義父の思惑2
越村にすれば、澤村さんのお陰かも知れないが、そうなのとズバリ聞かれて少し驚いた。
「沙苗さんはどうして弟に関心がないんですか」
越村にすればこっちに移ったのかと気になった。
「結婚して独立してやっていてれば、もう子供じゃないでしょう」
あたしの出る幕ではないとあっさり言われた。そんなものか、彼女も家庭を持てばそうなるのか。旅館に立て籠もった石塚を迎えに行く、あの颯爽として軽快に車を走らせていた彼女は、どこに消えたのかと不安がよぎる。
「じゃあ、なんで俺がやらされてるんだ」
「今では裕司に関してはあなたが一番頼りになるからよ」
両親が自由奔放と云う名の下に放棄したものを、何で俺があくせくして補填しなければならないのか。
「どうしてお義父さんは石塚の店にこだわっているんだ」
バカほど可愛いものよ、と云われてしまった。それって盲目の愛情表現じゃないですかと追及した。
「恋はすべてそう、だから上手く行ってるのよ」
「それって大学でシスターから習ったんですか」
「学校でなく弟とやり合って覚えたの」
「それって大学生の時に?」
当然、小学生の時は派手に痛めつけたけど、体力に差が付くとあの通りの口下手だからあたしが一方的に口でやり込めた。
「黙って視ていた父は、それを見習っているのよ」
「それじゃあ注意はしてたんだ」
「ううん、相変わらず黙って視ているだけ。でもね、あなたから弟は多少は感化されているってお父さんは気付いたのよ」
「学生時分はそれほど石塚の家には遊びに行ってないのに?」
「あなたが来てから、裕司に今までにない変化が見られたからなのよ」
余り面倒がらず、率先して遣り出したと聞くが、越村にすればそうは見えなかった。
「エッ、それまでは何もやらなかったのか」
厳密に云うとやらせなかっただけで、世間では放任主義と取られている。




