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時還のシャーナ (じかんのシャーナ)  作者: 青葉 星


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10/15

再会


蒼星たちは結界の中へ入る。

中に入った瞬間空気が変わる。

一歩踏み込んだ瞬間――

音が戻る。

人の声。

泣き声。

ざわめき。

「……人、いっぱい……」

少しだけ、安心する。

父が言う。

「空いている場所を探そう」

その時――

「……蒼星!!!」

聞き慣れた声。

でも、少し息が荒い。

(……この声)

ゆっくり振り返る。

人混みの中。

驚いた様な安堵した様な今にも泣きそうな顔の男性が立っていた。

「……お兄ちゃん?」

一気に駆けてくる。

速い。

人を避けながら、一瞬で距離を詰める。

(速っ……)

「無事だったのか……!」

肩を強く掴まれる。

「……うん」

「探したんだぞ……!」

息が荒い。

額に汗が滲んでいる。

「避難所、何ヶ所も回って……全然見つからなくて……家に行っても誰もいなくて。父さんも母さんも無事でよかった…」

母が目を潤ませる。

なぎも無事で……よかった……」

父も小さく息を吐く。

「……これで全員だな」

(……そっか)

(みんな、揃った)

胸の奥が、じんわり温かくなる。

兄が少しだけ照れたように笑う。

「まあ……ちょっとだけ足速くなってさ」

「それで探し回ってた」

「能力……?」

蒼星が聞く。

「たぶんな」

軽く肩をすくめる。

「地味だけどな」

「そんなことない」

すぐに言葉が出る。

「ちゃんと見つけてくれたし」

兄は一瞬だけ驚いて――

「……そっか」

少しだけ照れたように頭をかく。

「正直、役に立つか分かんなかったけどな」

「でも、探すのは楽だった」

(ずっと走り回ってたんだ……)

蒼星は少しだけ胸が熱くなる。

「ありがとう」

小さく言うと、兄は少しだけ視線を逸らした。

「家族だからな」

ぶっきらぼうな言い方。

でも――

(ちゃんと、来てくれた)

その事実が、すごく嬉しい。

父が周囲を見ながら口を開く。

「……ここも安全とは限らないが、ひとまずは落ち着けるだろう」

母も小さく頷く。

「そうね……少し休みましょう」

その言葉に、張り詰めていた空気が少しだけ緩む。

蒼星は、ふっと息を吐いた。

(疲れた……)

その瞬間。

さっきの“違和感”が、また少しだけ戻ってくる。

頭が、ほんの少しだけ重い。

(……やっぱり、時間使ったせいかな)

でも、立っていられないほどじゃない。

(このくらいなら、大丈夫)

誰にも言わずに、心の中で処理する。


「蒼星、こっち来い」

父に呼ばれる。

「うん」

蒼星は小さく頷いて、家族の方へ歩いていく。

避難所のざわめきの中で。

やっと、日常の“形”に少しだけ戻る。

でも――

あの獣。

この力。

(これから、どうなるんだろ)

誰にも分からない未来が、

静かに、動き始めていた。

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