17.リザード狩り
遅くなりましたやっと1話完成です。(遅すぎ・・・・)
読んでいただいている皆様ありがとうございます。
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次の日、アインが目を覚ますとデミオが提案した。
デミオ「僕もレベル2になったので武器を替えることにしたよ」
「これからハンター協会に行かないかい?」
たしかに手持ち金が少なくなってきている。
デミオ「僕だけ換金するとおかしいからこれを一緒に換金してほしい」
と言ってスケルトンの頚骨を15個ずつ差し出した。
「僕も20個換金するつもりだから。お願い」
とにっこり笑っている。
アインとマイクは顔を見合わせ、デミオの提案に乗ることにした。
アイン「そうだね。僕もそろそろ狩に行きたいな」
デミオ「リザードがボーナスだよ」
マイクもうなずく。
リザードは水辺にいる魔獣である。
動きは早くないが、硬い鱗で覆われている。
鱗にはじかれないように、正確な打撃が必要だ。
アイン達がハンター協会につくとエマが迎えてくれる。
20個づつスケルトンの頚骨を渡す。
エマが驚いた顔をした。
1日で刈ったとは思えないが、数が多すぎる。
確か2日前にデミオが20個換金した。
合計80体だ。
約一ヶ月分近いスケルトンを1チームがほぼ刈りつくしたということになる。
しかしインチキをしているとは思えない。
例えば頚椎なら似たような骨があるから削ってそれっぽくする。
あるいは墓を荒らしてただの死体の頚椎を持ち込む手もある。
姑息な手段だが、エマには通用しない。
間違いなく本物のスケルトンの骨だ。
エマは銀貨2枚づつを手渡した。
デミオ「この前のアイアンハンマーの代金を払います」
エマがうなずいて階段を降りていく。
しばらくするとアイアンハンマーとハードレザーアーマーを持って現れた。
エマ 「これはあなたの改善提案を反映したものよ」
「試してみて」
「代金は銀貨 1枚」
デミオ「カスタマイズ料金が入ってませんよ」
エマがにっこり笑って
「改善提案と言ったわよ」
「新製品なのよ」
といって手渡す。
デミオがハードレザーアーマーを着込むと肩パッドが可動式に成っているのに気づく。
右の肩パッドは無いが代わりに肩の部分が補強されている。
アイアンハンマーを振ってみると、振り降ろしが楽にできる。
左手の柄尻が手に吸い付くようだ。
強い振りにも安心感を与えてくれた。
デミオ「すばらしい出来です。ありがとう」
デミオは何度も素振りを行っていた。
アインはデミオの素振りを見て。
以前の危うさを感じない。
確実に進歩していると感じた。
エマ「柄尻の皮ひもを左手に固定すると長時間の戦闘でも負担が減ると思うわ」
と言ってにっこり笑った。
ハンター協会を後にするとリザード狩りに出かけることにした。
水辺まで町から1日くらいだ。
本来貴重なオアシスだが、リザードに占拠されて現在は利用できない。
そのためハンター協会がリザード討伐すると言う構図だ。
マイク「リザードは久しぶりだね」
「リザードの肉は結構いけるんだ」
「食費も浮くし資金稼ぎにはうってつけさ」
アイン「マイクは料理も結構うまいんだよ」
と言ってデミオを見る。
デミオ「それは残念だ。僕には味はわからない」
アイン「うっ~!。すまない忘れてたよ」
「人間にとってはうまい料理は明日への活力なんだ」
「料理が上手って冒険者にとっては結構重要なんだよ」
デミオはうなずく。
アイン「そうそう。リザードの表皮は硬くて滑りやすい」
アインは話題を変えたいようだ。
「確実な打撃で無いと倒せないよ」
「牙と尻尾の攻撃に注意」
「そんなに強くはないけど油断できない」
「2~3日は滞在だからゆっくりやろう」
夕方にキャンプ地に到着した。
他にも2チームほどがここでキャンプしている。
アインの話ではここから水辺までいくらも無いらしい。
安全な場所でキャンプして朝になったら刈りに行くのがセオリーだと言うことだった。
他のチームはレベル2のチームとレベル3のチームだ。
レベル2のチームは魔法使い2名にファイター2名の4名
レベル3のチームはドワーフだけのチームだ。
マイク「ドワーフは閉鎖的で他の種族とチームを組みたがらない」
「独自の魔法文化を持っていて身体強化が得意なんだ」
「皆ファイターに見えるけど」
「意外と器用な人たちだよ」
デミオは遠くからドワーフのチームを眺める。
確かに皆同じような体格に見える。
がファイター3名、魔法使い1名のチームのようだ。
デミオ「4~5名のチームが多いようだけどどうしてだい」
アイン「連携と意思疎通の問題だね」
「最終的に4名位が動きやすい」
「洞窟などの閉鎖空間ならもっとわかりやすい」
デミオ「アインはなぜ2人だけだったんだい?」
「4人の方が有利だろう?」
アインはしばらく考え込んだがやがて決心したように話し始めた。
僕は世界を見て周りたい。
