1-15 別れ(sideレイミリア)
面会だ。
そう言って連れてこられた面会室。
善意にまみれたバカな友達か、性格の悪い友達が嘲笑いにきたんだろうと思ったのに。
そこにいたのはエリィだった。
「……何しに来たのよ」
イライラしながら椅子に座り、じろりとエリィを睨む。
それなのに、エリィは意に介さないなんとも言えない様子で私を見ていた。
そして、おもむろに口を開いた。
「ちょっと話したくてさ」
「私は別に話すことなんてないけど」
「まぁ……私もそうなんだけどさ」
「はぁ?」
意味がわからない。
冷やかしだろうか。
まぁ、私の不幸をみるのなら、完璧な場所だろうけど。
やれやれとエリィを見ると、エリィは思ったより真剣な顔をしていた。
「……私もルヴァイも死ぬところだったわ」
「……………」
別に殺すつもりなんて無かった。
傷つくところを見たかっただけだった。
まぁでも、死ねばよかったじゃん、と思う。
思うけど。
その言葉が、何故か口をついて出てこなかった。
そんな様子を見て予想がついたのか、エリィは理解したような顔をしてまた口を開いた。
「……わかってる。私を殺すつもりなんてなかったでしょ?あの火の玉じゃ人は死なないわ。もっと大きな火の玉を出せたのに、レミィはそれはしなかった」
「だから何よ」
「レミィが私を殺そうとしたわけじゃなかったって、ここの役人に伝えてきたわ」
だから刑はそこまで重くならないだろう、そう言いたいんだろうか。
情けをかけられたようで頭にきてジロリと睨む。
エリィは少し目を伏せて、それからまた私を真っ直ぐに見て口を開いた。
「でも、医者として、故意に誰かを傷つける行為をした事を、許すことはできない」
「……なによ、今更。もうこうして牢屋にいるんだから、改めて言わなくていいわよ」
再び惨めな思いをさせようとするエリィを睨む。
刑がそこまで重くなかったとしても。
外に出てからの生活を思い描くと、暗い気持ちにしかならない。
俯いてため息をつく。
不意に、エリィが立ち上がるガタリという音が聞こえた。
思わず見上げる。
「じゃあ、行くね」
「………そう」
「レミィ」
そう私の名前を読んだエリィは、なんだか諦めたように笑った。
「今まで友達として一緒にいてくれて、楽しかったよ」
その顔が、少し幼い頃のエリィと被る。
そう、あれは、高等学校の時だ。
革命家の娘だとイジメを受けて、ズタボロにされたノートを『中身は頭に入ってるからいらない』と、躊躇なくゴミ箱に捨てていたエリィ。
悔しがる貴族の男が捨て台詞を吐いて立ち去る背中を、エリィは諦めたような笑顔で見送っていた。
孤立していたエリィに恩を売っておけば、革命が成功した後も恩恵があるかもしれないと思った。
それから、いつも強いエリィの、その不幸な顔をまた見たいと思った。
優越感に浸りたかった。
そう、あの時、エリィに思わず声をかけたのは。
エリィの諦めたような笑顔が、寂しそうだったから、じゃない。
「……じゃあね、レミィ。さよなら」
エリィはそう言うと、あの時と同じ諦めたような寂しそうな顔で笑って、夕陽の差し込む窓際近くの扉から出ていった。
パタンという扉の音が、妙に頭に響いて聞こえた。
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一章はこれにて終了です!
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第二章はもっと大きく物語が動きます!
もちろん最終話まで執筆済みです。
ぜひまた見に来てください!




