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名探偵・ザ・グレート  作者: 真山砂糖
10/19

10 聞き込み

産業科学大学へGO!

 翌日、私と京子と係長の三人は、岡村正義さんのことを調べるために、I市にある産業科学大学へ車を走らせた。都市部にあるとはいえ、理系の単科大学で、学生数は決して多くない小規模な大学だ。私と京子が学生のフリをして聞き込みすることにした。

「ねー、岡村正義君をー、探してるんだけどー」

「あ、それって、陸上部の苺ちゃんの彼氏のことかな」

「最近、おかしな行動してるって噂の人よね」

「あ、そうそう、聞いたことある。岡村正義って」

「お姉さん、金髪が素敵ですね」

「ありがとー、ふーん、陸上部の彼女ねー」

 京子はスーツ姿だが金髪なので、見た目は社会人に見えなさそうだった。なので普通に日常会話をして学生たちに溶け込んでいた。思いの外、早く岡村さんを知る学生と接触できた。係長は車の中で待機して、女子学生を見てニヤついているように見えた。次いで、大学前の食堂街へも足を運んだ。

「係長ー、エロい目ー、キモいー」

「あのなぁ、いつもと同じイケメンの目だろが」

「ウザー」

 幾人もの学生に聞き込みをしたが、大した情報を得られず、私たち三人は昼食を取るために大衆食堂へ入ることにした。

「おう、あそこのジャージの女子たち、陸上部っぽいな」

「あの、係長、どうしてわかるんですか?」

「ん、筋肉のつき方だよ、体格とか」

「キモいー」

「あの、係長、なんか、キモくないですか……」

「あのなぁ、俺は陸上やってたからわかるんだよ!」

「キモいー」

「ちょっと君たちいいかな。こういう者だけど」

 ジャージ姿の女子たちは、私たちの警察手帳を見ると、しゃきっと姿勢を正した。私たちは彼女らの隣のテーブルに座った。係長の言った通り、彼女たちは皆、陸上部所属の学生たちだった。彼女らから、大変有意義な話を聞くことができた。

 岡村正義さんは、学内で聞いた通り、最近おかしな行動をしているらしかった。講義中に突然教室から出ていったり、期末テストを受けに来なかったりと、しかも単位がかかっているにも関わらずだったそうだ。特に、スマホをじっと見ていることがよくあったらしい。別段ゲームをしている様子でもなかったそうだ。三年生の岡村さんには、二年生で陸上部の上川苺(かみかわ いちご)というガールフレンドがいた。上川さんは大学近くの学生寮に下宿しているが、ここ数ヶ月、上川さんを大学で見かけなくなっているということだった。上川さんは、陸上部を辞めるかもしれないと思い詰めていたようだ。

「苺ちゃんってー、髪めっちゃ短いー、ボーイッシュねー、良く似合ってるー」

「どれどれ、おう、ショートヘアで美人ということは、ロングにしても美人だ」

「あー、最悪ー」

 上川さんの写った写メを見せてもらいながら、係長と京子はいつも通りの会話をしていた。

「係長、そんなことより、陸上といえば、中山木さんも……」

「だよな、陸上繋がりか。怪しいな。中山木は高校生を指導していたしな。高校か……」

「係長、当たってみましょう」

「おう」

 私たちは上川苺さんの出身高校を聞き出し、そこへ向かうことにした。


 T県立IH高校。産業科学大学から車で1時間半ほど。昔からスポーツに力を入れていることで有名な高校だ。私たちは職員室へ行き、事情を話して、上川苺さんのことを尋ねた。すぐに彼女の担任だった教員から話を聞くことができた。

 上川さんは、高校在学時、学業優秀で、スポーツにも秀でていた文武両道のスーパーウーマンみたいな生徒だった。第一志望の名王大学でなく、入試成績優秀者の学費減免制度と、T県陸上競技記録を持っていたため、陸上部に所属することで返済不要の奨学金が授与されて学費が減免になる制度を利用するために、第二志望どころか、第三、第四志望の産業科学大学へ進学することになったそうだ。

「ふーん、私の後輩にー、なれてたのにねー。もったいないー。私ー、親ガチャがー、良かったのねー」

「おう、その通りだ、磯田。親に感謝しとけよ」

「なんかー、嫌味ー」

 私たちは、来賓室へ案内された。スポーツで有名な学校だけあって、壁一面に設置されたショーケースの中に、IH高校の生徒がスポーツ競技で獲得してきたトロフィーや盾、賞状、写真等が驚くほど多く飾られていた。

「あー、あったー、目立つ名前だからねー」

 京子がすぐに上川苺さんの名前入りの表彰状を見つけた。彼女は、◯◯年度の100メートル、200メートル、400メートル、走り幅跳び、三段跳びでT県の一位を取っていた。特に、200メートルと400メートルは、T県高校歴代ランキングで二位ということだった。

「すごい記録ですね」

「すごーい。今まででー、二位だってー」

「係長、中山木さんが追いかけていた女性って、もしかして」

「ありえるかもな。中山木が追いかけても、追いつけなかったからな……いや、わざと追いつかなかったのかも……うーん、中山木も、臭うな……」

 私たちはいろんな考えを巡らせた。


岡村正義のガールフレンドの上川苺ですか。

中山木が追いかけてた女性なんでしょうかね、それとも全くの別人??

岡村正義、上川苺、中山木、なんか怪しいですね。

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