だから冒険者になるためにハンターをやっているんだ。
根本的に他のチームと目的が違う。
だからチーム員の条件は将来一緒に旅ができる人。
そして信頼できる人。
とはいってもそんな酔狂な人がいるわけなく半分諦めていたときに君が現れた。
つまり僕は君やマイクを利用しようとしている悪人なんだ。
マイクが背負い袋から肉の塊を取り出して焼いている。
マイク「アイン、そんなこと言ってはだめだよ」
「君が夢のために努力しているのは僕が一番知っている」
「少なくとも僕はアインと旅ができれば最高だと思っている」
「でも君のお父さんは許してくれないだろうね」
程よく焼けた肉をアインに差し出す。
アインはじっと考え込んでしまった。
翌朝、移動すると直ぐにオアシスが見えてきた。
水辺からリザードがこちらに顔を向けている。
見つからずに近づくのは無理のようだ。
デミオはおもむろにハンマーを振り下ろした。
見事にリザードの背にヒットする。
はずだが、滑って脇に激突した。
あわてて後ろに跳び退る。
今度は狙いを定めて振り下ろす。
ヒットだが、慎重すぎて威力がない。
何度かハンマーを振り降ろすとやっと倒した。
硬いだけでなく、滑りやすい。
結構厄介だ。
アインが声をかける。
「脇を締めてハンマーの重さを利用するんだ」
「肩に力が入りすぎだ」
アインは気合と共に剣を振り、次々と倒して行く。
マイクはアインの剣が今までより鋭いと感じていた。
たしかに以前も危なげなく倒していた敵だ。
しかし以前より余裕があるように見える。
デミオは最初こそ戸惑っていたが、慣れてくると次々と倒している。
こちらも心配は無いだろう。
が2人とも夢中なのかどんどん先に行ってしまう。
マイク「ちょっとまった。一回仕切りなおし。どこまで行くんだい?」
アインとデミオが振り返りずいぶん離れてしまったと認識した。
2人が笑いながら帰ってくる。
デミオ「慣れると結構面白くてやりすぎたよ」
夕刻近くになるとアイン達はキャンプ地に戻って来た。
実に100匹以上を仕留めている。
デミオがリザードを1匹担いでいる。
マイクがお祈りをささげて、すばやくリザードを解体した。
デミオ「マイクはクレリックだけど肉も食べるんだね」
マイクが驚いた顔をして
「クレリックだって肉くらい食べるし。捌くのもやるよ」
「クレリックは命に対する感謝を尊ぶのさ」
「肉を食べないで何を食べるんだい」
デミオはもっともだと思った。
マイクは付近から食べれる野草を摘んできてリザードのシチューを作る。
芳しい匂いがあたりに漂う。
匂いに誘われたのか1人の槍使いがやってきた。
キャンプ中のチーム員だ。
「やあ。おいしそうだね。僕にも分けてくれないかい?」
マイクがいっぱい有るからどうぞと言ってお椀によそう。
受け取るとどっかりと座って話し始めた。
「ずいぶんと派手にリザードを刈っていたね」
「明日は僕も混ぜてくれないかい?」
アイン「確かリシード君だったかな?君のチームはどうするんだい?」
リシード「ああ。だめだめ魔法使いは3匹もやるとマジック切れだし」
「あの剣使いは威勢がいいだけでてんで使い物にならない」
「僕が1人で狩っている様なものだよ」
アイン「なるほど。君のチームではレベルが上がらないから僕達のチームに入りたいと言うわけだね」
リシード「話が早いね。僕は結構強い。損はさせないよ」
アイン「僕にわかったことが1つあるよ。君のチームで一番使えないのは君だということさ」
「ハンターに向いてないから、さっさと辞めたらどうだい」
リシードがものすごい目つきになる。
「かっこ付けてるんじゃね~っ!親の七光り野郎が」
と言って椀を叩きつけると立ち去っていく。
アインは肩をすくめながら。
「親の七光りというのは認めるけど君に言われたくないね」と呟いた。
マイクがやれやれという顔で
「アイン、そんなにはっきり言ったら皆に嫌われるよ」
「僕も彼の態度にちょっと腹が立ったけどね」
アインが気を付けるといって笑った。
リシードが効率良くレベルアップしたいのはわかるが、彼はチームリーダだ。
彼は彼のチームに責任があるはずだ。
彼のようなやり口は賢いかもしれないがアインには許せなかった。
以前のキースの行動の方がずっと理解できる。
砂漠の夜がシンシンと更けていった。
次の日、リザード狩りを行うが、もう奥にしかいない。
アインもデミオも膝まで水に浸かっている。
水の抵抗で攻撃力がなくなり、リザードは水を得た魚のようだ。
しかしデミオは練習には最適だと思っていた。
正確ですばやい一撃を絶妙なタイミングで放つ。
うまくできたときは達成感がある。
水の抵抗で余計な動きができない。
最小限度で攻撃をかわす。
カウンターで、攻撃の出鼻をくじく。
かわす時も自分の重心を崩してはならない。
水面に叩きつけるのではなく水を切るつもりで攻撃。
アインは以前との違いを感じていた。
どうやら疲れにくくなっているようだ。
練気のおかげだろうか?
