↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ファラオ、古代エジプトを改革す!  作者: 泉水遊馬
ファラオの市政改革

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/40

第16話:ふたつの魂と明日の作戦

バキ一族への手配を終え、夜も更けた宮殿の執務室へ戻ったファラオを待っていたのは、賢者メレルであった。

羊皮紙の書状を巻き終えたメレルは、ファラオの姿を認めると静かに頭を下げた。


「お帰りなさいませ、ファラオ。

ケンアモン将軍にはすでに伝令を飛ばし、明朝に行うアモン神殿包囲の全権指示をしかと伝えてございます。

重甲冑隊と鋼鉄の大盾による包囲網は、鼠一匹逃さぬ完璧なものとなりましょう」


「メレル。手回しが早くて助かる」


ファラオは疲れたように椅子へ腰掛けようとしたが、ふと足を止め、まっすぐにメレルの眼差しを見つめた。

部屋を照らすオイルランプの小さな焔が、二人の影を揺らしている。

ファラオは静かな、しかし確信に満ちた声で問いかけた。


「……なぁ、メレル」

「はい、何でしょう?」


「もう、俺の『中身』のことは察しているんだろう?

……それに、きっとあんたも、俺と同じなんじゃないのか?」

「―――」

静寂が執務室を包み込んだ。


「病床から起きた時の立ち振る舞い。

エジプトにはないはずのロジスティクスや国家行政の知識、そしてあの見慣れぬ見切りの技術……。俺がどれだけ『ファラオ』として振る舞おうとしても、知恵者であるあんたの目を誤魔化し切れるわけがない。

そして……あんたのその深すぎる叡智や先見の明も、この時代の人間離れしている」


ファラオの言葉を受け、メレルはゆっくりと目を閉じた。

しばらくの沈黙。ランプの油が爆ぜる音だけが部屋に響く。

やがて、メレルは静かに息を吐き出すと、顔を上げてフッとどこか懐かしむような柔らかい笑みを浮かべた。


「……脱帽いたしました。やはり、貴方様には隠し通せませんでしたか」


メレルは胸に手を当て、自らの過去、異界の記憶を打ち明け始めた。


「仰る通りです、我が君。

私もまた……この肉体宿る前、別の世界で生きておりました。

幾多の書物に囲まれ、歴史とロジックを修める学者として生涯を終えた男でございます」


メレル(賢者)もまた、現代に近い異世界の知識を持った「転生者」であったのだ。


「目覚めた時、このエジプトの凄惨な状況に絶望いたしました。腐敗した神権政治、民をむさぼる神官たち、そして傀儡として病床に伏せる若きファラオ……。

私一人の知識でこの国を救うには限界があると、半ば諦めかけていたのです」


メレルは眼差しに強い光を宿し、ファラオの前で深く膝をついた。


「ですが、貴方様が目覚められた。

その圧倒的な武のキレ、現代的な行政の概念、そして何より身分に関わらず民を慈しみ、人を惹きつける王の器!

それを見た瞬間、確信したのです。『このお方こそが、我が人生のすべてを捧げるに足る真の覇王だ』と」


転生者として同じ孤独や葛藤を抱えていた二人。

だが今、その二つの魂は時空を超えてこの古代エジプトで重なり合い、固い絆で結ばれた。


「……そうか。あんたがいてくれて、本当によかったよ」


ファラオは笑みを浮かべると、膝をつくメレルの肩を力強く掴んで立たせた。


「異世界の知識を持つ俺たちが揃ったんだ。

アモン神殿の腐敗も、ヒッタイトの脅威も……全部ひっくり返して見せようじゃないか」


「御意にございます、我がファラオ。

……さあ、明日はあの腐り切った大神官パネヘシと宰相アアイの喉元に、王の剣を突きつける時です」


二人の知恵と絆が合流し、エジプトの歴史を塗り替える反撃の決戦。

アモン神殿包囲作戦が、いよいよ明朝に迫っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。