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人間と偽って暮らすトラウマ持ちの魔女、番の竜人に拐われましたがそれなりに幸せです  作者: 立花 みどり
第一章

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運命の番と番


「リゼ様、改めましてピナと申します!」


 セドリックがいなくなるとピナは改めてリゼに挨拶をした。ちなみにレインは部屋の外で待機している。


「よろしくお願いします」

「ああ…!かわいい……ッ!リゼ様、どうか私に敬語を使わないでください」

 

 少しテンションがおかしい。


「えと、じゃあ、よろしくね?」


 リゼが返事をしただけでピナは胸を押さえて膝から崩れ落ちた。大丈夫だろうか。

 

 ピナは何回か深呼吸すると立ち上がり、何事もなかったかのように静かに朝食を用意し始めた。セドリックから渡された『毒を検知する魔道具』をリゼの目の前でかざして、食事の安全を確認する。

 全て確認したのちにリゼの前に並べられる。今日は焼きたてのパンの日のようだ。


 食べている間にピナが軽く説明する。


「私もレインも、リゼ様の願いを叶えるように言われています。なんでもおっしゃってください。この宮から連れ出すことはできませんが、それ以外ならなんでも叶えて見せます」


 フン、と息巻く姿が微笑ましい。


「じゃあ紙とペンを用意してほしいんだけど」

「お安いご用です!」


 「少々お待ちください」と言って勢いよくピネは出て行った。ピネを見送ると、静かにレインが入ってくる。


「ピネは元気だね」

「あの子は種族オタクといいますか。竜人以外を見ると興奮してしまうんです。竜人と竜人の間に生まれ、竜人に仕えているものですから。幼馴染として、そして同僚として代わりに謝罪します」


 レインは気まずそうに頭を下げる。


「謝ることじゃないよ。レインとピネは幼馴染なんだね」

「ピネの家も私の家も、どちらも古くから王家に仕えているので昔から交流があります。……それに、私の番はピネの兄ですから」

「あら」

「番についてもしも分からないことや不安になることがあれば私かピネに聞いてください。特にピネはセドリック様と同じく生まれながらにして番が決まっていました」

「生まれながらにして番が決まっている人と、自分で番を決める人では違いがあるの?」


 レインの言い回しが気になり、リゼは尋ねる。


「そうですね。結構違うと思います。生まれながらにして番が決まっているタイプはなんと言っても番への愛情というか、尽くし方と言うか、……執着が強いです。

 セドリック様はうまく衝動を押さえている方だと思います。

 リゼ様が人間なので怖がらせないために執着しないよう気をつけているのだと思います。決して愛情がないわけではないです。セドリック様は厳しい方なので自分にも厳しいです。昔から理性的な方なので」

「そうなの」

「はい。あとは、番が決まっている竜人は力が強いことが多いです。単純にパワーであったり、ずば抜けて頭がよかったり、魔力が突出していたり。何が強いかはさまざまですが。

 なので王城や貴族に仕えているものは番が決まっているタイプが多いですね。まあ、痴情の揉め事を起こしにくいという理由もあるかとは思いますが」


 なるほど、そこら辺は魔族や魔女と変わりはないようだ。

 リゼにとっては馴染みのあるルール。


 実家の使用人も、運命の番を持つものが多かった。

 

 その後ぽつぽつと会話をしながら朝食を食べた。ちょうど食べ終わる頃、上質な紙とペンを持ってピネが帰ってきた。


 朝食を食べ終えるとリゼは二人に頼んで一人にしてもらう。一人といっても隣室には片付けをしているピネがいるし、扉の前にはレインが立っている。

 

「引っ越したことは家族に知らせておかないと」


 二人の目が届かないうちに、実家に連絡を入れる準備をする。

 会いにくることはないとはいえ、一応家族には引っ越すたびに居場所を伝えている。


 今回は、番が見つかったことは伝えるべきかな……。イアンとアレンが大騒ぎして乗り込んできそう……。まずはお母様にだけ伝えたいけど、それは難しいよね……。


 過保護な家族のことだ。手紙が届けばみんな揃った場所で読むに違いない。


 居場所を伝えればどうしてフレド王国に住むんだと聞かれる気がする。初めて人間の国を出たのだし。聞かれた時になんと答えるべきか。適当なものを持ち合わせていない。


 少しだけ悩んで、リゼは正直にそして極めて手短に書くことに決めた。


 『引っ越しました。竜人の国にいます。急に引っ越すことになってしまったので、暇な時に以前の家の荷物を回収してもらえると助かります。


 元気だし無事です。追手の気配はないです。イアンとアレンは来ないように。また落ち着いたら連絡します。みんな元気にお過ごしください。愛してます。 リゼ』


 我ながらいかにも「これ以上聞くな」という意思が滲み出ていて笑ってしまう。

 次の返信は長文が来そうだな……。

 リゼは書き終えて小さく息を吐いた。

 

 別の紙に慣れた手つきで魔法陣を書き、魔力を流すと手紙は消えていった。魔法陣を通してリゼの家族の元へ送られた。


 家族には番のことは伏せることにした。


 番が見つかりました、なんて言えばイアンとアレンはもちろん、両親だって飛んでくるに違いない。リゼはまだ自分の素性をセドリックに明らかにしていない。

 まずはもう少しセドリックと時間を過ごしたい。それから自分の口で種族や家族、……そして、いつかジョエルのことも伝えたいと思った。


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