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時還のシャーナ (じかんのシャーナ)  作者: 青葉 星


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12/15

異空の棘

父が危険を察知した瞬間。

区域内に大きなサイレンが鳴り始めた。

サイレンの合図は結界のすぐ近くで異形獣が出た知らせだ。

戦える能力の持ち主は率先して戦闘にいく。


「行ってくる」

薙が躊躇なくいう。

「私も行く!」

「お前はここで待ってろ。何かあってからでは遅い」

「それはお兄ちゃんもじゃん!それにお兄ちゃんの能力じゃ……」

そこまで言いかけた時蒼星は我に帰った。

お兄ちゃんを傷つけたかも。

蒼星が落ち込んでると薙は優しく頭を撫でた。


「気にしてない。俺はこの能力を使って逃げ遅れた人がいないか見てくるだけだ」


「ごめん。でもやっぱり私も行く!お兄ちゃんに何あったら私が助ける」


蒼星の目に迷いはなかった。


「無茶だけはすんなよ。あと絶対俺より前には出るな」


「わかった」


蒼星と薙は結界まで走って向かった。



結界から出たその時。

ガサッ……

「っ!!」

草むらが揺れる。


飛び出してきたのは、小型の異形獣。

犬ほどの大きさが3匹。

だが——

その姿は、明らかに異常だった。

歪んだ骨格。裂けた皮膚。濁った目。

「ギギッーーーー!!!!!」

(……これが、モンスター化)

“哺乳類が怪物になる現象”。

ニュースで聞いた言葉が、現実として目の前にある。

薙が前に出る。

でも——

「……私がやる」

蒼星は一歩踏み出した。

(もう、分かってる)

(私は戦える)

手を前に出す。

空間が歪む。

(ここから——)

異空間が開く。

その中で、重力を圧縮する。

(細く、鋭く)

「——そこ」

バシュッ!!

棘が射出される。

命中。

「ギッ!!」

だが——

小さい分、速い。

こちらに向かって突進してくる。

(速い……!)

すぐに次の空間を展開。

次の瞬間異形獣が飛んだ。

蒼星に向かって異様に長く太い爪をむけて振りかざしてくる。


蒼星は咄嗟に展開した空間に異形獣を閉じ込めた。


「え…!」


(消えた…!違う。異空間に閉じ込めた!?)


「蒼星!!!!」

薙の声で我に帰る。


残り2匹が後退りした瞬間、うめき声を上げながら猛突進してきた。


すぐ異空間を開く。

進行先に——

ズンッ!!

地面から棘。

直撃。

「今——」

(いける)

複数の裂け目。

一斉に棘を放つ。

バシュッ!!バシュッ!!

急所を、正確に貫く。

「……ッ」

動きが止まり、崩れる。

静寂。


「……完全に戦えるな」

薙が呟く。

「前より、明らかに」

「……うん」

(慣れてきてる)

(あとは…)

(私にはわかる。今私の空間に異形獣がいる。さっき閉じ込めた獣だ)


「蒼星?大丈夫か?」

「うん…まだ、私も良くわかってないけど…。この空間って入ることができるのかも」


蒼星は静かに目を瞑ってさっき作った空間に意識を繋げる。


そこには確かに異形獣がいた。

"「ぎぎぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁ!!」"


怒ってるのだろうか。怖いのだろうか。

凄まじい声が聞こえる。


蒼星は異空間の中に"棘"を作り出した。


「ドシュ!!!!」

異形獣の心臓を確実に貫いた。

蒼星は何も言わなかった。

でも足は震えていた。


「無理すんなよ」

薙の声。


「うん。」

小さく答える。

空を見上げる。

昼の空。

(昼でも出る)

(夜は弱る)

(でも、いなくなるわけじゃない)

この世界のルールが、少しずつ見えてきた。

そして——

(ミオ……)

胸の奥に残る存在。

(もし、モンスター化してるなら)

(私は——)

答えは、まだ出ない。

ただ一つだけ。

(逃げない)

それだけは、はっきりしていた。

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