仕事にあぶれる人たち
仕事を辞めて、休業手当が出るまでの間、単発バイトをして過ごしていた頃。
単発バイトは、試験官、イベントでのサンプリングなど、1日限りで時給もいい。
次々と仕事を紹介されるため、時給の安いもの、遠方であるものは断っていた。
遠方ではあるが、高額時給の選挙の票読みバイトをした時だった。
私は、市外の体育館の投票所に派遣された。
派遣されたのは8名ほど、簡単な票読み作業の説明も理解できず、的外れな質問をする者がいた。
選挙の集計は、県内の至る所で行われるため、通常より多くのバイトが必要となる。
そのため、普段は声のかかりにくい者に声が掛かることが伺えた。
バイトが終わり、電車に乗る。
遅い時間、電車の本数が少なく、バイトに参加した者たちと同じ電車になった。
私は、1人の女性と共に座った。
「こういうバイトは長いんですか?」
私は、単発バイトを始めて、1ヶ月にも満たないため、様子を知りたかった。
「登録はずっと前にしてるけど、ほとんど紹介がありません。」
私は、驚いた。
単発バイトは、人材不足で、仕事が溢れていると思っていたからだ。
ふと目を落とすと、彼女の靴のつま先は、破れかけていた。
着ている服も、生地の痛みを感じる。
試験官の単発バイトは、スーツ着用が必須である。
他の単発バイトも対顧客の場合が多いため、それなりの格好が難しい彼女に仕事の話が来ないのだろうか。
いつも一緒になる単発バイトの人たちは、たまに働きたい主婦であったり、正社員で働きながら、時間に余裕がある時に働く者が多かった。
しかし今回は、簡単な指示も理解できない、継続雇用が難しいと思われる者が数人含まれていた。
単発バイトで、贅沢がしたいと思う人がいる一方、たまに声のかかる単発バイトが、命綱となっている人がいる。
単発バイトであっても、誰もがありつけるわけではない、選別は免れない。