師匠からは特に技を習っていない。
相変らず錬気だけを練習してきた。
今では瞑想なしでも可能となっている。
戦闘の前に集中して錬気を開始。
戦闘になっても厳しい状況でなければ続けていられる。
自然と呼吸の乱れが少なくなり、動きにも無駄が無くなった。
信じられないほど調子がいい。
流石に膝まで水に浸かっていてはいつものように動けないが、危ないという気がしない。
とは言えそろそろ潮時だろう。
デミオに声をかけ狩を終了することにした。
予定より早いが町に帰ることにした。
ハンター協会でアイン達を出迎えたエマは困惑していた。
3人が持ち込んだリザードの牙は160体分だ。
僅か2日でこれだけの数をこなすとなるとレベル3に昇格させるしかない。
アイン達はレベル3の条件を満たしているが、本来レベル2からレベル3に昇格するには半年はかける。
なぜならレベル3以降はベテランハンターとみなし、今までと違う対応を行うからだ。
レベル2までにしっかりと基礎を磨いておきたい。
アインとマイクはレベル1の時期が長く既に1年以上ハンターをやっている。
しかしデミオは僅か2週間でレベル3になってしまうことになる。
いくらなんでも早すぎる。
エマはデミオにチャンスを与えることにした。
エマ「デミオ、レベルアップに関する情報を聞きたいなら銅貨5枚だけどどうする?」
デミオはレベルアップに興味は無かった。
しかしわざわざエマが話題を振ったということはなにかある。
デミオ「聞くことにするよ」
エマはにっこりとすると話し始めた。
レベル3になると色々な特典がある。
まず装備がバージョンアップされる。
ただし全部のバージョンアップはレベル3で最後。
レベル4になるときは1つだけ上級装備を選択できる。
マジックアイテムは無理だけど、通常の装備なら何でも選択できるわ。
鎧ならプレートメイルとかね。
新製品も場合によっては有よ。
次に宿が高級になる。
宿泊料が銅貨15枚になるけど、朝夕2食付で武器のメンテナンス無料。
個人用の金庫も装備される。
レベル5になれば、晴れてハンター卒業。
ただしレベル5になるには強さを証明しないとだめ。
レベルBのモンスターをハンティングできることが条件。
アインは既にクリア済みということになる。
デミオがレベル3になるには後2ヶ月はかかる。
との説明だった。
アインは説明を聞いてレベル3に昇格するのは、早計であると判断した。
じっくりと方針を考えるべきだ。
アイン「レベル4のときに選択できる装備の希望を出してもいいんですね」
エマ 「言うだけならどうぞ」
アイン「それなら鎧です。プレートアーマーより防御が落ちてもいいから軽いもの」
エマにひらめきがあった。
可能かもしれない。
エマ 「そうね考えておくけど高いかも知れないわ」
「皆、それがいいの?」
マイクとデミオがうなずく。
エマ 「それではアインとマイクはレベル3に昇格できるけどどうする?」
アイン「僕はデミオと同じ時でいいです」
マイクもうなずく。
エマがにっこり笑って
「あら。酔狂な人たちね。レベル3の宿は素敵だし料理もおいしいのよ」
3人は夜の帳屋が気に入っているよと呟きながら出て行った。
エマは3人を見送りながらデミオは素直な子ねと思った。
エマは直ぐにいくつかの指示をする。
次の日エマは鍛冶屋のジドウに会いに行った。
エマ 「ジドウいるかしら?」
ジドウが奥からのっそりと出てくる。
エマ 「あなたの力を発揮してほしいの」
「金属以外でプレートメイル並みの鎧が作れない?」
ジドウの眉がつりあがる。
無茶を言いやがる。
そんな都合のいいやつができるわけ無い。
エマ 「重さはハードレザー並みまで軽減できるとうれしい」
ますます無理だ。
エマ 「素材をもってきたわ」と言って外の荷台を示す。
ジドウが覆いをはずすと目を見張った。
硬く口が閉ざされる。
眼光が鋭く光った。
やってみる価値はあるかもしれない。
ジドウ「言っておくがいくら掛かるかわからんぞ」
エマ 「好きなだけ使って頂戴」
職人の魂が震える。
ジドウは目の前の素材をじっと眺めて考え込んだ。




