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何度死んでも、俺は人間側じゃないらしい  作者: 東海林


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9話

朝。


「……あれ」


違和感。

目が覚めた瞬間、少しだけ引っかかる。


「……なんだっけ」


何か、忘れてる気がする。


「……まあいいか」


そのまま起きる。どうでもいい気がした。



教室。


「黒瀬」


「んー?」


「昨日」


佐藤が話しかけてくる。


「文化祭、途中で消えただろ」


「あー、消えたな」


「なんでだよ」


「帰った」


「いや、それは分かるけど」


なんか言いたそうな顔。


「……なんかあったのか?」


「特に」


「嘘だろ」


だろうな。でも、


「覚えてねぇ」


これが一番近い。


「……は?」


佐藤が止まる。


「覚えてないって何だよ」


「そのまんま」


「……大丈夫かお前」


「たぶん」


自分でも分からん。


「……別に困ってない」


本音。困ってないから、まあいい。


「いや困れよ」


「なんでだよ」


「普通に怖ぇわ」


それはそう。



「……黒瀬」


横から声。一ノ瀬。


「なに」


「……昨日」


またそれか。


「……あなた」


じっと見てくる。


「……少し、変」


「元からだろ」


「違う」


即否定。


「……何か、抜けてる」


「……」


それ。さっき自分でも思った。


「……気のせい」


とりあえず流す。


「……違う」


食い下がる。


「……昨日、最後」


「最後?」


「……あなた」


一ノ瀬の目が揺れる。


「……笑ってた」


「は?」


記憶にない。


「……変な顔だった」


「ひどくね?」


「……違う」


首を振る。


「……壊れてる顔」


「……」


それは、ちょっとだけ、嫌な感じがする。


「……知らん」


結局それしか出てこない。


「……黒瀬」


一ノ瀬が少しだけ近づく。


「……最近、死んだ?」


「……さあな」


誤魔化す。


「……数、増えてる」


確信した声。


「……」


図星。


「……やっぱり」


一ノ瀬が小さく呟く。


「……何か削れてる」


「何が」


「……あなた」


「……」


それは、少しだけ考えたくない。



放課後。


「……なんだこれ」


ノートを見る。自分の字。でも、


「……こんなの書いたか?」


覚えがない。ページの端。

小さく、7回目って書いてある。


「……7回目?」


何の話だ。

数えるのやめたはずだろ。


「……」


ページをめくる。

5回目

6回目

増えてる。


「……」


頭を押さえる。


「……いつ書いた」


記憶がない。でも、確実に俺の字。


「……気持ち悪」


ぞわっとする。


「……黒瀬」


声。振り向く。

一ノ瀬。


「……何それ」


ノートを見てる。


「……分からん」


「……これ」


指をさす。


「……回数?」


「っぽいな」


「……何の」


「知らん」


嘘。分かってる。

でも、言いたくない。


「……黒瀬」


一ノ瀬の声が少し低くなる。


「……あなた」


一歩近づく。


「……何をしてるの」


「何も」


「……嘘」


「だろうな」


苦笑する。


「でも」


ノートを閉じる。


「……大したことじゃない」


「……違う」


即否定。


「……それ」


少しだけ震えてる。


「……やばいやつ」


「今さらだろ」


「違う!!」


強い声。教室に響く。

一瞬、空気が止まる。


「……一ノ瀬」


「……ごめん」


小さくなる。


「……でも」


顔を上げる。


「……やめて」


「……無理だな」


即答。


「……なんで」


「やめたら終わるから」


「何が」


「……全部」


正直、よく分からない。


「……止まるのは無理」


それだけは確信してる。



夜。


「……来るなよ」


言うだけ無駄。分かってる。


「来る」


やっぱり来た。


「だろうな」


ため息。


「……黒瀬」


「なに」


「……今日、様子がおかしい」


「いつもだろ」


「違う」


しつこい。


「……なんか抜けてる」


「……」


さっきからそればっかだな。


「……問題ない」


刀に手をかける。


「……来るぞ」


空気が歪む。影。

今日は少し大きい。


「……やるか」


踏み込む。

斬る。当たる。


「……あれ」


動きがズレる。

いつもなら避けられるタイミング。


「っ」


肩を掠める。


「……遅い」


違和感。


「……なんだこれ」


体が重い。


「黒瀬!」


一ノ瀬の声。


「……大丈夫」


言いながら、前に出る。


「……いける」


そう思った瞬間、

視界が、ブレた。


「――は?」


一瞬、どこか分からなくなる。

ここ、どこだ?何してた?


「……っ!」


気づいた時には、腹を貫かれてた。


「……あー……」


視界が暗くなる。


「……やっぱり、か」


最後に見えたのは、一ノ瀬の顔。

明らかに、怖がってる。


俺を。




「……8回目」


戻る。息を吐く。


「……やっぱ来たな」


頭を押さえる。


「……記憶、削れてる」


確信。さっきの一瞬。

完全に飛んだ。


「……クソ」


これが代償か。


「……笑えねぇな」


でも、


「……やるしかねぇ」


止まれない。

止まったら終わる。

何が終わるかは分からないけど。


「……行くか」


立ち上がる。夜は続く。

そして、多分俺は少しずつ削れてる。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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