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名探偵・ザ・グレート  作者: 真山砂糖
4/6

4 詐欺?

その翌日、刑事課で。

 翌日、刑事課に出勤したら、ダルそうな京子を除いて、課長の席の周りから何やら深刻そうな雰囲気が漂っていた。

「おう、香崎。結婚詐欺の被害に遭ったという男性が被害届を出したいと言ってきて、今、高木が取調室で事情を聞いてる。でよ、その男性なんだが、昨日の探偵の中山木のことを詐欺師だと言ってるようなんだ」

「え? 結婚詐欺? 中山木さんが? ん? どういうことですか?」

「昨日のー、筋肉探偵さー、詐欺師だったのねー、なんか変だと思ったのよねー」

 京子はダルそうに言った。

「ま、終わるまで待とうか」

 私たちは話が終わるのを待った。


 小一時間して、高木先輩が戻ってきた。

「おう、高木、どうだった?」

「はい、被害届を出したいと希望しているのは、◯◯ヶ丘にお住まいの春日井四郎さん、41歳、会社員。一年ほど前に、麻生けい子という25歳の女性と知り合い、結婚を前提に交際していたそうです。その後、中々結婚を承諾してもらえず、五ヶ月前にグレート探偵事務所に行き、その女性の素性調査を依頼したそうです。しかし、報酬を支払ったのにもかかわらず、その女性の正体がわからないため、探偵の中山木ニックのことを詐欺で告発したいということでした」

「おう、やっぱ何か変じゃねえか。その麻生って女性に対してじゃなくて、中山木に対してって……」

「春日井って人ー、その女にー、いくらお金渡したんですかー?」

「いえ、それが、春日井さんは、その麻生という女性から金銭の要求をされたんですが、1円も渡さなかったそうです」

「ん? どゆこと?」

 係長は混乱していたが、私たちも同じだった。

「春日井さんの金銭的被害は、中山木に対してってことか?」

 山崎課長が尋ねた。

「はい、そのようなので、探偵の中山木を訴えたいということでした」

 高木先輩も何かおかしいなと思いながら、少し首をひねって答えた。

「それで、中山木に対する被害届は出してもらったのか?」

「いえ、探偵との契約は、依頼が成功するかどうかにかかわらず報酬が発生するというものでしたし、詐欺には当たらないと思いますので、とりあえず春日井さんには今日は帰ってもらいました」

 全員が少し混乱していた。

「おう、その春日井さんは、結婚詐欺に遭ったって言ってここに来たのに、それで、その女性ではなくて、中山木のほうを訴えたいって、何だそりゃ?」

「ですね、係長。結婚詐欺にあった春日井さんが、探偵の中山木さんを訴えるって……」

「えー、変な話ねー」

「そもそも係長、金銭のやり取りがなかったのなら、結婚詐欺を成立させるのは難しいのでは……」

「おう、そうかもな」

「えー、でもー、結婚するって約束したのにー、しないんだったらー、詐欺じゃないのー」

「おう、磯田、それなら単なる男女間の約束不履行だ。警察は民事に介入できねえよ」

「ふーん、あーそーなのー」

「ですよね。中山木さんにも詐欺罪は成立しないし……」

「ああ、探偵との契約書も確認して、ちゃんとコピーを取ってあるよ、ほら」

 高木先輩はそのコピーを私たちに見せた。

「おう、確かに、これじゃ詐欺にはならない。訴えることはできねえな」

「そうですね」

 そこには "成否を問わず報酬をいただく" という旨がわかりやすく記載されていた。

「じゃー、筋肉探偵はー、無罪ねー」

 京子は他人事のように言い放った。

「おう、でよ、その麻生けい子という女性はどうなんだ?」

「はい、それなんですが、春日井さんはその女性の住所までは知らないので、まだどこの誰だか……」

 高木先輩は、不思議そうに係長に言った。

「春日井さん、その麻生という女性の住所を知らされてないって、典型的な詐欺の手口ですよね」

 高木先輩は困った顔で係長に言った。

「だな。おう、でよ、その麻生けい子って、中山木が追っていた女性なのか? そうだとしたら、美人なのか? タイトなスーツでヒール履いて金髪のお水系って、エロいに決まってるよな」

 係長はニヤけた顔で言った。そして、みんな瞬時にシラけた顔になった。

「最悪ー。キモいー」

 京子は自分の金髪をかきあげながら言った。

「あ、そういえば、中山木さんを転ばせた男性は、どうだったんですか?」

 その場の湿気た空気を変えるために、私は瞬時にナイスな質問をした。

「おう、それなら、嶋村が」

「はい、僕が話を聞きました。えっと、I市にある産業科学大学三年生の岡村正義。真面目な奴でしたね。人としてあたり前のことをしただけです、って言ってたし。中々そんなこと普通は言えないですよ」

 嶋村先輩は上着の内ポケットから手帳を取り出して、みんなに伝えた。

「係長とはー、正反対ですねー」

「おう、磯田、あのなぁ……」

 係長は悲しそうだった。反面、山崎課長は嬉しそうだった。

「いやしかし、その中山木という探偵の母親が、中山道先生だとはな。とりあえず、訴えられなくて良かったと思うべきか」

 お茶を飲みながら話を聞いていた山崎課長は、考え事しながらも、どこかホッとした感じだった。

「ていうかー、中山木じゃなくってー、中山って呼べばいいんじゃないのー」

「おう、磯田、名刺に書いてある名前で呼んでやるべきだ。探偵だから本名がバレないほうが都合がいいだろうしな」

「ふーん、あーそー、そうなのー」

 京子は唇を尖らせてムッとした。

「じゃ、僕たち、オレオレ詐欺の捜査に行ってきます」

 そう言うと、高木先輩は嶋村先輩と一緒に急ぎ早に出て行った。

「係長もー、先輩たちとー、行ったらどうですかー」

「おう、俺はお前たち二人といつも一緒だ」

「キモいー」

「あのなぁ……とりあえず、昼飯食ったら、その俳句の先生のとこ行くぞ」

「ゲロゲロー」

 京子はマジで嫌そうな顔をしていた。


春日井が麻生けい子から結婚詐欺に遭ったので、中山木探偵に調査を依頼したら、春日井が中山木を詐欺で訴えるってか?

ようわからんね。

中山木に足をかけてを転ばせたのは、岡村正義という学生ってこと。

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