義父の思惑3
今朝の散歩も義父は中々切り出せずにいた。いつもなら、うちの店の社員達と社長はいちいち指図しない「アレはどうなってる、こっちははかどってるか」で済ましていた。長年居る社員はそれで通じるが、来たばかりの娘婿の洋樹には何が聞きたいのか解らずに面喰らう。
散歩を始めて沙苗さんのアドバイスが効いて、義父も越村に色々と積極的に様子を聞くようになった。
霧山との接点が見つかると社長は、越村には会社の仕事より石塚に関する用を率先させた。今朝の散歩で霧山の様子が分かると今度は響子さんの話になった。
「式を挙げないのはどうなんだろう」
最初は何の気なしに聞いてるが、どうも息子は嫁に振り回されているんじゃないかと義父は思い始めている。
「それはないですよ。その逆でしょう。完全に石塚は、響子さんに惚れ抜いてますよ」
「だから云うんだ。今度の店に関しては裕司の思いつきとは考えられんが、どうなんだ」
ダルマのように一度座り込むとテコでも動かない石塚には、面倒くさくて響子さんの提案に乗っかかったのが正直なところだろう。
「石塚に主体性がないのは認めます。しかし常軌を逸する事は断じてありません。彼なりに思うところがあってやっているはずです。それが証拠に大口の注文を取って来てますよ」
これには社長も安堵した。
「そうか、今度一緒に見に行くか」
「石塚の店ですか?」
「いや、霧山さんの自宅だ。アポ取って都合を聞いてくれ」
翌日そのまま出勤して聞くと大概は家にいると判った。此の前はたまたま用もなくぶらりと出掛けただけだ。
報告を終えても何の連絡もなく、別所さんと出掛ける段になって、代わりに社長が助手席に乗り込んできた。
「予定が変わった。今日は私が行く」
エッ! そんなコロコロ変わるスケジュールではこの先が大変だ。




