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若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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潜入

確信がない予感は頭の隅におき、まずは急いで向かう。


しかし、やはり……アリア殿にはきついようじゃ。


依頼を終えたと思ったら休むことなく移動なので無理もない。


「はぁ……はぁ……」


「休むかのう?」


「い、いえ、ことは一刻を争います。なんなら、私を置いて行っても構いません」


「それはそれで危険度が増すのう。トロールの居場所がわからない以上、二次被害になったら目も当てられん」


確かにトロールを倒すだけなら、儂とオルトスだけで行っても良いかも知れん。

しかし、事は単純ではなさそうじゃ。

儂は自分を最強などと思っていないので、アリア殿の力も必要だと思っている。


「ですが、このままでは足手纏いに……」


「ふむ……アリア殿が嫌でなければ、背負っても良いか?」


「えっ? い、いや、それは流石に……嫌ではないですが」


「では決まりじゃな……失礼する」


時間が惜しいので、儂はさっと近づきアリア殿を抱きかかえる。

すると、羽のように軽い。

同時に、女性を抱きかかえるのはユリア様以来だと思った。


「ひぁ!?」


「すまんな、なるべく触れないようにしたいが……」


「お、お姫様抱っこ? えっ? うそっ?」


何やら顔を両手で隠してブツブツ言っておる。

やはり、ジジイに抱き抱えられるのは嫌かのう。

しかし、今は我慢してもらわねば。


「すぐに着くので我慢してくれい。オルトスよ、全力で走って良い」


「ウォン?(良いの?)」


「ああ、隠す必要はない。先に行って、トロールの匂いを探してくれい」


「ウォン!(わかったのだ!)」


すると、オルトスの走るスピードがグングン上がっていく。

そして、あっという間に視界から消え去った。


「やれやれ、どうやら相当ストレスを溜めていたようじゃな」


「……あの速さは? 私の知るシルバーウルフじゃない? あれでは、伝説のフェンリルのようだ」


「ほほっ、たまたま足が速いだけじゃよ。では、我々も急ぐとしよう」


足に力を入れ、全速力で駆け出す。

老いても走れるように鍛えた走り方、そして今の若い身体。

それらが合わさり、自分でも驚くようなスピードが出た。


「は、速い!?」


「うむ、思ったより出るか。オルトスよ! スピード上げないと追いついてしまうぞ!」


「ウォン!(負けないのだ〜!)」


そうして儂らは、草原を駆け抜ける。

そして走る事、15分程度で指定の場所付近に到着した。

流石にオルトスの方が速く、視界には既にいない。

まずはアリア殿を下ろし、森を見渡す。


「あ、ありがとうございました」


「気にせんで良い。こちらこそ、嫁入り前の娘を抱きかかえてすまんかった」


「い、いえ……えっと、オルトス君は?」


「感覚的はそんなに離れてないはず……こっちじゃ」


魔力のパスを追い、森に入る。

そして数分で、オルトスを発見した。


「ウォン!(勝ったのだ!)」


「うむ、流石は我が相棒じゃな。して、トロールは?」


「ウォン!(見つけたのだ!)」


「良くやった。では、案内してくれい」


休む間も無く、そのまま移動を開始する。

抱き抱えたことによりアリア殿も回復し、森を進んでいく。

その際に儂が先に立ち、邪魔な木や草などを除去していった。


「何から何まですみません……」


「今は一緒にパーティーを組む者、そんなに謝らんで良い。これも、適材適所というやつじゃよ」


「そうなのですね……パーティーを組んだ経験がないもので」


「それも貴族だからかのう?」


「はい、すぐにバレてしまいました。それ以降、あのように避けられるように。もしくは、変な輩が近づいたり……やはり、冒険者になる貴族の女性は珍しいでしょうか?」


「……ふむ、確かに珍しくはある」


しかし、儂の勘がそれだけじゃないと告げておる。

確かに見た目や所作が美しいので、近寄り難くはあるとは思うが。

