響子の友人の奈弥・2
「澤村さんにそんなこと言ったの」
「心配入りませんよ。カトリックの修道女としてインドで貧しい虐げられた人々に救いを与えていたマザー・テレサを彼女は敬愛してるんです」
「最貧国ならまだしも今時そんな人がいたの」
「実際にニュースや新聞で知ってるでしょう」
「どこまでが真意なのか分からないから、見てないわよ」
「そうかなあ。丁度、澤村さんの友達が神奈川から遊びに来ている。彼女なら良く知ってる。奈弥ちゃんって云う子だ」
「なに奈弥ちゃんなの?」
「北穂高山荘にバイトに来ている女性で、北穂の奈弥ちゃんって呼んでいて、苗字は知らないんだ」
「その子がどうしたの」
「同じ山ガールとして友情を深めている。でもその子は俺の話を聞いても逆の反応をするばかりで、却って澤村に同情していたんだ」
「何て言って?」
「そんな木偶の坊なんか相手にしたら一生苦労する、ってかなり石塚には否定的な子だ」
「うちの弟を木偶の坊扱いするなんて、どんな子なんよッ。木偶の坊、木偶の坊って言うけど、あの宮沢賢治も賞賛してた」
雨ニモマケズニで、彼は最後にそういうものになりたいと締めくくっている。
「マザー・テレサを知らなくても宮沢賢治は知ってるんですか? 確か基督教を信義とする大学を出たのでしょう」
「それがいけないって言うの」
ものには解釈の違いがあってこそ、様々な個性が花開くと彼女は言ってる。
「そうは言いませんが、マザー・テレサは基督教の教えを布教する人で、沙苗さんの母校の信条に合致する人ですよ」
「白状すると知ってるけど、あの人は貧乏垂れてるのよ。それで無視続けているだけ」
華やかさがないと言ってる。




