聖宝珠も放り投げて苦しみ(もだ)えている。


どういった理由かわからねぇが、サンドリアスに力を与え続けていたディー・ア・マッドが消滅した。

アイツはそう言っていた。


だからなのか、あれほど脅威的だった奴の威圧感も膨大な魔力も、信じらんねぇくらいしぼんでしまっていまや見る影もない。


見るからに、明らかにオレらにとって好転している状況ではあったが、肝心なオレらも半壊状態だったんで、恐らく共倒れが関の山だろう。


でも、あんなとんでもなく邪悪な存在が世に出ることが防がれたわけだ。

それはそれで良かったじゃねぇか。

上等どころか極上と言ってもいいんじゃねぇのか。


オレらもあながち完全な無駄死にじゃねぇって思いたいわな。


せめてユミィ。

お前だけは無事に逃げてくれ。


そんなことを思いながら、

オレは再び目を閉じた―――――




ズガァァァン!!!


ボシュウウウウウウ!!!!!


「ギィヤァァァァァァッッッッッッ!!!!!」




―――――!!??


まずは、天井からのとんでもない破壊音。

次に、生き物が生きたまま焼けただれる燃焼音と()だるような高音。

そして、凄まじいサンドリアスの苦しみに満ちた絶叫………………!


オレはすぐさま目を開けて、轟音のした方向に目を向けた。


魔王サンドリアスが、とんでもない炎に焼かれて苦しそうにもがき、叫んでいた。


「グァァァァァッッッッッッ!!!!!」


燃える、焼かれる……ってレベルじゃねぇ。

こいつは爆発としか言いようがない…………!!


自分でも説明出来ない()()を感じてユミィに逃げるように叫んだが、それがまさに、"これ"が"何か"だったんだろう!!




「……これは!!

真紅の獄炎(クリムゾン・フレア)】……だと??」




聞きなれた声に、思わず涙が出そうになった。


「おいっ!クリストフさん!!

無事だったんかよっっっ!!!!」


真っ二つで倒れていたはずのクリストフさんが、ちゃんとしっかりきっかり元通りにくっついて、なぜかマントや礼服も元通りで凛と立っていた。


そして、足元にはポーションの空き瓶が落ちている。


「フハハ……! 先ほどの天使からのダメージは

ナーシュが()んでくれた闇精霊(シェード)からの回復で

なんとか事足りたからな。

万一を考えてブラッドポーションを

ステイしておったのだ。

しかし今回は流石にヤバいと思ってな。

意識が戻ったところでブラッドポーションを

服用させて頂いたって訳だ。」


そう言ってクリストフさんがマントを(ひるがえ)す。


「…………むおお????

力を奪われすぎてしまったのか????

わ、私の吸血鬼(ヴァンパイア)の権限が、

子爵級から最下位の男爵級まで

降格しておるだと??????」


スカしたかと思ったら急に慌てだしてやがる。

まったく忙しい吸血鬼サマだぜ。

そもそも子爵だって男爵の1個上の爵位で、下から2番目じゃねーかw


しかしすぐさま落ち着きを取り戻した男爵サマ(笑)が、別方向に大声を上げた。


「レイト!! ナーシュ!! しっかりしろ!!!

最後の力を振り絞って聖宝珠を拾え!!

拾ってそれぞれのメダルに宝珠の魔力を通せ!!

何が起こるかわからんが、世界樹はエルフ達の

(すべ)ての(みなもと)だ!!

奇跡を起こすならそれしかないのだ!!!!」


「!!!!」

「わ、かったわっっ!!!」


その声を受けたレイトとナーシュが最後の力を振り絞って立ち上がり、レイトが残った左腕で大事そうに近くまで転がってきていた聖宝珠を拾い上げる。


そして、お互いの胸元に輝くそれぞれのメダリオンに重ね合わせた――――――




――――――――――!!!!




すると、宝珠から赤白い光が立ちのぼり、みるみるうちに人の形を取りはじめる。


輝かんばかりの霊力がオレにすら感じられるほどの圧倒的存在感。


透き通るような真っ白い肌に、燃えるように真紅の髪。


白銀色の鎧に身をまとい、右手には豪華絢爛(ごうかけんらん)な宝剣を(たずさ)えている。


その瞳は真っ直ぐそして凛々しい。

長い耳を見るとエルフなんだろう。

男のオレが言うのも何だが、息をするのも忘れるくらいの美しい美青年だった。




『私は、エルフ(アールヴ)達の守護神、【フレイ】なり。

私が愛してやまないエルフ(アールヴ)達よ、立つがいい。

(すべ)てのエルフ(アールヴ)に祝福と栄光あれ。』




美丈夫のフレイ神の凛とした声。

そしてあふれんばかりの霊力に満ちた光に包まれるレイトとナーシュ。


もうそこには満身創痍な2人はいなかった。


力強く、気力霊力体力に満ち満ちた、立派なウッドエルフの美女とダークエルフの美青年が立っていた。


『今代の女王と大神官よ。

案ずるな。恐れるな。私はいつでも共にある。』


(おごそ)かにそう述べると、フレイ神は煙のように聖宝珠に吸い込まれていった。




一瞬、夢だったのか?と思った次の瞬間、ナーシュが両手をかざして大声で叫んだ。




「召喚っっ!! 来いッ!権天使(プリンシパリティ)!!!!」




大神官としてフレイ神に認められ、精霊術師(サモナー)としての格が上がったナーシュは、恐らく召喚出来る精霊も増えたんだろう。


しかしまさか、さっきまで死闘を繰り広げた権天使(プリンシパリティ)まで召喚出来るとはさすがにびっくりした。


いや、さっきの天使とはまったくの別個体ってのはわかってるんだけどよ……。


そして()びだされた天使 (やっぱり服装とか装備とか色とかが微妙に違った)が高らかに錫杖を振りかざす。


『【ヒールフェザー】』


天空から降り(そそ)ぐあたたかい光を浴びて、オレたちの傷がみるみるうちにふさがっていく。


「ありがてぇ!!!」


オレはすぐさま立ち上がり、いまだに猛火に焼かれて苦しんでいる魔王を見据える。


神頼みってのも、たまにはしてみるもんだな。


「ようしお前らァァ!!

一気にたたみかけるぞっ!!!!」


オレはたかぶる気持ちを抑えつつ大声でメンバーに呼びかけると、両手剣(ツヴァイハンダー)を構えて床を蹴った。

なんと。

実は幕間②のセシル&アリサの戦いは

この1章最終決戦に繋がっていたという感じでした。


(2026/04/25)

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