……さて、後で一仕事するか。


「ウォン……(近いのだ……)」


「では、ここからはより慎重に。アリア殿、巣が近いようだ」


「わ、わかりました」


そこからは草木を分けることなく、ただ静かに進んでいく。

そして数分後……大きな洞窟を発見した。

その前には、ゴブリン達がたむろしてる。


「ウォン(あそこで臭いが切れてるのだ)」


「そうなると、あそこが巣というわけか……確信じゃな」


「どういうことですか?」


「同じ妖魔と言えども、奴等は基本的には群れないのだ。ましてや、トロールとゴブリン達が手を組むなどあり得ない……おそらく、指揮官クラスがいるわい」


時間がないので、儂は手短に説明する。

妖魔の中には長生きすると特殊個体が生まれ、その個体は他の妖魔を従えると。

儂らが現役時代も、奴等には苦労した。


「そのような生態なのですね。では、どうしたら?」


「ボスを叩けば群は瓦解する。そして大きくなる前に叩くのが鉄則……捕まった女性のこともあるし、儂らでやろうかのう」


「……わかりました。指示はシグルド殿にお任せします」


「助かるわい」


敵の数がわからない以上、できるだけ消耗は避けたい。

つまりは、先手必勝というわけじゃ。


「オルトスは右、儂が左じゃ。アリア殿は、儂の後ろについて参れ」


「はい……!」


「ウォン(任せるのだ)」


二人が頷くのを確認し、木の陰から飛び出す。

すると、あくびをしていたゴブリン達が儂らに気づいた……が遅い。

既にオルトスと儂は肉薄していたので、一撃の元に仕留める。


「さて……気づかれておらんか?」


「ウォン(こっちに来る音や気配はないのだ)」


「よし、ではすぐに処理を行って突入する」


ゴブリンを草むらに放り投げたら、儂、アリア殿、オルトスの順番で洞窟に入る。

幸いにして朝も早く、所々から光が入ってくるので明かりの類はいらなそうじゃ。

それに戦うにしても、このタイミングは良い。


「……いませんね?」


「時間帯が良かったかも知れん。妖魔とは夜の生き物と言われ、朝方には動きが鈍るのじゃ」


「なるほど……私は知らないことばかりですね」


「なに、これから知っていけば良いのだ」


奥の方に行くと、流石にゴブリン達に出くわす。


「しっ……」


「ガルッ……!」


しかし、オルトスの方が気づくのが早いので声を出される前に仕留める。


「て、手際が良い……私の仕事はなさそうですね」


「何言うか。アリア殿は体力を温存して、この先にある戦いに参加してもらう。それに女性が捕まっているので、儂よりアリア殿の方が良いじゃろう」


「……確かにそうですね。すみません、気合い入れます」


そう言い、自分の頬を軽く叩く。

随分と自信を失ってしまっているようじゃが……儂の所為か。

慢心はいかんが、自信がないのも良くはない。

今後のためにも、自信をつけさせてやりたいものだ。


「まて、止まるんじゃ」


「ウォン……(いるのだ……)」


歩いてると、奥の方が次第に明るくなっていく。

おそらく、陽がよく入る広い場所に出るのだろう。

同時に、勘に触る声もしてきた。


「この先が巣の本体のようじゃな」


「い、いよいよですか……偵察とかは?」


「儂らがこれ以上近づいたら気づかれるか……オルトスよ、頼めるか?」


「ウォン(任せるのだ)」


オルトスが足音も気配もなく、前を歩いていく。

儂はオルトスの代わりに後ろを警戒しつつ、待つことにした。

すると、ものの数分でオルトスが戻ってくる。


「ウォン……!(主人……!)」


「何かあった? 要点をまとめて言うのじゃ」


「ウォン……(中は予想通り広い空間になっていて、そこにはゴブリン達がいて、トロールも一体いたのだ。そして、中央に一際目立つゴブリン……ゴブリンジェネラルがいたのだ)」


「やはり、上位種がいたか。これで、確定じゃのう。それで人質は?」


「ウォン(端の方に檻があって、そこに何人か閉じ込められているのだ)」


「よし、まだ生きている人がいるなら急がねば」


その後、素早く作戦を立てる。


準備ができた儂らは、奥の広場へと突入するのだった。

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