表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/122

奥さんの恋愛相談

近衛騎士棟――


レオン・グラディースの私室。


 


「もう嫌です」


 


開口一番だった。


 


レオンは書類から顔を上げる。


 


目の前には。


 


なぜか。


 


謹慎中の第一王女がいた。


 


「……」


 


沈黙。


 


「……」


 


さらに沈黙。


 


やがて。


 


レオンは額を押さえた。


 


「どうして貴方がここにいるんですか」


 


深いため息。

本日三回目だった。


 


ミレイユは胸を張る。


 


「大丈夫です

バレないように来ましたから」


 


「そこを聞いているのではありません」


 


即答だった。


 


ミレイユは気にしない。


 


全く気にしない。


 


慣れている。


 


「それより聞いてください」


 


嫌な予感がした。


 


レオンは知っている。


 


この顔は危険だ。


 


絶対に面倒事だ。


 


そして案の定だった。


 



 


十分後。


 


レオンは黙っていた。


 


ミレイユは喋っていた。


 


ずっと。


 


本当にずっと。


 


「ですからね、

突然婚約者らしく扱ってほしいと言い出して」


 


「婚約者なのですから当然では?」


 


「さらに私とレオン様が夫婦設定だからとか」


 


「夫婦設定ですからね」


 


「しかも何番目か聞かれたんですよ!?」


 


「婚約者ですからね」


 


「理不尽ではありませんか!?」


 


「理不尽ではないと思います」


 


即答だった。


 


ミレイユが固まる。


 


レオンは静かにお茶を飲んだ。


 


そして。


 


心底どうでも良さそうに言う。


 


「ルシアン様に好かれていて良かったですね」


 


沈黙。


 


ミレイユの頬が膨らむ。


 


むすーっ。


 


分かりやすかった。


 


「奥さんが」


 


不満そうな声。


 


「他の人に好かれていて、いい気持ちなんですか?」


 


レオンは少しだけ考えた。


 


そして。


 


当然みたいに答える。


 


「えぇ」


 


即答だった。


 


ミレイユが目を見開く。


 


「えぇ!?」


 


「それで奥さんが落ち着いてくれるなら私は助かります」


 


真顔だった。


 


ものすごく真顔だった。


 


ミレイユが固まる。


 


レオンは続けた。


 


「辺境公爵家嫡男から求婚され」


 


「婚約者から好かれ」


 


「王都では人気があり」


 


「何が不満なんですか」


 


「わたくしは息が詰まるんです!」


 


即答だった。


 


レオンは吹き出した。


 


珍しく。


 


本当に珍しく。


 


声を出して笑った。


 


ミレイユがさらに頬を膨らませる。


 


「笑わないでください」


 


「失礼しました」


 


全く反省していなかった。


 


レオンは肩を震わせる。


 


そして思う。


 


ルシアン・エヴァルド。


 


王国最高峰の頭脳。


 


未来の宰相。


 


心から同情する。


 


あの男は。


 


たぶん一生。


 


苦労する。


 


なぜなら。


 


目の前の王女は。


 


自分がどれほど好かれているのか。


 


本当に欠片も理解していないのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