↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

14.月夜の砂漠

今回はデミオの独壇場です

やられてばかりのデミオですが

ちょっとだけ強いデミオをお楽しみください

夜半に宿を出る3人の影がある。

上空には半月になった月が冷たく輝いていた。

昼間の喧騒と変わりひっそりと静けさが支配している。

カンデラの光で足元が照らされていて歩行には問題ない。

アイン「今日はあくまで様子見だ。絶対無理しないこと」

デミオとマイクがうなずく。


町の門は硬く閉ざされていた。

門番は暇そうに行ったり来たりしていた。

アイン達が近づくとこれは珍しいといった顔だ。

アイン「マルセーさん今晩は」

マルセー「どうしたんだいこんな夜中に」

アイン「ハンティングに行こうと思うので出してくれますか」

マルセー「そろそろゾンビ達も増える時期だよ」

    「危険だからお勧めしないね」

アイン「判ってますよ。気を付けます」

マルセー「帰りは門を3回叩くんだ」

    「こちらから1回返すから。2回叩け」

アインがうなずく。


町の外は月夜の砂漠だった。

マイクがカンデラを照らす。

デミオはかまわずどんどん先に進む。

デミオはとりあえず壁を一周するつもりだ。

半月とは言え月に照らされ辺りは明るい。

と感じているのはデミオだけだ。

マイクとアインは足元が良く見えずに移動に四苦八苦だった。

サボテンの影がまるで案山子のように見える。

今にもゾンビやスケルトンが出てきそうだ。


アイン「デミオもっとゆっくり」

デミオが振り返りアイン達が追いつくまで立ち止まる。

10歩くらいの間を空けて移動することにした。

ゴーグルは宿に置いてきた。

ゴーグルをかけてもデミオのナイトビジョンに影響は無い。

が昼と違い必要無いだろうからだ。

ようやく町の角を曲がると南側の壁にたどり着く。

デミオのナイトビジョンが数体のスケルトンを発見した。


デミオ「いた。5匹程度だと思う。ここで待っていて」

マイクはカンデラを掲げるが何も発見できない。

デミオはどんどん先に進んでいく。

やがて闇にまぎれて姿が見えなくなった。


デミオは恐る恐るスケルトンの一団に向かった。

どうやら見込みどおり5体だ。

スケルトン3体にゾンビが2体。

一番近いゾンビに近づく。

突然やな雰囲気になった。

恐怖のオーラだ。

しかしデミオは少し顔をしかめただけだ。

デミオは恐怖のオーラが自分の行動に影響しないと判断した。

魔界では性質が違うとは言え強大なオーラの元で生活していたのだ。

この程度では問題ない。


ハンマーを振り上げ一気に振り下ろす。

ゾンビの肉片が飛び散る。

左半身を失ったが、ゾンビはかまわず向かってくる。

直ぐにもう一度ハンマーを振り上げ今度は頭に直撃させた。

グシャ~。脳漿を飛び散らせてゾンビは崩れ落ちた。

次のスケルトンが向かってくる。

ハンマーを振り上げ頭を吹き飛ばした。

頭が無くなったが、そのまま向かってくる。

しかし動きが遅い。

かまわず上から叩きつける。

背骨とアバラがばらばらに散らばりスケルトンが崩れ落ちた。

デミオはこれなら行けそうだと感じた。

ハンマーの練習台に丁度いい。

正直動く相手の方が練習するにも張り合いがある。

その時地面からぬ~と手が出た。

むっう。増援だ。

ゾンビが地面から這い出てくる。

気づくといつの間にか回りのゾンビ達は7体になっていた。

際限なく出るとは思わないが結構厄介かもしれない。

背後も少し気をつけるべきだろう。


12~3体ほど倒したところでカンデラの光が射した。

デミオがカンデラの方に振り向く。

少しまぶしい。

3体のスケルトンがカンデラに気づいてカンデラの方に一斉に顔を向けた。

今までより早い速度でカンデラの方に向かっていく。

まさかマイクか?

後ろから追いかける形でスケルトンを倒す。

ふとデミオは何か重要なことを見逃している気がした。

なぜ自分と戦っていたスケルトンがマイクの方に移動したんだろう?

自分は悪魔で、マイク達は人間だ。

悪魔より人間を襲うのかもしれない。

だがデミオに一つのひらめきがあった。

デミオ「マイク来ちゃダメだ。カンデラを消すんだ。」


マイクはデミオが先に行ったが先を目を凝らしていた。

しかし何も見えない。

やがて遠くでハンマーが何かを砕く音が聞える。

がしゃ~。ぐしゃ~。バキバキ。

時折そのような音が静けさを増した砂漠に風に乗って聞えていた。

どうやらデミオがスケルトンやゾンビと戦っているようだ。

しかしもしかしたら怪我をしているかもしれない。

どれくらいの数がいるか判らないのだ。

デミオは5体くらいだと言っていた。

しかし5体にしては時間が掛かりすぎの気がする。

重傷をおったら自分のヒールで治すのは至難だ。

できれば軽い怪我で回復しなくては。


マイク「デミオが心配だもう少し見えるところまで行こう」

アインがうなずくのが気配で感じられた。

ゆっくり先に進む、聞き耳を立てて音のする方向を探る。

だんだん音が近づいてくる。

ようやくスケルトンが1体見えた。

デミオはここだろうか?

