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生きづらいあなたへ  作者: こたつむ


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11/18

学力があるということ

 彼女が、息子の中学受験を決めたのは、我が子のいじめに苦しんだママ友の助言であった。


「今は、辛い思いをしていないかもしれないけど、これから中学に上がって、耳が悪いことでいじめのターゲットになるかもしれない。

 中学受験で入る学校は、家庭的にも落ち着いた子が多く、そういった心配が少ない。」


 しかし、彼女に中学受験をさせる財力はない。

 高校も卒業していない彼女は派遣として働き、賃金も低い。

 それでも彼女は、子供の可能性を広げるため、中学受験を決めた。

 自分にお金は使わず、生活を切り詰める。

 早朝のバイトも始めた。

 毎晩、子供の勉強に付き添い、習熟度を確認し、足りない部分を補う。

 そして、中学受験に成功した。

 受験して入学した中学校では、成績が貼り出されるため、学力の高い彼を馬鹿にする者などいなかった。

 もちろん、耳が悪いからと馬鹿にする者はいない。

 学力があるということで、周りに認められ、下に見るものはいなくなった。

 良い友達にも恵まれた。


 同じ小学校に通っていた父兄は、彼女の息子が地元の中学にいないため、ろう学校の中等部に進んだと思っていた。

 耳が悪いイコール、学力が低いと思い込んでいる。

 子供の大学を聞かれ答えると、耳が悪い子以外にも子供がいると思われるそうだ。

 

 彼女の息子は、学を身につけることで、周りから認められた。

 そして彼女も、それまで味わっていた下に見られることから、解放された。


 たまたま、彼女の息子は勉強に向いていたが、勉強でなくても、人より秀でたものを持つことで、自分に自信が持て、周りにも認められる。

 それは、障害の有無に関わらない。


 しかし、彼女には、息子の可能性を信じさせてくれた人、息子のために助言してくれた人がいたから、息子を下に見られない人間に育てることができた。

 そうでなければ、埋もれていたかもしれない。

 私自信、彼女の話を聞くことはできても、彼女を変えるほどの助言はできなかった。

 そういった『きっかけ』が、様々な人にあればと願う。

 

 

 

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