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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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討伐

奥の広場に突入すると、オルトスが言った通りの光景が広がっていた。


ゴブリンが十数体、トロールが一体、真ん中に偉そうにしているゴブリンジェネラルが一体。


隊長は二メートルくらいでトロールより小さいが、引き締まった肉体と自信に満ち溢れてた顔をしている。


「ゴガァァァァ!?」


「気づいたか……さて、どう出る?」


気づかれずに突入はしたが、あえて後手に回る。

上位種は頭が回ることが多いが、個体差があるので予想が難しい。

故に一瞬だけ様子を見るが……予想通りか。

ジェネラルが目配せすると、トロールが檻に近づく。


「ひぃ!?」


「た、たすけてぇぇ!」


「そうくるか! アリア殿! 予定通りに!」


「はいっ——土の壁よ!」


既に魔法を溜めさせていたので、すぐに発動する。

すると土の壁が檻を包み込んだので、すぐには人質にはできまい。

何より、トロールが檻に行ったことで分断ができた。


「予定通りに行く! アリア殿はトロールを! 大丈夫、お主なら油断さえしなければ勝てる!」


「っ……はい! やってみます!」


その顔は決意に満ちていると同時に、冷静さを感じる。

これなら、どうにかなるか。

すると、オルトスが心配そうに見上げてくる。


「オルトスは雑魚を頼む。儂はボスを仕留める」


「ウォン?(アリアは一人で良いのか?)」


「ああ、アリア殿一人にやらせるが……いざという時は力を解放して良いから助けてやってくれい」


「ウォン(わかったのだ)」


シルバーウルフのふりをしているオルトスには制限をかけている。

本気を出したら、一瞬でバレるだろう。

しかし、アリア殿のためなら致しかない。

オルトスを見届け、儂はゆっくりと玉座に座るように居座るゴブリンジェネラルに近づく。


「さて……お主の相手は儂だ」


「ニンゲンメ……ワレノシモベヲタオシタノモキサマカ?」


「トロールならそうじゃよ」


「ユルサン! ワレノアラタナグンダンヲ!」


「その言い方……お主、北の大地から逃れてきたな?」


群れることがない妖魔が言う軍団とは、それは魔王軍を意味する。

瓦解した魔王軍の討伐は、倒れた儂に代わってユーリス達がやってくれた。

しかし、全てを殲滅できたわけではない。

故に、このような個体もいるのだろう。


「ナ、ナゼソノコトヲ……」


「知れたことよ。儂も、北の大地から来たのでな」


「マサカ……」


「お主らの軍勢を倒したうちの一人じゃよ」


「キ、キサマァァァァァ! コロスコロス——コロス!」


よし、上手く挑発出来たか。

これで、こいつの意識は儂に向けられた。

後は、儂が仕留めるたけじゃな。


「ふんっ、さっさとかかってこい」


「ァァァァ!」


素早い動きで大剣を振り下ろしてくる。

流石に受けきれないので、半歩ずらして躱す。

儂が避けた場所は空洞が出来ていた。


「流石はジェネラル、単純な膂力はあるのう。それに、速さも中々と」


「シネッ!」


「こっちのセリフじゃな!」


「グヌッ!?」


今度は剣を合わせ、受け流しつつも弾く!

相手の膂力が上でも、要は力の使い方次第だ。

相手の振り下ろしに、こちらの袈裟斬りを合わせれば造作もない。


「さてと、アリア殿は……」


「ふっ!」


「ブヘェ!?」


横目で見ると、回避に徹して隙をついてカウンターを決めていた。

トロールの体のあちこちから血が流れ、アリア殿には傷一つついてない。


「今のところは……むっ」


「ブヘェ!」


「あっ!?」


焦ったからか、トロールがなりふり構わず棍棒を振り回した。

それにより、アリア殿の態勢が崩れる。

当然、その隙を見逃すトロールではない。


「アリア殿!」


「ウォン!(行くよ!)」


儂とオルトスが動こうとすると、アリア殿が手で制する。

その目は焦っておらず、しゃがみこんだままトロールを待ち構えていた。


「平気です——くらえっ!」


「ァァァァ!?」


なんと、手に握り込んだ砂をトロールの顔にぶちまけたではないか。

相手は目に砂が入り、顔を両手を覆いのたうちまわる。

その隙に、アリア殿は態勢を立て直して——喉元に剣を突き立てた。


「ほほっ、やるわい」


「ドコヲミテイル!」


「おっと……では、こちらも仕上げに入るとしよう」


オルトスもどうやら、雑魚共を片付けた様子。

儂は腰を低くし、抜刀の構えを取る。


「シネェェ!」


「死ぬのは貴様だ——人に仇なす妖魔よ」


「ガァァァァァァァア!?」


剣が振り下ろされるより速く踏み込み、抜刀斬りにて一太刀入れる。

胴体と下半身が分かれ、ジェネラルが地に伏せた。


「ジェネラルだとこんなものか」


「す、すごい……どう見ても、私では勝てなかった」


「ほほっ、お主ならすぐに倒せるようになる」


ゴブリンジェネラルは冒険者ランクに例えると鋼級程度だったか。

確かに危険だが……キングよりはマシじゃわい。

アレは災害クラスじゃからのう。


「はい、いつか必ず」


「ほほっ、楽しみじゃわい。さてと、では女性陣は任せるとしよう」


アリア殿に任せ、儂とオルトスで妖魔の処理をする。

それらが終わる頃、冒険者ギルドから人が派遣されてきた。

後の事故処理は任せ、疲れ切った儂らは村へと帰還するのだった。

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