その時デミオの声が聞えた。

  「マイク来ちゃダメだ。カンデラを消すんだ。」

マイクは何を言っているのか判らない。

カンデラを消したら何も見えないではないか。

上空の月も壁で影になっている。

もしカンデラを消すと自分達はまったく動けない。

スケルトンがこちらに向かってくる。

  「早く消すんだ。僕を信じて」

アインがカンデラを消した。

辺りは完全な闇だ。

満天の星空が良く見える。

気配でアインがそばにいるのが感じられた。

そっとアインの後ろに隠れる。

アインが長剣をすらりと抜くのが感じられた。

しかしアインは1歩も動かない。

実はアインは動かなかったのではない。

動けなかっただけだった。

足元が不確かな状態で転んだら致命的だ。

それより動かずにじっと気配だけを探る。

なにか見えたら迷わず剣を振り下ろす。

そう決めていた。

デミオの息遣いが聞えてきた。

どうやら近くにいるようだ。

がしゃん。バキバキ。


デミオ「もう大丈夫だよ」

   「スケルトンもゾンビもいない」

   「ちょっと戦利品を拾ってくるからまっていて」

と言って立ち去っていった。

ちょっと言ったがかなりの時間がたった。

やがてデミオの足音が近づいてくる。


デミオは腰のロープを少し解くとアインに渡す。

   「ロープについてきて」

マイク「怪我は無いかい」

デミオ「ああ。問題ない」

   「東の壁まで戻ろう」

デミオがすたすたと移動する。

アイン達もやっと目が慣れてきた。

周りの様子が少し見える。

しかし足元は良く見えないので歩行は不安だ。

やがて壁の区切りまで移動してきた。

デミオがもうカンデラを点けていいと言った。


頼りないカンデラの光でも点灯すると安心する。

マイク「どうしてカンデラを消させたんだい」

デミオ「確たる根拠は無いんだ」

   「でもなんとなくスケルトンやゾンビは光に向かっていった気がした」

   「実際に戦闘している僕よりそちらを優先したように見えたんだ」

   「僕が悪魔だからかもしれない。でももしかしたら光に吸い寄せられている」

   「そう感じただけさ」

アインが少し考え込む。

   「スケルトンたちは月の光さえも避けていたのかもしれない」

   「そう考えると、カンデラの光が気に障ったのかも」

デミオ「そうかもしれない。光を見たら迷わず移動した気がする」

マイクはなるほど、理論的にはあっているかも知れないと考えた。

新月の方がたくさん出ると聞いたことがある。


アイン「デミオ、君の邪魔をしてしまったようだ」

   「すまなかった」

デミオはあわてて。

   「そんなこと無いよ。大きな前進だ」

   「今回はたまたまうまく行っただけさ」

   「もしかしたら大怪我するかもしれないし」

   「どんな相手か情報も限られていたんだ」

   「重要な情報が得られたし、今後にも期待できる」

   「実に有意義な狩だったよ」

   「それに後ろにアイン達が居るとやっぱり安心する」

とにっこり笑った。

アインとマイクは初めてデミオの笑顔を見た気がした。


デミオから腐臭が漂ってくる。

ゾンビと戦ったのだ当たり前だろう。

マイク「そのハンマー洗ったほうがいいよ」

デミオはハンマーを眺める。

べっとりとゾンビの肉が張り付いている。

サボテンを1つ折ってハンマーを拭いてみた。

結構綺麗になる。

後で洗えば問題ないだろう。

マイクもにっこり笑っている。

   「ずいぶん倒したみたいだね」

デミオ「全部で20体くらいだ。思ったより数が増えたよ」

アインとマイクがびっくりする。

そんな数1人で相手できるなんて信じられない。


デミオ「以外ともろいし、動きも早くない。」

   「皆が危険視する理由がわからないよ」

アイン「確かにハンマーなら1~2檄で倒せる」

   「でも暗闇で、次々と増援が出てくるし、恐怖のオーラが厄介」

   「普通は相手したくないよ」

   「暗闇で動ける君が特別なのさ」

   「遠方でそういう戦闘集団もいるらしい」

   「もしエマさんに聞かれたら暗闇の戦闘が得意だと言えばいいよ」

デミオがうなずく。

東の門番は約束通り通してくれた。

   「無事でなによりだ。幸運だったな」

とやさしく見送ってくれる。


宿に戻るとデミオは風呂に入って部屋に戻ってきた。

マイク「デミオ、アインちょっとこっちに来てくれない」

と言って床を示す。

囲むように座ると

   「クレリックは生と死に携わるため、浄化の祈祷をするのが日課なんだ」

   「君達も今日はやるといいと思う」

マイクが説明を始める。

背筋を伸ばして深呼吸を3回やる。

目を瞑るとゆっくり3つ数えてからゆっくり息を吐いていく。

全部吐き終わったら、8割がた吸う。

3つ数えてゆっくり息を吐いて、8割吸う。

3つ数えてゆっくり息を吐いて、8割吸う。

の3回で1セット。

10セットほどやるとデミオも意識がすっきりしてきた。


デミオは驚いていた。

これはクレリックの修行法のはずだ。

悪魔の自分がやるとどんな結果になるか最初は心配だったが。

どうやら自分にも効果があるらしい。

デミオ「どうだいみんな調子がおかしくないかい?」

アイン「ああ。すっきりして驚いたよ」

デミオもうなずいている。

マイクは納得しているようだった。


デミオが袋から頚骨を取り出す。

デミオ「皆で分けよう」

アインが首を振っている。

   「それはデミオ君の分だよ」

   「君は早く僕達に追いついてほしいんだ」

マイクもうなずいている。

デミオは少し悩んだが

   「今回はいろいろと助かったからせめてこれだけ」

と言ってそれぞれ5個ずつ渡す。

マイクはアインと見合わせていたが受け取ることにした。


すみません 死のオーラでなく恐怖のオーラでした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。