褒美
それから数日後、とあることが判明した。
宿にて休養を取っていた儂らは、冒険者ギルドに呼ばれたので向かうことに。
ちなみにオルトスはアンナに捕まってお留守番である……まあ、護衛にもなるしいいじゃろ。
中に入ると、儂らに視線が集まる。
「お、おい、奴らがスタンピードを防いだって」
「結構、危なかったって話だ」
「やるじゃん」
ふむ、概ね好意的な視線か。
たまたまだったが、アリア殿に取って良い方向に行ったか。
それより、スタンピードか……やはり、その前兆だったのだろう。
そのまま奥に通され、ギルドマスターの部屋に案内される。
すると、そこにはセドリック殿が待っていた。
「これは副ギルドマスターじゃったか」
「ふ、福ギルドマスター……」
「シグルド殿、アリア殿、お待ちしておりました。さあ、ソファーにおかけください」
ひとまず、恐縮するアリア殿と並んでソファーに座る。
すぐにお茶が出てきて、それを飲むと……セドリック殿が頭を下げた。
「申し訳ございません!」
「何を謝るのだ? スタンピードの予測は難く、別にお主の所為ではあるまい」
「そ、それは……」
「確かに目立つ依頼ばかりを優先したのは良くない。おそらく、付近の森の探索が疎かになっていたのだろう」
奴は北の大地から逃げてきて、あの辺りで群れを新たに作っていた。
それができたのも、妖魔の間引きを怠ったからだ。
そして無論、それを逃した儂らにも責任はある。
「仰る通りです。あなた方が発見してなかったら、もっと拡大していたでしょう」
「それはたまたまだから気にせんでくれ。それに、こちらも勝手なことをしてすまなかった」
「い、いえ! 感謝しかございません!」
「そう言ってくれると助かるわい。それで、儂らを呼んだのはそれだけかな?」
すると、セドリック殿の視線がアリア殿に向かう。
少し気まずそうにした後、咳払いをする。
「お呼びしたのは報酬の件です。まずは通常のお支払いより上乗せした金額と、貢献度によるポイントも入ります」
「それは有り難い」
「た、助かります」
「いえいえ……そしてシグルド殿は銅級に昇格いたします」
「それは嬉しいが……儂だけかのう?」
「はい……そうなります」
横目でアリア殿を見ると、落胆が隠しきれていない。
それもそのはずで、これで上がれば彼女の条件は満たされるのだ。
しかし……少し突っ込むとしよう。
「功績的には上がってもおかしくないと思うのだが?」
「……はい」
「何なら、儂の分の功績をあげても良い」
「シ、シグルド殿! もう良いですから!」
「……そうか。セドリック殿、無理を言ってすまんかった」
「いえ、こちらこそ申し訳ございません」
その後報酬を受け取り、ギルドを出て行く。
「シグルド殿は、これからどうするのですか?」
「そうじゃのう……目的のお金は手に入ったので旅支度をするか」
「あっ……そうなのですね」
「すまんな、力になってやりたいが」
「い、いえ! 私は私で、また頑張りますから」
そこで儂は買い物に行くと嘘を言いアリア殿と別れ……もう一度ギルド内に入る。
受付に紋章を見せると、再びセドリック殿の元に案内された。
ここからは冒険者ではなく、騎士として。
「シグルド殿、貴方はいったい? この紋章は国王陛下に認められた者にしか与えられないものです」
「なに、昔とった杵柄というやつじゃよ。儂は魔王討伐に参加していたのでな」
「なるほど……道理で、ランクの割に強いわけですね」
「それより、もう一度言おう……何故、アリア殿はランクが上がらないのだ?」
そもそも、色々おかしい。
アリア殿が避けられることも、ランクが上がらないことも。
それほど、スタンピードを未然に防いだ功績は大きいはず。
「これを出されては嘘はつけません。何より、我々を救ってくれた恩人に対して……これ以上、不義理はしたくない」
「では、話してくれるかな?」
「はい、全てお話いたします」
その後、説明を受けた儂は……憤怒する。
そして例え権力を行使してでも、其奴らを許さんと決意するのだった。




