這い上がれない
単発バイトに参加していたその女性は、一人暮らし、普段はスーパーでパート勤め、フルタイムで働きたいと願っているが、社会保険がかからない程度でしか、働かせてもらえないという。
スーパーの短時間バイトでは、ひと月10万にも満たない。
「フルの仕事を探さないんですか?」
「中卒だから、どこも雇ってくれないんです。」
「だったら、職業訓練を受けて、何か資格を取るとか?」
「仕事しないと暮らしていけないから、職業訓練とか受けるのも難しいかな。」
彼女には、頼れる親もいなかった。
家族に頼ることも出来ず、生きるだけで精一杯、わずかな収入がまさに命綱。
状況を改善するために学ぶ余裕もない。
彼女は、この先もお金の不安を抱えながら生きていくのだろうか。
ペットボトル1本の贅沢も許されない生活を死ぬまで送るのだろうか。
世の中には、簡単に福祉の恩恵を受けようとする者がいるのに、彼女はそれを選ばない。
彼女は自分が、そこまで困窮していないと思っている。
私は、簡単に仕事を辞めることができる。
少しは貯金に回せるほどの給料をもらえる立場にあるからだ。
贅沢を言わなければ、正社員での仕事がいくらでもある。
収入が無くなる不安はない。
それが叶わない立場の人がいることは、ショックだった。
生まれた環境で高校に進学できず、贅沢を知らないまま人生を終えるかもしれない彼女に、這い上がる機会はあるのだろうか。
神様がいるなら、日々の生活に追われ、自分の力でなんとか生きている彼女に、安易にブラックバイトに手を出さない彼女に、チャンスを与えて欲しい。




